最終処分場の選定方法見直しへ2月25日 17時48分
原発事故で出た放射性物質を含む汚泥や焼却灰の最終処分場の候補地の選定について、環境省はこれまでの選定方法を見直して、各県の市町村長が参加する会合を設置するなど新たな方法を決めたと発表し、すでに候補地を提示していた栃木と茨城を含めて、選び直すことを明らかにしました。
放射性物質を含む焼却灰や汚泥のうち、一定の濃度を超えるものについて、環境省は発生した都や県ごとに処理し、宮城、茨城、栃木、群馬、千葉、の5つの県では新たに最終処分場を建設する方針です。
このうち、環境省は栃木県矢板市と茨城県高萩市をすでに候補地として示していますが、協議は難航し、建設が全く進んでいない状況です。
これを受けて、環境省の井上副大臣は25日の記者会見で、関係する自治体への説明が不十分だったなどとしてこれまでの選定方法を見直したと発表しました。
新たな選定方法では、環境省が新たに設置する専門家による検討会や各県の市町村長が参加する会合などで意見を聞くとともに、ボーリング調査などを行って最終処分場に適した場所を探し、候補地を絞り込んでいきたいとしています。
また、すでに候補地を提示していた栃木と茨城についても、候補地の2つの市を含めてすべての自治体から新たな方法で選び直すということです。
これについて井上副大臣は「関係自治体とコミュニケーションが不足していたのは客観的な事実だ。各自治体の意向を尊重しながら進めていきたい」としたうえで、「すでに提示した候補地が排除されるというものではない」として、栃木と茨城については2つの市を選択肢として残しながら、再調整する考えを強調しました。
「指定廃棄物」の現状は
放射性物質を含む焼却灰や汚泥のうち、濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超えるものについて環境省は「指定廃棄物」として発生した都や県ごとに処理することにしています。
環境省のまとめによりますと、指定廃棄物の量は去年12月28日の時点で、11の都県で合わせて9万8793トンに上っています。
内訳を見ますと、福島がおよそ7万8113トンと最も多く全体のおよそ8割を占め、次いで栃木がおよそ9291トン、宮城がおよそ3250トン、茨城がおよそ3024トン、千葉がおよそ1999トン、新潟がおよそ1018トン、東京がおよそ982トン、群馬がおよそ749トン、岩手がおよそ358トン、静岡がおよそ9トン、山形がおよそ3トンとなっています。
環境省は、このうち指定廃棄物の保管がひっ迫している宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の5つの県では新たに最終処分場を建設する方針で、処分場の候補地として地震や地滑りなどの災害の危険性の少ない国有地などから選ぶことにしています。
処分場の候補地の選定を巡っては、去年9月、民主党政権時の環境省の副大臣が栃木県では矢板市、茨城県では高萩市を訪れ、候補地として初めて提示しました。
しかし、2つの市では国から事前に十分な説明がなく、突然、候補地として示されたなどとして、いずれも拒否する姿勢を示し、地元の住民からも「風評被害につながる」などと批判の声が相次ぎ、5つの県すべてで最終処分場の建設のめどは立っていません。
このため環境省は、これまでの候補地の選定方法について検証したうえで、今回、新たな方針を決めて、公表しました。
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