竹中平蔵氏が考える、投資家のとるべき行動
「日本経済余命3年」から考える、投資家のとるべき行動とは?
2012.12.26
竹中平蔵 慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所所長
インタビュー 高岡壮一郎(アブラハム・グループ・ホールディングス社長)
---『日本経済「余命3年」』という著書を書かれていますが、考え得る日本経済の最悪シナリオは?
日本経済は本当にやるべきことをすべて先送りしてきて、これ以上は先送りできない状況にある。余命が3年なのか5年なのかは誰にもわからないが、近い将来にちゃんとしたアクションを起こさなければならない。
最大の問題は財政赤字。財務省が言っていることはちょっと極端で、彼らが言うように今日、明日にとんでもないことが起こるわけではない。日本には約1400兆円の個人金融資産がある。累積債務の残高が約1000兆円だから、まだ400兆円の隙間がある。ただし、現状は国内の貯蓄が政府の債務の穴埋めに回され、この400兆円の隙間がどんどん狭まっている状態だ。
この隙間がなくなることが明確になった時点でマーケットは動き出す。『日本経済「余命3年」』は、そのタイムリミットがせいぜい3年だろうという意図で書いたものだ。
---日本の財政状態が危機的な中で個人投資家は海外投資に目を向けていますが、これについてのお考えは?
日本経済に対して、潜在的な危機感を持っている人はかなりいるはず。
特に自分の裁量で資産を蓄積して、しっかりと自分でリスク管理をしなくてはいけないと思っている人にとっては非常に深刻な問題だ。
また、多くの人が日本の為替レートは実力以上の水準ではないかと感じている。実は為替相場を実質実効レートで見ると、そんなにむちゃくちゃな円高になっているわけではない。1995年に対ドルで79円をつけたときと今の79円は意味が違う。
とは言え、この間に日本の国際競争力は大きく落ちた。「競争力が落ちたほどには円安になっていない」という意味で今の円高は深刻だ。
しかし、この円高は早晩崩れる可能性がある。
日本はデフレだが、デフレを是正するための金融政策をきちんとしていないので実質金利がまだ高い。だから円が買われている状況がある。しかし今後は実質金利が低下し、円安に転じる可能性が十分にある。為替レートが相対的に高いうちに、資産を別の通貨で運用しておくことは理に適っている。一つの通貨だけでなく、複数の通貨に分散するのは賢明な選択だと思う。
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