高濃度のPM2・5が観測されている福岡市の幼稚園では、園児の外遊び自粛の動きが広がりつつある。
「子供たちを外で遊ばせるのは控えましょう」
福岡市城南区の城南幼稚園。小林裕子園長(49)は今月22日早朝、朝礼で職員へこう伝えた。170人いる3~5歳の園児たちは前日も、小林園長の判断で室内で過ごしていた。
大気汚染を心配する保護者からの要望を受け、今月7日から午前8時半と正午に福岡市のホームページ(HP)などの観測データを確認。国の環境基準を超えた場合、外遊びを控えるというルールを定めた。
22日朝、市のHPでは「環境基準超過は予測されていません」となっていたが、市の環境監視サイトで地図上に色分けされた公害速報を確認すると、基準値超えを示す赤い表示が出ていた。小林園長は「情報が錯(さく)綜(そう)する中、過剰反応して子供たちに何もかもだめとはいえない。どう対策すればいいものか…」と悩む。
280人の園児がいる福岡市南区のあすなろ幼稚園の柿(かき)迫(さこ)重正園長(48)も環境省や九州大学など4つの情報サイトを毎日確認し、園児を外で遊ばせるかを決めている。空気清浄機の増設も検討中だ。柿迫園長は「外で遊べなければ園児にストレスがたまる傾向があるが、具体的な対策は何も打てない」と不安を口にした。
子供たちの中国渡航を取りやめるケースもある。
福井県あわら市は、友好都市である中国・紹興市への中学生らの使節団派遣を中止した。昭和61年から毎年派遣し、今年は3月13~18日の予定で24人が北京や上海などを訪れる予定だったが、2月初めから保護者の間で大気汚染の健康への影響を懸念する声が上がった。最終的には全生徒が不参加を申し出たという。