琉球大大学院医学研究科で2010年に起きた論文データ流用問題に関連し、学外の有識者でつくる調査委員会が、岩政輝男学長が共著者の論文1編を「不正論文である」と結論付けた。この間、同大医学研究科調査委などは「不正は認められなかった」と発表しており、自浄作用が機能しない実態が浮き彫りにされた。
1950年に開学した琉球大は沖縄初の高等教育機関であり、地域をリードする有為な人材を数多く輩出している。論文の不正は、伝統ある大学の信用を傷つけた。しかも当事者の一人は最高責任者の学長だ。
関係者への新たな処分はなく、事実上不問に付すという。既に口頭注意処分を受けていることを理由に挙げているが、示しがつかないことこの上ない。この状況を学生はどう受け止めるだろうか。
岩政学長は28日の記者会見で「内容をよく把握していなかった。共著者として誠に申し訳ない」と謝罪している。中身をろくに確認しないまま共著者に名を連ねることを容認したとすれば、研究者としての姿勢に疑問符が付く。
論文データ流用の疑惑は米学術誌の指摘で10年3月に浮上。学内の医学研究科調査委は同年12月、学長が共著者となった論文について、データにオリジナル性があるとして「不正は認められなかった」と断じている。調査は、証言や画像の突き合わせなどにとどまり、証拠となる実験ノートを確認しないなど、決して十分とは言えないものだった。
これに対し、学内外から調査の在り方に疑念が出た。琉球大はことし4月、外部調査委を設置。研究手法などを精査した結果、実際に行っていない実験内容を掲載した「不正な論文」であることを突き止めた。
どうして学内だけで究明できなかったのか。調査に携わった医学研究科の教授らに、身内をかばう意識があったとすれば、問題の根はなお深い。
琉球大は、外部調査委のメンバーについて「学外の有識者5人」とだけしか説明していない。氏名不詳のままでは調査結果をどう評価すればいいか戸惑う。速やかな公表が望ましい。
琉球大は7月中にも外部調査委の最終報告を公表する。この際、問題点を洗いざらい表に出し、自浄能力を備えた、県民に信頼される大学として再出発してほしい。
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