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殺人事件

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注意書き

  • EVE burst errorのストーリー中に起こった殺人事件についてのページです
  • 当然激しくネタバレしておりますのでくれぐれもご注意下さい。

ストールマン=孔殺害事件

第一の殺人。被害者はストールマン=孔、犯人は旧エルディア情報部次長、ディーブ。

トリスタン号での、次期エルディア共和国国王の戴冠式を目前に控え、 各候補者とそれを支持する陣営が最も必要としていたもの――それが国璽である。
国璽を所持していたのはストールマンで、それは二つに割られていた。 このあたりは「エルディア共和国」のページにも詳しく書いたがこちらにも記しておくと、 片方は自宅応接室の引き出しの中、もう片方は仕事場、ディレクタールームの本棚の中に隠されていた。
敵対する旧エルディア情報部に、嗅ぎ付かれてしまったのだろうか、 ストールマンは誘拐されて、おそらく拷問を受けている。 そして学校に隠してあった片割れの在処を吐いてしまった…… これは、後にディーブが部下を連れて国璽の原版を探しに来ていたことから分かる。 ただしディーブがディレクタールームを訪れるより前に、別の人物によって国璽は持ち去られていた。 旧情報部に身を置いていた男、桂木源三郎である。こちらの国璽はその後、小次郎の手に渡ることになる。

ところで桂木はストールマンから預かったメモを持っていた。 「さらに奥をさぐられよ、そこで偽りを発見するだろう」という内容である。 このメモはどうやら急いで書いたらしく、自宅のメモ帳台には、下のページにメモ書きの跡が残っており、 小次郎はそれを調べて絵画、すなわち国璽の在処にたどり着く。 ストールマンは、自宅に隠した国璽の原版を桂木に見つけて欲しくてメモを書いたのだが、 その秘密を、小次郎が桂木よりも先に解いてしまったために事件は起こったのだと言うこともできる。
問題なのはその、自宅の片割れである。どうやらストールマンはこちらの在処をディーブには教えなかった。 戴冠式までにはあまり時間がない。それまでに現物がなければ何の意味もないということをディーブは分かっていたのだろう。 だからこそ彼は、わざわざ危険をおかしてストールマンを名乗り、邸宅の主として振る舞い、私立探偵を雇って「絵画捜索」をさせた。
物取りに見せかけられた様子が小次郎や弥生によって見つけられるが、これはストールマンの仕業だと考えられる。 それを見破り、ストールマンが桂木に宛てて書いたと思われるメモ書きなどから小次郎は原版の在処を捜し出し、 絵画をディーブに渡して報酬を得る。ディーブの目的はその下に敷かれていたはずの原版すなわち国璽だったが それは二階堂によって奪われてしまう。
仕事場の原版は在処を吐き、自宅の方は見つかった。となればストールマンは用済みである。 その日の晩のうちに、ディーブはストールマンを殺害し、口を封じる……というのがこの事件の流れである。

しかしこの事件にはいくつか疑問点も存在する。
■ストールマンは拷問を受けていたのか
1 拷問はされていたが、設定ミスのためにその辺は描かれなかった
2 拷問は無かった
3 その他
という三つの可能性があるわけだが1と2の場合だと話がそこで終わるので、3についてちょっと書いてみよう。
まず小次郎が見つけたストールマンの遺体だが、部屋は真っ暗で、一刻も早く逃げる必要もあった。 指や歯など細かいところには目がいっていない。調べられなかった。だから拷問については気づけなかった。 小次郎編で拷問の形跡が見つからなかったことについては一応の説明がつく。
とはいえ、拷問されていたのであれば、捜査をしている公的機関側、まりな編でそれについて触れられるだろう。 甲野やまりなは殺人事件を追いかけるわけではなくてあくまでも情報機関所属であり、 事件の調査は、甲野によれば公安が引き継ぐことになった、ということである。 とすれば検死をした監察医が意図的に隠したというのが妥当だろうか。 拷問の事実は、検死に立ち会った公安は知っていたが、それをライバル組織である内調には流さなかった……ということも考えられる。 結局、事実は不明のままではあるのだが――。

