イタリア総選挙の結果、安定的な政権の誕生が絶望的となった。議会下院では、これまで通り緊縮財政と構造改革の継続を掲げる中道左派が過半数を確保したが、上院では改革路線に反対するベルルスコーニ前首相の中道右派が第1勢力となる見通しだ。
日本にとっては、残念な結果といわざるを得ない。金融市場ではイタリアの改革が足踏みし、欧州の債務危機が再燃する懸念が高まっている。ユーロが売られたため大幅に円高が進み、株価も日米欧で大きな下げ幅を記録した。
上下両院で結果が分かれて「ねじれ現象」が生じたのは、イタリアの特異な選挙制度が原因だ。下院は全国で、上院では州ごとに、得票率が第1位の政党にボーナス議席を与える仕組みがある。
これはベルルスコーニ前首相が率いる前政権が、自陣を有利にするために導入した制度である。だが、結果的に極めて不安定な政治状況が生まれてしまった。これから首相の指名権を持つナポリターノ大統領が音頭をとり、連立協議を進めることになる。
下院で過半数を占めた改革路線の中道左派が政権を樹立するためには、ベルルスコーニ前首相の中道右派との大連立が前提となる。緊縮財政をめぐり真っ向から対立する両陣営が協調できるかどうか、予断を許さない。連立交渉が不調に終われば再選挙となり、市場の不安は一段と高まるだろう。
ユーロ危機の混乱の中で2011年11月に発足したモンティ政権は、痛みを伴う改革を進め、その結果、金融市場はかろうじて安定を取り戻した。その努力をここで無駄にしてはならない。連立協議で各党の指導者が、現実的で冷静な判断を下すことを期待したい。
選挙の結果から、イタリア国民の「改革疲れ」が大きいことは明らかだ。経済再生と市場の信頼回復を果たすために、労働市場や年金制度などの改革は避けて通れないが、こうした構造改革と景気の刺激策を組み合わせる方策を工夫する必要がある。
ベルルスコーニ、ナポリターノ、イタリア
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