以下は1999年2月9日12時15分ごろ、私がホビー・データ大阪事務所に第十回アクション〆切について電話にて問い合わせた際の対応を、可能な限り事実に基づくように勤め、脚色等を廃して再現したものです。
「もしもし(注1)。わたくし、あっちもこっちもたまご大戦参加者の石井(注2)と申しますが、第十回アクションの〆切についてお伺いしたいのですがよろしいでしょうか。RAシートの裏(注3)には2月11日消印有効(注4)とありますが、これでよろしいのでしょうか」
「大変申し訳ございません。それは誤植(注5)でして、8日が〆切(注6)となっております」
「ということは、もう今からでは間に合わない(注7)ということですね」
「大変申し訳ございませんが、そのようになります(注8)。ですが提出していただければサブRAの処理はいたしますし(注9)、担当ブランチのリアクションシートの方もお送りできます(注10)ので、アクションは提出していただけますでしょうか」
「そうですか。つまり今からではもう間に合わない、と。〆切が急遽変更になったものとばかり思いまして(注11)、11日〆切という標記に従ったのですが、それでは救済措置はいっさいなし(注12)、ということですね」
「少々お待ちください。(しばらく何事か相談する)(注13)可能な限り(注14)リアクションに反映されるよう対応いたしますので、お送りいただけますでしょうか」
「つまり反映されるとは確約できない(注15)、ということですね」
「なんとか対応いたしますので」(注16)
「誤植に従った者に対する救済措置はない(注17)、ということですね」
「申し訳ございません。可能な限り対処いたしますので」
「失礼ですがお名前は」(注18)
「わたくしOと申します」(注19)
「ありがとうございました。では、今後二度とこのようなことがないようにしてください(注20)。失礼します」
(注1) 極めて丁寧に。紳士的な口調で。本当に怖い極道は、とてもではないが極道とは見えないような紳士的な人物であることがあるという。私に道を極めるなどということはできそうにないが、この一点だけは真似をしてみた。
(注2) まず、名乗りを上げる。私がどのような行動を採ってきた客か、本気でマークしているのならば気付く機会を与えた。真珠湾攻撃を奇襲でないと主張する程度には、私は奇襲を避けたつもりだ。
(注3) 「あっちもこっちもたまご大戦」では、キャラクターデータ等が印刷されたRAシートにアクションを記入する。基本的にはこれにすべてのアクションを記入しなければならず、別紙添付は禁じられている。どうしても書ききれない場合は、マスターへの私信という形式を採らなければならない。
RAシート裏にはお知らせ、クイズ、各種〆切が印刷されている。当然のことながら「ネットワールド」誌や共通リアクションよりも印刷するのは遅く、つまり最新情報ということになる。
(注4) ちなみに第九回アクション〆切は1月11日(消印有効)であった。
(注5) チェックミス、変更忘れ、その他すべての文字に関する間違いは「誤植」と表現することができる。便利な言葉だ。
(注6) ちなみにこの会話をしているのは、2月9日12時15分ごろ。
(注7) もしかしたら何らかの救済が用意されているのではないかと考え、確認してみた。
(注8) 用意されていなかった。買いかぶりだったようだ。
(注9) サブRAとは、キャラクターのパートナー(ビースト)について能力を高めたり特殊能力を付与する行動のこと。
ただしサブRAによる変更は次回アクションより有効となる。今回は第十回、つまり最終回。しかも第十回にはビーストはキャラクターと別れ、異世界に戻ることになっている。つまり、サブRAが処理されることの利益はまったくない。まったく、ないのだ。
処理される利益がないものを、あたかも一種の救済であるかのように発言する無神経さ。他の者が騙されることがあったとしても(ないだろうが)私は断じて騙されない。客を馬鹿にした発言、その一。
(注10) そのリアクションに、自分のキャラクターが登場する可能性はない。もし登場する可能性がありながら登場していないのだとすれば、自分の行動が悪かったのではないかと反省することができる。また、そもそもアクションを送っていないリアクションならば、読み物として愉しんだり、ゲーム全体に関する推測のための情報源と割り切ることができるだろう。
しかしそもそも登場する可能性がないリアクションだけを送られても、ゲームに参加できなかったという悔しさだけが募る。PBMとはリアクションを読むゲームではなく、アクションを送付するゲームなのである。小説形式のリアクションが主流になるにつれて、この点を誤解する人があまりに増えたようだ。
この電話対応をしている女性がどの程度までPBMについて理解しているのか分からないが、認識レベルが低いということだけは断言できる。言い繕いのために確信犯的に発言しているのならよいのだが、全体から判断して、そのようなことはない可能性は極めて高い。
(注11) ABブランチ担当の暁湊マスターは、第九回リアクションを遅刻していた。そのため〆切もそれに対応して延ばしたのだと考えていた人は、相当数存在するようだ。プレイングマニュアルおよび「ネットワールド」誌には8日〆切とあるが、RAシート裏の印刷時期がもっとも遅く、つまり最新情報であると考えるのは自然なことである。
(注12) この点を確認したかった。そう、この点を確認するために、私はわざわざ大阪まで高い料金を支払って電話をかけたのだ。この点を、この点をはっきりと確認するために。
(注13) 自分では判断できなかったらしい。どうやらアルバイトか何かであるようだ。ある程度の責任を取る立場なら、自分で判断するべきである。……あるいは私はまだ、日名GMやゆ〜げん監督を買いかぶっているのかもしれないのだけれど。
(注14) 救済措置があるのか、明言を避けた。そこを確認するために電話したというのに。ホビー・データはお役所か?