■小次郎にかかってきた電話
「わたくしは、孔というもので……いいですか、よく聞いて下さい、いまそちらに……」
という電話だが、これはストールマン本人がかけてきたものである。
「いまそちらにプリンと名乗る少女がいるはずだ。電話口に出してくれ」
とかそういう内容を話そうとしていたのだろう。
ストールマンと小次郎は直接のつながりは無いが、桂木を通じて二人の間には関連があったわけだ。 結局電話は途中で切れてしまって、不審に思って自宅を訪ねた小次郎は死体を見つけるわけだが、 そもそもストールマンはどうやって、なぜ、どこから電話をしてきたのだろうか。
前述の通り、ストールマンは旧エルディア情報部に監禁、拘束されていた可能性が高い。 というより、死体となって登場するまでにストールマンは全く表に出てこないわけだからほぼ確実と言っても良い。 つまり電話をするスキは無い。スキができるとすれば、恐らくはシリアだろう。
彼女はディーブの部下として旧エルディア情報部に潜り込んでいるが、実質的にはプリシア陣営すなわちストールマンの味方である。 ディーブやサラ、シルディの目を盗んでストールマンを解放することはできたかもしれない。
逃亡途中で、公衆電話から小次郎に電話をかけてきたとも考えられるし、自宅に戻って電話をしたかもしれない。 蛇足になるがバーストエラーの物語は1994年あるいは1995年を背景としており、 携帯電話はまだまだ一般的とは言い難く、せいぜいポケットベルが主流だった。 ストーリー中にも携帯電話はほとんど登場していない。 どちらにしてもストールマンの最後の希望だった電話はディーブに見つかってしまって途中で途切れ、その後は殺害されてしまう。

■二階堂はなぜ殺人現場から出てきたのか
彼にとってもはや孔の自宅に用事はないはずである。わざわざ容疑者になりに出かけたわけではないだろう。
ほぼ唯一と言ってもいい可能性は、二階堂もまた、小次郎と同じように本物の孔から連絡を受けた、ということである。 小次郎と同じように、事実を確かめるために自宅へ行ったところ死体を発見したということだ。 または電話はストールマンからではなくディーブの罠だったという可能性もあるが、 どちらにしても自発的に行ったわけじゃないことだけは確かである。
プリンとも、殺人現場の近くで出会うことになるが、おそらく自宅には入っていない。 ミステリー作品としていわゆるミスリードのための「ニセの犯人」を演出することがあるが、 ほぼ全ての事件において確かにプリシアは怪しく見える。 彼女は、「決してストールマンの自宅へは行くな」と言われていたが、どうしても彼の無事を確認をしたかったのだろう。 死体は見ていないと思われる。

二階堂進殺害事件

第二の殺人。被害者は二階堂進、桂木探偵事務所の所員。
犯人はμ-101(御堂真弥子)。
プリンセスホテル410号室にて殺害される。サバイバルナイフによる首の裂傷が死因。

孔になりすましたディーブから、絵画捜索の依頼を受けた桂木探偵事務所の所員、二階堂進。
彼は、上司の弥生に黙って、ロス=御堂とも契約を交わしていた。
すなわち、絵画(と一緒にある原版)をディーブが出す金額より遥かに多い法外な値段で取引する、というものである。

茜を取り込み、小次郎を捜査に引っ張り出したのは二階堂である。
つまり小次郎を憎んだり嫉妬したりしていたのは確かだろうが、彼の実力そのものは認めていたということになる。
その後小次郎は二階堂の思惑通りに、孔の自宅から絵画を見つけ出す。
それから二階堂が原版を手にするまでのことは描かれていないが、 かなり上手くかすめとっている。探偵のスキルなのか、それともスリの経験でもあったのだろうか。

それを速やかに御堂に渡していればあるいは二階堂の命は助かったのかもしれない。
そうでないかもしれない。秘密を知られた旧情報部にとって、何も知らない部外者の二階堂が国璽を持っていることは危険だ。
さっさと消した方が都合が良かったのかもしれない。
彼は可哀想だった、何も知らずに死んだのだろう、と桂木は小次郎に語っている。
彼にとってもまた、二階堂は部下であり大切な存在だった……のだろうか。

この事件の流れを順を追ってみてみよう。
まず二階堂はディーブの目を盗み、原版の片割れを手に入れた。
しかしその晩、ストールマンの自宅を訪れ、殺人現場で証拠を残してしまった(後述)ために、 殺人事件の容疑者として指名手配されてしまう。
当局から身を隠すために二階堂はホテルの一室に閉じこもった。外部との連絡を保つために彼は、茜を利用する。
ここまで追い詰められても二階堂は、彼にとって切り札である原版を、ディーブにも、そして御堂にも簡単に渡そうとしなかった。
目的はおそらく単純で、金である。相手にとってその品物は何物にもかえられない価値があり、いくらでも値をつり上げることができる、
と考えていたのではないだろうか。
それに伴って、茜を使ってエルディア大使館の近辺を探らせたりしている。御堂の正体を暴き、強請る算段でもあったのかもしれない。

