東日本大震災:「原発事故、風化させるな」 飯舘村の酪農家・長谷川さん講演、福島の現状生々しく−−甲府 /山梨

毎日新聞 2013年02月25日 地方版

処分される牛を見送る酪農家のスライドを見せながら語る長谷川さん=甲府市飯田2の県立国際交流センターで
処分される牛を見送る酪農家のスライドを見せながら語る長谷川さん=甲府市飯田2の県立国際交流センターで

 東日本大震災から間もなく2年。福島第1原発事故被害を全国各地で語り続けている同県飯舘村の酪農家、長谷川健一さん(59)が24日、「フクシマ あの日、いま、これから」と題して甲府市で講演した。長谷川さんは「原発事故を風化させないことを今最も訴えたい」と語り、参加者約50人が福島の現状に耳を傾けた。

 長谷川さんは原発事故後の11年3月14日、村の線量計が自然界の400倍にあたる毎時40マイクロシーベルトを記録したことを村職員から聞いた。「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測システム)も公開されず、国や福島県に情報を隠蔽(いんぺい)され、何も知らされることがなかった」と行政の対応を批判。原発事故後には、学識者や原子力保安院らの専門家から「何も心配ない」と説明されたため、「普通の生活に戻ってしまい、無用な被ばくが増えてしまった」と振り返った。

 当時は牛を殺処分せざるを得ず、酪農を始めて10年目の若手酪農家が牛を殺して泣いていた姿や、酪農家の女性が処理場に牛を送る際に「ごめんね。ごめんね」と叫びながらトラックを走って追いかけた様子などを生々しく語った。

 さらに、南相馬市に住む友人の酪農家が「原発さえなければ」と書き残して自殺したことに触れ、「目が届かなかった。今でも後悔している」と語った。【片平知宏】

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