(注15) 確約できるのかどうか、この部分だけ強く発音することで強調した。私はこの点を確認したかったのだ。
(注16) またも逃げた。このあたりの問答、実際には数度繰り返されたかもしれない。くどくなるのと、回数を明確に記憶していないため、省略した。
よほど「責任者を出せ」といいたかったが、おそらく無駄であろうと判断してやめた。時間稼ぎをされても困る。テレカの度数はどんどん減っている。念のため小銭は用意していたが、こんなくだらないことのために金を使いたくない。
(注17) 繰り返す。私はこの点を確認したかったのだ。しかし最後まで明確な回答はなかった。電話による問い合わせにすらまともに対応できないようだ。アルバイトとはいえ、どういった社員教育をしているのだろうか。ホビー・データ社が致命的な人材不足であるということがよく分かった。少なくともホビー・データ大阪事務所は、まるで駄目だ。
(注18) アルバイトだろうがなんだろうか、自分の発言には責任を取ってもらうよ、という趣旨の発言。
(注19) 名前の公開はやめようかと思ったが、発言に責任を取らせるという趣旨を貫徹する。
(訂正 ファイナルイベントにおいて、この人物はゆ〜げんみゆき監督であるということが判明した。マスターの本名公開はいろいろとマズいので、イニシャルに変更する。しかし……いや、やめておこう)
(注20) そして二度と繰り返すことがなかったとしても、私は二度と参加しない。わずか一度の間違いが、信用を回復不能にすることがある。
人間、誰しも間違いをする。それは仕方がない。問題は、それをどうフォローするかということだ。「申し訳ございません」などという言葉が聞きたかったのではない。「11日消印を有効にいたします」といって欲しかったのだ。そのことで被る金銭的な損害は、私の知ったことではない。ミスしたのが悪いのだ。しかし金銭的損害を惜しんだために、こいつらは信用を失った。それがいかに商売に影響を与えるのか、まるで理解していないようだ。
このような質の低いアルバイトを雇ってしまった点は同情するが、しかしたとえアルバイトに過ぎないのだとしても客に対しては会社すべてを代表しているということを忘れてはならない。少なくとも私は、そのように判断した。だから二度とホビー・データ社を信用することはない。もはや回復は、不可能なのだ。
付記(1999.3.7)
以下にみやかわたけしホビー・データ取締役とやりとりしたメールを公開する。
Date: Wed, 24 Feb 1999 23:54:11 +0900
From: 石井 文弘
To: tak@hdt.co.jp
Subject: 「メイルゲームの歴史について」
--------
「メイルゲームの歴史について」読ませていただきました。
二点、読む中で疑問に感じる部分がありましたので、指摘させていただきます。
第一章のうち
>『蓬莱学園の冒険!』のアウトプット(ホビー・データ用語でいうところの
>リアクション)
遊演体ではアウトプットという用語は使用していなかったはずです。
「那由他の果てに」で水原静が中心となって作成した同人誌紹介同人誌「波
津野スポーツ」に、リアクションをアウトプットと呼ぶのはいかがなものか、
という趣旨のことが書いてありました。以来、アウトプット(あるい単にプッ
ト)とはホビー・データ用語であると思っていたのですが、どうやら別の所に
源流を求めなければならないようですね。
>『ゲームグラフィクス』誌や『コンプティーク』誌
「ゲームグラフィックス」が正式なカタカナ表記のようです。今、奥付で確
認しました。些細なことですが、念のため。
ネット88、蓬莱学園については、私は参加しておりませんでした。ですが
みやかわさんの分析は面白いと思います。蓬莱以後、方向性を誤ったという
のはまったくそのとおりです。那由他はひどい代物でした。余りにもひどい
ので、ネットゲームはこんなものではないはずだ、と思って夜桜に参加した
ほどです。ともあれ、以後のゲームの分析を愉しみにしております。
遊演体以外のゲームには参加したことがなかったのですが、それだけでは
いけないのではなかろうかと思い、「あっちもこっちもたまご大戦」に参加
させていただきました。
感想としては、リアクションは愉しめたけれど、設定の不備、運営的な不
備が目立ちすぎた、ということになります。第十回アクションの〆切誤植は
ご存知でしょうか。8日消印有効が11日消印有効となっていたのです。これ
を最新情報と信じた人は少なからずいたようです(私もそうです)。
謝罪広告を出せとか11日消印有効にするべきだなどとは申しませんけれど
9日になっても対応を決定していなかったというのは非常に問題ではないか
と思います。
では、これにて失礼いたします。ハッスル・ストリート、大変なようです
けれど、お体には気をつけてください。
------------------------------------------------------------