さて、原版そのものは安全のためなのだろう、自分自身ではなく茜に託し、茜は持ち歩いているカメラのフィルムケースの中にそれを仕舞い込む。
その後二階堂の部屋に何者かが現れ、しばらく話をした後、二階堂は死体となる。
まさに殺害される瞬間、まりなが部屋の中……クローゼットに隠れていたのだが、その時の様子を見てみよう。

「まさか貴方が来られるとはね……思いもよりませんでしたが」
「無論、ビジネスはビジネスです……スマートに行きましょう」

ここで有線放送、またはCDによるBGMが流れ始める。
音量はかなりのもので、会話が聞き取りにくくなる。
目の前の、殺害するべき相手以外に自分の声や会話を聞かれるのを防ぐため、だろうか。

「ほぉ、趣味がいいですね、私の好みにぴったりだ」
「ビジネスに対する趣味も、一致することを願います」
「無論ですね。しかし、今はここにありません」

相手の声は聞こえそうで聞こえない。

「そうですよ。つまり僕は……」

ここで、二階堂と会話をしていた何者か……まぁ犯人の真弥子なわけだけど、彼女はステレオのボリュームをあげる。

「…………だっ!」
「……なぜあ…………いか!」

語気を荒くする二階堂。焦り、恐怖が見られる。
「おまえは何者だっ!」または「一体どういうことだっ!」
「……なぜあなたが……まるで別人じゃないか!」
といったところだろうか?

ドタン! と重い物音がして、事は済む。
しばらくしてクローゼットから出てきたまりなが見たものは、ベッドの上の、二階堂の無惨な死体だった。

■二階堂が話していた人物は一体誰だったのか
犯人が真弥子であることはストーリー上定められた真実であるので、真弥子である、と答えるのが正解である。
まさかあなたが来られるとは……と二階堂が言ったのは、御堂が来ると思っていたからだろう。

■驚いた二階堂と、指に絡まった金色の髪
ゲームのエンディングでプレイヤーに初めて明らかにされることだが、
真弥子はいわゆるクローン人間であり、元となるオリジナルはプリシア=レム=クライムである。
その身体に刻まれたエルディア前国王の意識が発現する際には、髪は金色になり瞳は色を変える……と考えられる。
単に真弥子の身体には崩壊が近づいており、カムフラージュである真弥子の茶色い髪や黒い瞳が、 そのあるべき姿を保てなくなっていたという可能性もあるが、後述するディーブの事件においても 真弥子と話していたはずのディーブが驚いているような様子が描かれているので、おそらく前者が正しいと考えても良さそうである。
二階堂が握りしめていた金髪は証拠として押収され、犯罪者データバンクとの照合が行われたが 該当するデータはなかったとのことである。DNA鑑定を行えば、おそらくそのデータはプリシアと一致するはずではあるが……。

■二階堂が持ってた国璽
ここにはありません、と二階堂が言った通り、原版は茜が持っていた。
その後茜は原版を託す意味をこめて、カメラを小次郎の事務所に置いたが、彼女はディーブに捕らえられ拷問を受け、 原版の在処を喋ってしまう。その後ディーブの罠にハメられた小次郎は原版を奪われてしまう。

ここで重要なのは、ホテルで会話していた時点で二階堂を殺してしまうと、国璽の在処は判明しないのではないか、ということである。

茜が持ってるということを二階堂は言ってないから、真弥子はそれを知らないはずである。
ただ、まりなが聞き取れなかった会話部分で、二階堂がそれをバラしていれば、その後茜が捕まった理由も分かる。
そして仮にバラしたとすれば、その時点で二階堂は用済みである。
相手が小娘である真弥子なら、何の疑念も抱かずにナメてかかって、二階堂は手の内をバラすかもしれない。
そしてそれをバラした瞬間に真弥子は二階堂を殺害。生かしておけば面倒なことになるというわけである。

しかし二階堂が死んでから、茜がディーブの手に落ちて原版を奪われるまで結構な間がある。
二階堂が殺されたのはゲーム中の12月5日の夕方頃、茜が捕まって連行されているのが判明するのは12月6日の夜である。
そしてその間御堂は何をしていたのか……。
茜を捕まえたのはディーブであって御堂ではない。 確かに肩書きの上ではディーブは御堂の部下であったが、 決して忠実な手駒ではなく、ディーブも二階堂と同じように原版を自らの利益のために使おうとしていたように思われる。
だからこそ彼もまた殺害されてしまうわけだが。

