成果主義 Pay-per-performance System
人事評価の際に、従業員の労働意欲や潜在能力よりも、仕事による成果を重視する考え方。
人事評価の基準は、(1)経験や知識などの潜在的な能力、(2)労働意欲、(3)行動、(4)職務内容、(5)成果などが考えられます。成果主義とは、このうち(5)成果を重視した考え方のことです。
成果主義と年功主義
人事評価は、企業が従業員に期待する人材像・役割を示すものです。
成果主義は、従業員が能力を十分に発揮して成果を上げることを重視します。基礎能力が身に付き、実績が求められるポジションになるほど、成果主義の傾向は強まるでしょう。
一方、年功主義とは、潜在能力や労働意欲を重視し、それらを勤続年数やその職務における経験の長さを代理変数にして評価する考え方です。今の仕事の成果にかかわらず、企業に貢献する意欲と潜在能力の高い従業員を評価し、維持・育成することで、将来の市場変化に柔軟に対応することを目的としています。
適切な人事評価制度とは
企業が適切な人事評価制度を検討する際には、どのような人材を求めるのかを明確に定めることが必要です。
成果主義は成果へのモチベーションを高めることができますが、成果の上がりやすい仕事とそうでない仕事との不公平や、将来の環境変化に対応した人材育成という視点からは万能薬ではありません。また、結果のみを重視することは、目標達成には必ずしも有効ではありません。
一方、年功主義は長期的に人材をプールする効果を発揮しますが、目標達成へのモチベーションの低下や、実績と評価のギャップによる不満が発生する恐れがあります。
これらの功罪を踏まえた上で、従業員の職種やキャリア毎に期待する人材像・役割を定め、複数の評価要素を組み合わせて、適切なバランスを模索することが必要となるでしょう。(園田紘章)
業務遂行プロセスと評価要素 |
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(出所)今野浩一郎、佐藤博樹『人事管理入門』より作成 |
(書籍発行:2008年4月) |