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日銀新体制の発足へ速やかに手続きを

2013/2/27付
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 政府は、黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁を次期日銀総裁にあてるなどの日銀執行部人事案を衆参両院の議院運営委員会に近く提示する。国際金融や通貨問題に精通し、海外人脈も豊富な黒田氏は変化の激しい時代の日銀トップとして適任といえるだろう。

 5年前の日銀総裁人事では、自民党政権が国会に提示した候補に民主党が財務省出身であることを理由に反対し、新総裁就任が遅れた経緯がある。今回は出身母体がどこかではなく、個人の資質や政策にかかわる審議をしたうえで、日銀がスムーズに新体制に移行できるようなるべく早く手続きを進めてほしい。

 日銀総裁の責務は重い。経済や物価だけでなく、内外の金融市場や金融システムの安定にも目を光らせ、政府や海外の政策当局者との意思疎通もできる人でなければならない。

 黒田氏は強力な金融緩和論者として知られる。同時に、アジア経済危機をはじめ様々な問題に、国際金融分野の政策責任者として対処した経験を持ち、海外の政策当局者に知己も多い。その意味で、総裁に必要な資質を備えた人物といっていい。

 副総裁にあてる中曽宏日銀理事も国際金融や金融市場担当の経験が豊富で、国際関係や危機対応を重視した人事といえる。もう1人の副総裁には、かねて日銀の金融政策を消極的すぎると批判してきた岩田規久男学習院大教授をあて、安倍晋三首相が言う「次元の違う金融緩和」実施をアピールする形になった。

 日銀の新執行部に対する期待もあって株高や円高の是正がある程度進んだが、直面する課題はそう生やさしいものではない。

 政策金利がほぼゼロという制約の中で、どういう手を打てばデフレ脱却へ向けて成果を出せるのか。副作用にも目を配りながら最も効果的な政策を探り、実現していくことが求められる。金融緩和が国の財政の埋め合わせに使われていると受けとめられないようにすることも重要だ。

 政府と日銀は先月、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための共同声明を公表した。国会の同意を得て日銀の新執行部がスタートした後は、この声明を踏まえて日銀が責任を果たしていくと同時に、政府も日銀の独立性を尊重して細かな口出しは慎むようにすべきである。

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黒田東彦、日銀、岩田規久男、中曽宏、安倍晋三

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