となると二階堂が国璽を持っているのは茜であると真弥子に教えた、という考えは辻褄が合わない。
そうと分かれば御堂は、ディーブに先んじて茜を拘束するはずだからだ。

あまり美しくない問題の解決方法だが、御堂や桂木の言葉によれば、μ-101すなわち真弥子の精神には分裂、崩壊が近づいていた。
正確に物事を判断したり、損得勘定を考える余裕がなくなっていたとも考えられる。
死を目前に感じて、殺意が膨れあがっていたのだろうか……結局、分からずじまいである。

■二階堂の指名手配について
ストールマンの事件の補足。
現場のナイフに残された指紋から特定されて二階堂が指名手配となったわけだが。
ナイフに触れたことについては彼が動転していたからだと思われるが……
仮にも一流の探偵事務所の所員である二階堂がそんなミスをするだろうか?
そしてなぜ指紋だけで特定されたのか。しかも一晩で、殺人の容疑で全国指名手配である。

凶器に付着した指紋が採取され、照合後に即手配となると、
犯罪の前歴がある者のデータベースに検索をかけて、見事二階堂が引っかかったと考えるしかない。

二階堂は前科者だった――驚くべき真実である。
スピード違反で捕まったくらいでも指紋はとられるそうだが、それをいきなり犯罪者データバンクに登録するなどといった 無法な行為はさすがの警察もやっていないだろう。

二階堂には犯罪歴があった……何と言うことだろう。
ひょっとして原版を盗み取った鮮やかな腕前から察するにスリ師だったのかもしれない。
小次郎が冗談で言ってた結婚詐欺師ってのも、あながち間違いじゃない可能性もある。
……。
二階堂、お前というやつは……。

ディーブ殺害事件

第三の殺人。
被害者は、旧エルディア情報部次長、ディーブ。犯人はμ-101(御堂真弥子)。
出航前の客船トリスタン号にて、ナイフで殺害される。

■事件の流れ
他の殺人事件と比べて少々込み入っているので、流れを把握してみよう。
まず、ディーブは、殺されるその晩、潜伏していたアジトに茜を監禁し、拷問にかけ、奪い損ねた国璽について尋ねる。
茜はそれを、カメラの中に隠して小次郎に託したと話す。ディーブはそれに基づいて小次郎を呼び出し、その隙に事務所から国璽を奪取する。

小次郎はその頃プリンセス・ホテルに、プリシアといた。
プリンは姿を消し、プリシアとして覚醒。事件にまつわる秘密を小次郎に打ち明け、自分が次期女王候補であることも話す。
そして重要な「何か」を話そうとしたところで襲撃を受ける。
相手はディーブの部下、旧情報部の残党たちであった。
目的はプリシアの抹殺であろう。小次郎がプリンを連れてホテルへ行き、プリシアという存在はそこで初めて登場した。
戴冠式に先んじて命を奪ってしまえば、真弥子が王座を手にすることは間違いなくなる。
タイミングよく彼らが現れたのは、グレンの密告によるものであった。

ここでのポイントは、その後のシーンでディーブが、このとき撃たれて負傷した工作員が自分の部下だと言ったことだ。
すなわちプリシアの暗殺計画はディーブが指揮したものだったということである。

元上司である御堂はディーブの行動を認識していたのだろうか。
ディーブにプリシアを殺すよう指示したのが御堂だったとすると、ディーブは御堂の指揮下で動いていたことになる。
しかし国璽を独自に手に入れようとしたり、最終的には「処断」というかたちで葬られてしまうことから、
御堂とディーブの溝は簡単に埋まらないほどの深さだったことが伺える。
とすれば、グレンの情報によってもたらされた千載一遇のチャンスをもって工作員を使いプリシアを抹殺……
それが達成されれば御堂にとっても好都合、ディーブはお手柄で、得られる報酬も大きいだろう、という算段であったことが想像できる。

ともあれ、銃撃戦の後は、茜ともども小次郎を監禁し、二階堂が御堂とつながっており、もう片方の国璽を持っているのが御堂であるという 情報を引き出す。
それを確認するためにディーブはアジトを去り、御堂と会うために出かけていくのだが、
それからすぐ後、源三郎とまりながアジトを襲撃。
まりなはディーブを追い、源三郎は小次郎たちを救出するために戦う。
小次郎と茜は外車に乗せられ、心中を装って殺害されかけるが源三郎によって救出される。
アジトに残っていた工作員は源三郎によっておそらく、全て殺害されている。
描写はないが、おそらくこの時点でシリアも寝返り、源三郎に手を貸したのではないだろうか。
サラとシルディについては残念ながら射殺されたと考えざるを得ない。もったいない話である。

さて、問題はまりなである。彼女は源三郎の車でディーブを追跡する。到着した場所はプリンセス・ホテルの地下駐車場。
ディーブたちは311号室へ向かったということを確認し、急遽310号室を確保、源三郎の私物である盗聴器を持って隣の部屋で盗み聞きをする。

