アウトレイジ ビヨンド
劇場公開日2012年10月6日北野武監督&三浦友和「アウトレイジ ビヨンド」で得た確信
北野武監督にとって初の続編となる「アウトレイジ ビヨンド」には、多くの発見があった。2010年の前作「アウトレイジ」に比べセリフが大幅に増え、テンポのいい抗争劇が繰り広げられていく。バイオレンスを媒介に複雑な人間ドラマを構築した手腕は「世界のキタノ」の真骨頂。意表を突くキャスティングの妙味も健在で、前作に続く出演となった三浦友和とともに、その作品世界を語った。(取材・文/鈴木元、写真/堀弥生)
「アウトレイジ ビヨンド」は、第69回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に選出され、約4分のスタンディング・オベーションを持って迎えられた。4年ぶり8作目となる水の都でのお披露目。1997年に「HANA-BI」で金獅子賞(グランプリ)に輝き、2003年の「座頭市」では監督賞を受賞したなじみ深い地で手応えをつかんだ様子だが、意外にも上映前には多少の不安があったそうだ。「アウトレイジ」が、カンヌ映画祭で賛否両論を巻き起こしたことも、それをかき立てる一因だったという。
「『アウトレイジ』がカンヌで、ひどい暴力映画というグループと暴力映画の傑作だというところがあって、いい悪いがはっきりしちゃった。でも、いい意見でもあんまりバイオレンスばっかりが前面に出たからちょっとイライラした。それで、映画祭に続編がコンペティション部門に呼ばれるって珍しいんだけれど、ベネチアでもコンペに呼ばれちゃった。内容がちょっと違っていても、暴力映画でやくざ映画には変わりはない。愛とかきずなとかで皆を感動させて、なんかひとつになったような優しい映画がいいという海外の風潮のときに、これ持って行って大丈夫かなと思ったけれど、会場は満杯だったし、かなり反応がいいんで、ああ良かったと思った。終わった後も、あと5分くらいちゃんと立って『HANA-BI』の記録を抜いてやろうかとも思ったけれど、ただ何もしないであそこにずっと立っていてもしようがないんで帰っちゃった。皆、面白かったって言ってくれているんで、ひと安心かな」
「アウトレイジ ビヨンド」の構想は、既に前作の段階で抱いていた。
「内輪の話で、続編があったらどうなるんだろうなとは話していたんだよね。大友が実は生きていて、突然刑務所から釈放されて、抗争に巻き込まれるっていう。台本は書いてなかったけれど、だいたいそんな感じになるだろうなって」
し烈な内部抗争の末、関東最大の組織となった暴力団の山王会。若頭だった加藤(三浦)が会長となり、大友組の唯一の生き残りの石原(加瀬亮)が若頭としてらつ腕をふるい、今や政治の世界にも手をのばしていた。勢力の拡大に手を焼いていた警察は、“マル暴”担当の片岡(小日向文世)が、関西の花菱会との抗争を画策。そんな折、獄中で刺され死んだはずの大友(ビートたけし)が生きていることが分かり、事態は混とんとした様相を呈していく。
やくざの抗争に警察組織を絡めた“北野流”の「仁義なき戦い」。特に片岡が狂言回し的な役割を担い、キャスティングボードを握っている。
「(前作のラストで)加藤会長に代わったときに、『大友、死にましたよ』って片岡に言わせたんだけれど、大友の死体は見せていない。実は生きているってことでストーリーの出だしは楽だった。ただ、関東弁と関西弁のののしり合いをやろうとかいろいろ考えたときに、大友にやる気が出ちゃうと困るんで、やりたくねえと言いながら巻き込まれていくというストーリーに変えたんだよ」
三浦には早い段階で非公式に打診があったようだ。前作では山王会の初代会長・関内(北村総一朗)に従順な若頭だったが、「アウトレイジ ビヨンド」ではトップに君臨したことでの苦悩や焦りが浮き彫りになっていく。
「『アウトレイジ』の封切り日の舞台挨拶で、『続編ができる可能性もあるから、その時はよろしくね』とマネージャーからではなく、監督から直接オファーをいただきました。それは、うれしかったですね。ただ、てっぺんに立つとどうなるかはだいたい見えますからね。多分『アウトレイジ ビヨンド』では、つらいことになるだろうとは思っていました」
事実、加藤は花菱会の存在や、片岡の暗躍によって窮地に追い込まれていく。「この野郎!」「俺を誰だと思っているんだ!」といった前作では控えめ!? だった怒声や罵声も浴びせる。これは北野監督にとっても、大きな狙いのひとつだった。