石井 文弘
mailto:is6f-isi@asahi.net.or.jp
Homepage:http://www.asahi-net.or.jp/~is6f-isi/
Date: Thu, 25 Feb 1999 19:51:41 +0900
From: takeshi miyakawa
To: is6f-isi@asahi-net.or.jp
Cc: tak@hdt.co.jp
Subject: Re: メイルゲームの歴史について
--------
みやかわ@GNJです。
本日はGNJのために作業をしているので、このメールアドレスです。
> 「メイルゲームの歴史について」読ませていただきました。
ありがとうございます。公開したのがたしか22時くらいだったと記憶
していますが、石井さんは23時54分づけでメールを書かれていますね。
正直、脱帽です。
> >『蓬莱学園の冒険!』のアウトプット(ホビー・データ用語でいうところの
> >リアクション)
>
> 遊演体ではアウトプットという用語は使用していなかったはずです。
> 「那由他の果てに」で水原静が中心となって作成した同人誌紹介同人誌「波
> 津野スポーツ」に、リアクションをアウトプットと呼ぶのはいかがなものか、
> という趣旨のことが書いてありました。以来、アウトプット(あるい単にプッ
> ト)とはホビー・データ用語であると思っていたのですが、どうやら別の所に
> 源流を求めなければならないようですね。
これはですね。
「88」「蓬莱」ではアウトプットと呼んでいたのです。
クレギオン#1が最初に「アクション」「リアクション」という用語
を採用し、遊演体も「那由他」以降、リアクションという用語を採用す
るようになったものです。水原氏の発言は、旧用語を使い続けているプ
レイヤーの多いことを嘆いたものでしょう。
> >『ゲームグラフィクス』誌や『コンプティーク』誌
>
> 「ゲームグラフィックス」が正式なカタカナ表記のようです。今、奥付で確
> 認しました。些細なことですが、念のため。
これは、次の更新のときに訂正することとしましょう。ありがとうご
ざいます。
> 遊演体以外のゲームには参加したことがなかったのですが、それだけでは
> いけないのではなかろうかと思い、「あっちもこっちもたまご大戦」に参加
> させていただきました。
> 感想としては、リアクションは愉しめたけれど、設定の不備、運営的な不
> 備が目立ちすぎた、ということになります。第十回アクションの〆切誤植は
> ご存知でしょうか。8日消印有効が11日消印有効となっていたのです。これ
> を最新情報と信じた人は少なからずいたようです(私もそうです)。
> 謝罪広告を出せとか11日消印有効にするべきだなどとは申しませんけれど
> 9日になっても対応を決定していなかったというのは非常に問題ではないか
> と思います。
(ここで説明するようなことではないですが)対応は決定していたの
ですが、11日消印に完全対応できる自信がなかったことが歯切れの悪い
対応に終始した理由だったと思います。その件についてはお客様から問
い合わせがあって初めて社内的に発覚したことであり(その日付を私は
把握していませんが)、全マスターに連絡をつけ、11日消印に完全対応
できる確証を得る時間がなかった、というわけです。
ただ、内部的に確証がないとしても、
「なんとしても11日消印で完全対応してみせる」
という気概があれば、対応を承知しないマスターがいても(そういう
不穏なマスターがいる可能性がある、というのはプロレスじみています
が)グランドマスターなり監督なりがお客様に迷惑をかけないかたちを
作ることは可能なわけで、その気概がなかったと言わざるを得ないこと
は大阪事務所の失点でしょう。指導が行き届かず、申しわけありません
でした。
(個人的な感想を言わせてもらいますと、知識欲旺盛な石井さんが、
弊社の作品の中からあえて『あっちもこっちもたまご大戦』を選ばれ
たのはなぜか、不思議な気がします。あの頃でしたら『ヴァルハラ・
ライジング』あたりを選ばれる方がしっくりいきますけれど……)
> では、これにて失礼いたします。ハッスル・ストリート、大変なようです
> けれど、お体には気をつけてください。
『ストリート・ハッスル』ですね。
「日記」の中でも誤植されていましたが、何かのアイロニーかも
知れないと思って指摘しませんでしたが、単に誤植であるなら、訂
正願います。
それでは。
------------------------------------------------------------
takeshi miyakawa
対応が決定していたということは、分かった。以後は、対応未定という批判は行わないことにする。……最初からみやかわさんにメールすればよかったかもしれない。それをやると、大阪事務所幹部育成という観点からは問題が出てくるのだけれど。
たまご創世紀に戻る