このシーンで、ディーブの部下だと思われる工作員が二名死んでいる。
ディーブ本人の事件を解説する前に、この事件について記しておこう。

■ディーブの護衛の事件について
名前も与えられていない脇役二名がナイフで殺害される。
被害者は、ディーブの部下、つまり旧エルディア情報部の工作員である。
一人は刃物で首を切り裂かれ絶命、もう一人は背中から胸にかけてをナイフで貫かれて、標本のように床に突き刺されて死亡。
現場に残ったナイフは一本であるので、同じナイフで二人とも殺害されたと考えられるが、
他の事件同様真相が明らかにされているわけではないので不明。
犯人についても、ゲームのエンディング直前においての犯人入力で入力を必要としないため不明。
部屋の前にはディーブの護衛が立っていて、中にはディーブと、その客人がいた。
客は二人以上いた可能性が高く、それは御堂と真弥子だったと考えられる。

隣の部屋で盗聴をするまりなが聞き取れた言葉は以下の通り。全てディーブのセリフ。

《……という話を聞き及んでいるのですよ。》
《そういう事をされては、困りますな。》
《ほぉ、条件によっては……なるほど。》
《ふむ、ならば仕方がありませんが……わかりました。そのことは忘れましょう。》
《はっはっは、まぁお互い、同じ穴の何とかですからな……飾ってもしょうがないでしょう。》
《さっ、どうぞ……そちらも?》
《なるほど、無理からぬ所ですかな……。》

《ガシャーン!》 これはガラスが割れる音。
《き、貴様は……誰だ!?》
《ま、まさか貴様が……そんなバカな……バカな!》
《護衛! 何をしているか、あいつを……!》
《バーン!》 銃声。
《バーン!》 二発目の銃声。

この後まりなが隣室に突入、護衛二名の死体を発見する。調べている最中に部屋の電話が鳴り、
それに応対したところを後ろから襲われて気絶し、連れ去られてしまう。

ディーブと御堂、もしくは真弥子との間に成された会話については不明な点が多いのでここでは省く。
ひとまずディーブの「さっ、どうぞ……そちらも?」に注目してみよう。

飲み物か何かを、客に差し出した……そんなような印象である。
もちろん証拠は何もないから違うかもしれない。
ただ、「そちらも?」という部分のニュアンスが、「そちらの方もいかがです?」といった具合で、
部屋の中に客は二人いたという考えを裏付けるものである。

そしてその後の、バルコニーに通じるガラスが割れる音について。

ゲーム中で描かれたCGによると、殺人現場のガラスは、部屋の内側に飛び散っている。ベランダ部分に破片はない。
すなわち部屋の内側からガラスが割られたのである、という推理が成り立つのだが、証拠としては今ひとつである。

トリスタン号におけるクライマックスの場面、御堂がプリシアを人質にとる場面で、
PC-98版においては、まりなはチャイナドレスを着ているはずなのに普段通りのピンク色の服を着ているCGがあった。
つまり個人的見解としては画面、CGで描かれた部分は信用が置けない、という結論である。
くわえてガラスの破片についてはテキストで説明されていない。
内側か、外側か……については不明であるということだ。
仮にグラフィックでヒントを呈示していたとしても、少々フェアネスに欠けているのではないだろうか。
内側からであれば、内部にいた御堂または真弥子がガラスを割り、そこから逃亡したということになる。
外側からであれば、御堂の部下、ディーブが指揮していた者とは別の情報部員が侵入した、とも考えられる。

ガラスの件については保留し、銃声について考えてみよう。
銃声は二発。そしてディーブの護衛たちは拳銃を抜いていない。
つまり撃ったのはディーブか、客かである。
可能性は、二発ともディーブが放ったか、二発とも客つまり御堂が撃ったか、一発ずつ両者が撃ったか。

どちらにせよ弾は誰にも当たってはいなかった。
その後のシーンで御堂もディーブも真弥子も、誰も負傷していないことからそれが分かる。
それぞれの可能性について考察をしてみよう。
二発ともディーブだった場合……
ナイフをもって護衛を殺害した御堂、または真弥子を撃退するため。
それくらいしか説明がつかない。

二発とも御堂だった場合……
護衛を殺害後、ディーブの追跡を避けるための威嚇。
もしかすると隣にまりながいたことに気付いていて、事件を知らせる意味もこもっていたかもしれない。

