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糖尿病 運動で死亡のリスク半分以下に
2月25日 6時53分

糖尿病 運動で死亡のリスク半分以下に
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糖尿病の患者が、毎日、30分以上の早歩きに相当する運動を行った場合、ほとんど運動しない患者と比べて病気が悪化して死亡するリスクが半分以下になる、という研究結果を厚生労働省の研究班がまとめました。

新潟大学などの厚生労働省の研究班は、全国59の医療機関の糖尿病患者1700人余りを対象に、仕事や日常生活以外での1週間の運動量が多い順に3つのグループに分けて8年間追跡調査しました。
その結果、心筋梗塞など糖尿病の合併症などで死亡するリスクが、運動量が最も多かったグループは、ほとんど運動していない運動量が最も少ないグループの0.47倍と、半分以下になっていました。
また、脳卒中を発症するリスクも、最も運動量が多いグループが最も少ないグループの0.57倍と、4割近く低いという結果になりました。
最も運動量が多いグループは、時速6キロの早歩きに相当する運動を毎日30分以上していた人たちで、運動時間の平均は1時間10分程度だということです。
主任研究者の新潟大学医学部の曽根博仁教授は、「糖尿病治療における運動の効果は今まで考えられていたよりも大きいといえる。臨床の現場では、運動の指導は栄養指導などと比べて専門家も少なく遅れていて、国を挙げて対策に取り組むべきだ」と話しています。

運動指導を行う病院

運動の治療効果に着目し、糖尿病の患者1人1人の体力や生活習慣に応じたプログラムを作って実践している病院があります。
福島県郡山市の太田西ノ内病院は糖尿病患者専門の「運動指導室」を設け、週5日、運動プログラムを行っています。
専属トレーナーが4人いて、患者が運動をしても問題がないと診断されると、詳しい体力検査を行います。
筋力や柔軟性をはじめ、どのくらいの歩行速度が適しているのか、心肺機能の程度を調べます。
その結果に基づいて、生活習慣を聞き取ったうえで、その人に合った運動プログラムを組み立てます。
70歳の藤田公平さんは10年前、重い糖尿病と診断され、運動指導室に通い始めました。
指導は、まず、楽しみながら運動することに慣れてもらいました。
そのうえで、「ややきつい」と思う程度まで運動量を増やしていきました。
藤田さんは運動を続けた結果、体重は15キロ減り、筋力は20%アップしました。
体力もついたため、今では毎日朝と夕方、大型犬を連れて30分、散歩をしています。
血糖値も落ち着いているといいます。
病院では、頻繁に通えなくても数か月に1度、定期的に運動量が合っているかどうかをチェックし、運動を続けてもらうことを目指しています。
藤田さんは、「やはり体調がよくなったのと体も軽くなりました。これからも年齢に合った運動を続けて、糖尿病とうまくつきあっていきたいと思います」と話していました。
運動指導室の星野武彦室長は、「糖尿病をきっかけに運動を始めて、体力が向上して体調も改善する方がたくさんいるので、運動の効果について改めて知ってほしい」と話しています。

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