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2011年01月05日(水曜日) |
それでも民主党政権に期待する=倉重篤郎(専門編集委員)
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◇社会保障・TPPでブレぬ軸を 「やはり民主党政権はダメですね」。年明けにいただいた賀状の多くに政権交代への失望、日本国への危機感がにじんでいた。国民感情的には、愛想づかしのようだが、私はそうは思わない。菅直人政権には、まだやってもらわなければならないことがある。 1月召集の通常国会で、菅政権は昨年の臨時国会以上に七転八倒するだろう。支持率低下政権の足元を見た野党がここぞとばかり攻めたてる。小沢一郎氏ら与党内反主流派がそれに便乗するかもしれない。衆参のねじれは依然として解消できずにいる。 ただ、これは議会制民主主義である限り宿命的な試練である。菅政権はこの荒波を乗り切るため、3枚のカードをタイミング良く切らざるを得ない。小沢氏の国会説明カード(政治倫理審査会招致)、仙谷由人官房長官らへの問責決議に対する対抗カード(内閣改造)、そして、予算、関連法案成立のための多数派形成カード(連立工作)である。1枚でも出し遅れると、立ち往生しかねない、極めてスリリングな国会だ。与党としての意地と知恵と戦術をフル動員して対処するしかない。 ただし、ここまでは政局運営として必要最低限の仕事である。これだけにかまけていると、何のためにこんな努力をしているのかが分からなくなる。政権としていつまでに何をするのかを今一度整理、明確化しなくてはならない。 ◇少子化や安保の整理・深化必要 そのためには二つの作業が必要だ。 まずは、09年衆院選で約束したマニフェスト(政権公約)の再定義である。政権交代を実現させた民主党と国民の間の基本合意のようなものだからおろそかにはできない。かといって満額回答とはいかない事情を国民も理解している。丁寧で透明性の高い党内議論を積み上げ、何を優先して、何を先送りするのか、説得力とメリハリのある整理をしてほしい。 その際、政権交代ゆえに実現可能になり、かつ時代対応性の高い政策についてはさらに深化させたらどうか。子ども手当、雇用など一連の若年層への予算の傾斜配分がそれにあたると思う。人口減・少子高齢化という日本の経済・財政の最大の難問を中長期的に解決していくためには、限られたパイの中で世代間調整を進めるしかない。子どもにお金をかけよう、というだけではなく、一歩踏み込んでその財源については、お年寄りやこれから年金・医療費が膨大にかかる団塊世代への給付減によってお願いしたい、と本音を語るのも手である。 鳩山由紀夫前政権がうたった「日米対等」「東アジア共同体」理念も簡単に切り捨てず深掘りしてほしい。米国への過度な依存の修正・自立化と対中国独自外交力の強化を図るのは、東アジアの独立国家としては極めて穏当な問題提起だった。ただし、「普天間」の迷走、「尖閣」ショックで、それが時期尚早であることが露呈した。この際は日米基軸に一度立ち戻り、日本は自らを守るためにどこまで武装し、それを補完する外交力をどう鍛え直すのか、米国にどこまで頼るのか、安保外交戦略を再構築する絶好の機会にしてみてはいかがか。 二つ目の作業は、政権交代後に必要となった政策を新たな公約に高めることだ。消費税の増税を含めた持続可能な社会保障制度の構築と、通商活性化・農業体質強化のための環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加である。 ◇「消費税」「農業」新たな公約作れ 時の政権は、マニフェストだけを実現すればいいわけではない。新たに生じた国政上の重要案件を的確に処理する権限と責任を負っている。92兆円の歳出に37兆円(10年度)、41兆円(11年度)しか税収のない予算編成と、国内総生産(GDP)の2倍・1000兆円に近づく公的債務残高、そして現行のままでは破綻が目に見えている社会保障制度の抜本改革は、まさしくそれにあたろう。 成長政策の柱として、TPPをはじめとする自由貿易圏への参加も重要だ。通商立国としての可能性追求と農業の保護強化をどう両立させるのか。政策手腕の見せどころだ。 菅政権は6月までにこの2政策を練り上げる、という。妥当な時期ではないか。それまでは、2作業を大車輪で進めながら、それを自らの唯一最大の存在理由として歯を食いしばるしかない。そして、時満ちたころに実現への一手を打てばいい。大連立でも衆院解散でも、軸がふらつかなければ数はついてくる。 日本国の危機的状況はかくて政治的に解決される。時代が求める政策は自らを実現する。せっかくの政権交代。その果実を取らずしてサヨナラとはいいたくない。
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