一発ずつ撃った場合……
ディーブは敵を殺害しようとし、それに御堂が応戦した。

銃声はガラスが割れた後に聞こえている。
すなわち外部から何者かが侵入していたならば、銃声はその人物によるものだったということも考えられる。

あまりにも証拠が少なく、場面もすぐに転換してしまうために材料が乏しい。
ディーブが殺されたのはこの銃撃が直接の原因かもしれない。
自分を狙って銃弾を発射した、すなわち忠誠のカケラも感じられない。尽くさぬ臣下は必要ないと処断された。
そう考えられないこともないが、ディーブが殺害されてしまったために真相は闇の中というわけである。

■ディーブの殺害
護衛が殺害された後、ディーブは逃亡せずに部屋の中に潜んでいた。
まりなが入ってきた後に、電話、おそらく携帯電話か何かを持っていたのだろう、そこから部屋の電話にかけて、
まりなの気を引き、後ろから襲い、拉致する。人質として、だ。

囚われたまりなに対して、客室でディーブは発言している。以下、抜粋。
「目が覚めたようですね……」
「隣で盗聴をしていた女ですね……」
「あなたも、ヤツの手の者ですか……?」
「フッ、いっぱい食わされましたよ……まさかヤツが裏切ろうとはね……なんてことだ」
「我々の計画は、全て水の泡……ですが私はタダでは沈みません」
「……虚像の恐怖が実像に変わり、ヤツのもくろみが成就するということですか……」
「《テラー》とはよく言ったものだ……」
「しかし、アレが私の手の内にある限り、ヤツは手も足も出ないというわけですね」
「あなたも、脱出のときの人質になって戴きます……もうしばらくいていただきましょう」

ここから判明する事実はまず、国璽の片割れをまだディーブが持っているということである。
それから「ヤツが裏切ろうとは……」のくだりで、ディーブは「御堂は自分を信用していた」と思っていた様子も伺える。
ディーブが御堂に本心から従っていたかどうかは、また別の話である。

まりなは人質としては特に役に立たないと思われるが、
御堂は表向きは大使であり、エルディア国籍の船上で日本政府の捜査官が殺害されるということになれば
彼にとって面倒なことになったかもしれない。ディーブはまりなを御堂の手の者だと思っていたようだが。
結局まりなは、船内にいたアクアに救出され、拘束を解かれる。
その後すぐにディーブの死体を発見する。
死体を詳しく調べる前に、甲野ら日本政府の者たちが踏み込んできて、シーンは切り替わる。
通報によって甲野たちを呼び寄せたのは、他ならぬ御堂であり、つまり必要なくなった者達を処分するためだろう。

ここで唯一分からない、そして重要なことは、ディーブはなぜ客船まで足を運んだのか、ということである。

ホテルでの会談の際、ガラスの割れる音や銃声、護衛の殺害などによって、
おそらく周りのホテル客や関係者にも事件は知れ渡っただろう。
実際にまりなが素早く現場に踏み込んだわけだが、警察に通報されて大騒ぎになるのは時間の問題であったと思われる。
御堂がディーブをトリスタンに呼び寄せたかどうかは不明だが、ディーブにとっても確実に、安全に身を隠せるのは
エルディア国籍の船上だったのではないだろうか。

アクア=スティル=ロイド殺害事件

第四の殺人。被害者はアクア=スティル=ロイドエルディア首相、犯人はμ-101(御堂真弥子)。
客船トリスタン号のプレミアムルーム、ラバトリー内にてナイフで首を貫かれて殺害された。

真弥子の中の前国王はアクアが真弥子に話した内容を聞いていた。
プリシアとの会見後既にそちらに傾きつつあったアクアを、
戴冠式の前に消しておかなくては真弥子の即位が危ういものになってしまう。
そんな風に考えたのだろうか……結局は殺害に至る。

戴冠式でアクアの出番がきても、彼女は姿を見せなかった。このとき既に殺害されていたのだ。
小次郎は不審に思い、式典が真弥子の告白で騒ぎになった時に抜け出してアクアの部屋へ向かい、そこで死体を発見する。

ゲーム中では「犯人は真弥子」と入力しなくてはいけないのだが、真弥子がアクアを殺すわけがない。
解答が明示されていない以上、一ファンとして断言は絶対に避けなければいけないわけだが、敢えて言う。
「御堂真弥子」が、アクアを殺したはずがない。
二階堂やディーブの件にしてもそうだが、「真弥子」が犯人というのはいささか語弊があるようだし、
納得がいきかねる。しかし選択肢が用意されていない以上は真弥子が犯人だと言わざるを得ないわけだ。