「俺にとってのメインイベントは、関西と関東のののしり合いと、加藤会長がものすごく感情的になるところ。現代やくざのエリートだった加藤なんだけれど感情が先に立つ。誰も、三浦さんのああいう演技を見たことないと思うんだ。だから、俺は内心ほくそ笑んでいたね。やった、やったと思って。すごく新鮮だし、面白かったなあ」
演じた三浦も、何ともいえないそう快感があったようだ。
「ああいうののしり合いの後というのは、引きずらないですからね。だから、カットがかかったり、そのシーンが終わった後は若干の虚脱状態にはなりましたけれど、ストレス解消にはなったのかなとは感じていました」
>>次のページへ続く
- 「アウトレイジ ビヨンド」のインタビュー
-
- 1北野武監督&三浦友和「アウトレイジ ビヨンド」で得た確信(1/2)
- 2北野武監督&三浦友和「アウトレイジ ビヨンド」で得た確信(2/2)
アウトレイジ ビヨンドの関連コンテンツ
関連ニュース:アウトレイジ ビヨンド
- 「アウトレイジ ビヨンド」加瀬亮の怒号クリップ集を入手!(2013年2月12日) 北野武監督作「アウトレイジ ビヨンド」に出演した加瀬亮が、2月7日に授賞式が行われた「第67回毎日映画コンクール」で男優助演賞を戴冠。映画.comはこのほど、同作で加瀬が演じた山… 続きを読む
- 安藤サクラ、映画賞授賞式で夫・柄本佑のために大友克洋にサインをおねだり!(2013年2月7日) 第67回毎日映画コンクールの表彰式が2月7日、神奈川・川崎のチネチッタで開催され、最高賞の日本映画大賞に輝いた「終の信託」の周防正行監督、主演の草刈民代をはじめ、男優主演賞の夏八… 続きを読む
- 悪人全員受賞!「アウトレイジ ビヨンド」が東京スポ映画大賞で3冠に(2013年1月28日) 昨年10月に北野武監督作史上最大規模で公開され、週末興行成績で初登場ナンバーワンを獲得した「アウトレイジ ビヨンド」が、ビートたけしこと北野監督自身が審査委員長を務める「第22回… 続きを読む
- 北野武監督、初の続編作「アウトレイジ ビヨンド」DVD&ブルーレイ発売決定(2013年1月11日) 北野武監督の最新作「アウトレイジ ビヨンド」のDVDとブルーレイが、4月12日に発売されることが決まった。通常版に加え、各種特典映像やブックレットが付属する初回限定生産のスペシャ… 続きを読む
- 小堺一機が今年を映画で振り返る!「ムービープラス・アワード 2012」開催(2012年12月8日) CS映画専門チャンネル「ムービープラス」が企画する特別番組「小堺一機と選ぶ!ムービープラス・アワード 2012」の収録がこのほど、都内のスタジオで行われ、番組ホスト役の小堺一機が… 続きを読む
映画評論:アウトレイジ ビヨンド
耳をつんざくようなヤクザ同士の怒号と饒舌なダイアローグの応酬という見立ての「アウトレイジ」で、鮮やかに<暴力映画>への復帰を遂げた北野武だが、この続篇では同行の手法をあからさまに踏襲しながらも、初期の傑作「ソナチネ」への言及が目立つ。......
フォトギャラリー:アウトレイジ ビヨンド
DVD・ブルーレイ:アウトレイジ ビヨンド
| | | | |
|---|---|---|---|
| アウトレイジ ビヨンド[DVD] | アウトレイジ ビヨンド【スペシャルエディション】[Blu-ray/ブルーレイ] | アウトレイジ[Blu-ray/ブルーレイ] | アウトレイジ ビヨンド【スペシャルエディション】[DVD] |
| 発売日:2013年4月12日 最安価格: ¥2,912 | 発売日:2013年4月12日 最安価格: ¥5,365 | 発売日:2010年12月3日 最安価格: ¥3,481 | 発売日:2013年4月12日 最安価格: ¥4,599 |
映画レビュー:アウトレイジ ビヨンド
- 平均評価
-
3.5 (全32件)
-
ところで、あんたは読める奴? 前作は見事なまでに、悪趣味な暴力シーンのオンパレードだった。暴力のプロフェッショナルである「玄人」さん達の業界、そのロジックは恐ろしくシンプルだ。欲望。権力、カネ、バイオレンス、全ては欲望に基づ... ...続きを読む
beyond_seekerさん 2013年2月12日 評価:4.0
このレビューに共感した/1人 -
Fさん 2012年11月7日 評価:4.0
このレビューに共感した/0人 -
罵り合いが素晴らしい(=´∀`ノノ゙☆パチパチパチ
...続きを読む
初台験さん 2012年11月5日 評価:4.5
このレビューに共感した/0人