手がかりはほぼゼロ。というか、色々と残っていた可能性が高いが、
船が爆発し沈没してしまったために証拠が消え去ってしまった。

現場にはダイイングメッセージと見られる血文字が残っていたのを小次郎が確認している。
小次郎の方から見てd、すなわち裏返せばp。これは、アクアが書いたのかも知れないが、真弥子が書いた可能性もある。

アクアだった場合
可能性はほぼ無い。なぜなら首をナイフで貫かれて、アクアはすぐに倒れている。
そして小次郎が見つけた際、アクアは目を開いたまま息絶えていた。
ダイイングメッセージを残していたとすれば、それを書いた時にはまだ生きていたわけで、
死に際した人間が目を開いたまま死ぬかどうかは疑問である。
死んだことがないので分からないが、おそらく目は閉じようとするのではないだろうか……即死だったと考えた方が自然である。

とはいえ可能性はゼロではない。真弥子は前国王として発現する際、その姿を変える……と思われる。
つまり髪の色が金色になり瞳の色もプリシアと同じになる。
殺害される瞬間に見たその姿、鏡に映った少女の姿がプリシアに見えたから、犯人を告発する意味でpと書いた。

前国王だった場合
プリシアに罪を着せるための工作。船が沈没したために特に役には立っていないが。



この事件に関する最大の疑問というか、問題
真弥子は戴冠式の直前に小次郎とデッキで出会い、一緒に花火を見て結婚の約束までしている。
その後二人は離れることなく式典会場へ向かい、プリシア戴冠まで行動を共にしている。
ということは小次郎と花火を見てた時点で既にアクアは死んでいて、真弥子はそれを知っているはずなのだ。
返り血を浴びてそれを洗ったことも想像される。正気に戻ったあとにアクアの死体を見て、悲鳴をあげている。
精神的にぶっ壊れていないのが不思議である。
もしくは既におかしくなっていたのかもしれない。
自分に残された時間は少ない――だからこそ小次郎に結婚を申し込んだ、のだろうか。
そしてだからこそ、真弥子は王位を辞退した、とも考えられる。
前国王の意識が発現しないうちに……。

ロス=御堂殺害事件

第五の殺人。
被害者は旧エルディア情報部部長、ロス=御堂。
犯人はμ-101(御堂真弥子)。犯行に使われた凶器は描かれていないが、おそらくナイフ。

■事件の流れ〜まりな編
プリシアが即位したことによって御堂は追い込まれることになる。
まりなは彼を逮捕しようと船内を追跡するのだが、御堂はプリシアを盾にして逃げ回る。

プリシアを連れて船室に逃げ込んだ御堂を追いかけてやってきたまりなは、内側からカギがかかっているのに気付く。
きゃあああ、と、プリシアの叫び声が聞こえる。
続いて、一発目の銃声。
まりなが室内の異変に気付く。二発目の銃声。
拳銃でドアを壊して強行突入すると、御堂が首を切られて死んでおり、プリシアがそれを見て震えている……という状況。

調べようとした矢先に船そのものに異変が起こる。船底が爆発し、トリスタン号は沈没をはじめる。
そのせいで御堂の死についてはうやむやになってしまう――。

■事件の流れ〜小次郎編
アクアの事件を発見した小次郎は現場を調べる。
その後部屋から出るのだが、他の客に出てくるところを見られてしまったために怪しまれることに。
人気の無い機関室に逃げ込み、これまでのことを考える小次郎。
するとその時、船の上から銃声が二発聞こえてくる。
そのあと、何が起こったか調べるために上へ行こうとする小次郎の前に真弥子が現れる。
逃げる真弥子、それを追いかける小次郎。そこで船の爆発が起こり二人は倉庫のような場所に閉じこめられてしまう……。

■事件の流れ〜真弥子編
「真弥子、なにをするのだ!?」
「パパ……何を言っても驚かない……言って」
「プリシアを……殺したのか?」
「気絶しているだけ……」
「……だが今殺しても、もう手遅れだ」
「……」
「……ナイフを置きなさい」
「私は……なに?」
「……」
「言わなければ、このナイフを自分の喉に突き立てて死ぬ」
「国王を殺す気か!?」
「……!?」
「お前は……プリシアの身体を持った国王だ。国王の意志を継ぐ者だ」

アクアから真実を告げられた真弥子は、それを確かめるために御堂を問い詰めることにしたのだろう。
つまりこの客室の中にはあらかじめ真弥子がいた。
そこへプリシアを連れた御堂が入ってきたが、真弥子がプリシアを襲い、気絶させた。
プリシアが眠っている間に、真弥子は御堂から全てを聞かされる……。



一応まとめておくと、流れはこうなる。
まりな編 御堂を船室に追い詰める。中からプリシアの叫び声→銃声二発→突入→死体発見、爆発
小次郎編 銃声二発→真弥子と遭遇し追いかける→爆発

■銃声について
まりなが聞いた船室の中からの銃声について考えてみる。
室内にいた人間で拳銃を所持しているのはおそらく御堂だけだろう。
直前に、シリアを撃つのに拳銃を使っているので御堂が持っていたのは確実。

二発の銃声は御堂によるもの、と考えて良さそうである。
では何のために撃ったのだろうか。

プリシアを連れて船室へ入ってきたところを真弥子が待ち伏せ、プリシアを強く殴るなどして気絶させる。
真弥子は御堂に対し、本当のことを教えるように言う。
もはやこれまでと悟っていた御堂は、そこで真弥子に全てを語る。

銃声は、まりながプリシアの悲鳴を聞いた後に聞こえているので、
プリシアが目を覚ました時点ではまだ、部屋の中に御堂と真弥子がいたわけだ。

真弥子はその時、前国王として覚醒していたのだろうか……とにかくナイフを手に持っている。
それを見てプリシアは悲鳴をあげたのだろう。

アクアの死体の傍にはナイフが転がっていたため、真弥子が持っていたナイフは
アクア殺害の際に使ったものとは別のものである。

おそらく言葉通り、ナイフは真実を御堂の口から引き出すための小道具だったはずだが、
タイミングが悪く、プリシアが目を覚まして悲鳴をあげた。

ナイフを振るう=真弥子の中の前国王が目覚めている
と考えられ、そのターゲットはおそらくプリシアだった。
プリシアが即位してしまっては、もはや自分に道は残されていない。たった一つ、プリシアを殺すことを除いては。
しかし「もはや手遅れだ」と御堂は言った。
もうプリシアは正式に即位してしまったし、真弥子=前国王の面倒を見る御堂は当局に逮捕されようとしている。
加えてμ-101には崩壊が迫っている……しかし、そういった様々な現実と、前国王の中の殺意は乖離していたのではないだろうか。

というわけでプリシアを殺害するために真弥子はナイフを振るい、それを阻止するために御堂はピストルを撃ったのではないだろうか。
つまり一発目の銃弾は威嚇ではないか、という考え方である。真弥子の注意を自分に向けるためだ。
考えられる動機は三つ。
一つは前国王に対して、プリシアよりも自分を殺して欲しいと願う気持ち。唯一忠誠を誓っていた御堂なら、無い話ではない。
二つ目は、少なからず愛情を抱いていた「真弥子」に対する、これ以上罪を重ねて欲しくないという気持ち。
三つ目は、真弥子がこうなってしまった以上、プリシアがエルディアを支えなくてはならない。その彼女の命を守った。

例によって真実は不明であるが、とにかく一発目の銃弾は誰にも当たらなかった。
逆上した真弥子がターゲットを御堂に変更したわけだが、まりなが聞いた銃声は二発。
殺される直前の御堂が撃った二発目の銃弾は、誰に向けられていたのだろうか。

標的として考えられるのは四つ。
二度目の威嚇、プリシア、真弥子=前国王、自分自身

真弥子が殺意を抱いてナイフを振るおうとしていた時点で威嚇は既に効果を発揮しないだろう。よって却下。
真弥子=前国王に銃を向けるのは絶対にあり得ない。これまでの御堂の言葉を総合すればそれは明らかである。
であるならばプリシアを殺そうとするか、または自殺をはかるかのどちらかだ。

プリシアを殺そう、というのも実はおかしい。
御堂は真弥子との会話の中で、もはやこれまで、と覚悟を決めている。
ならば二発目の銃声は自殺未遂としてもよかろう。
真弥子が銃口をそらし、あらためて首をナイフでばっさりやって殺害。

一度目の発砲は御堂によるものである可能性が高いが、とにかくプリシアは目覚め、そして御堂は彼女の目の前で殺害される。
二発目の銃声をまりなが聞いた時には、既に御堂は死んでいたかも知れない。
プリシアが御堂の銃を拾って、真弥子に対して発砲したということも考えられなくはない。

さてまりなが銃声のあとすぐに部屋に突入、そのときには御堂の死体のそばにプリシアがいた。
「わたし、わからなくて……あれが……だから……」
と、プリシアは謎めいた言葉を残している。
「あれが真弥子さんだと分からなかった。だから、ピストルを撃った」
と言いたかったのだろうか?

まりなが部屋に入った時、そこに真犯人である真弥子の姿は無い。
隠れていたわけでもなく、小次郎編において彼女は機関室に姿を現している。
その船室には、機関室へ通じる隠し通路があったと考えるほか、解決策は無い。

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