ホーム > こんな時は弁護士に > 過去の事件-サンデン交通貸切バス差別事件
自民党の衆議院議員・元大蔵大臣の会社で再々にわたり人権侵害
【2002年2月8日】
広島高裁、再び労働者勝訴を言い渡す
高裁、労働者側の附帯控訴を認め75万円を増額して705万円の支払いを命ずる!
会社は上告せず、総額852万円を支払う
サンデン交通「貸切差別訴訟事件」で、山口地方裁判所下関支部が2001(平成13)年5月9日、原告運転手1人当り80万円、労働組合150万円の合計630万円という高額の慰謝料支払いを命ずる判決を言い渡したのに対し,会社は、この判決を不服として控訴し、労働者側は賠償額を250万円(運転手各30万円、労働組合70万円増の合計額)増額して付帯控訴をしていた。これに対し、広島高裁2部で2回の口頭弁論期日が開かれ書面審査のみで裁判が終結し、2002(平成14)年1月24日に判決言い渡しというスピード裁判となった。
広島高裁は、次のように判決して会社の責任を厳しく糾弾している。会社が第1組合に加入した運転手を貸切乗務から外したのは、第1組合加入を唯一の理由とするものであり、これは、経済的・精神的両面で不利益な取り扱いで労働組合法7条1号が禁止する行為である。会社が主張する貸切乗務から外した正当理由なるものは、これを認めるに足りる事実はない。そうすると、運転手一人当たり80万円、労働組合150万円の慰謝料の支払いを命ずるのが相当であり、なお、この外に弁護士費用相当の損害として運転手一人当たり各10万円、労働組合15万円を増額し、運転手各90万円、労働組合165万円の合計705万円を会社は支払わなければならない。
サンデン交通株式会社は、これまで全ての事件について、理由がないにも拘わらず引き延ばしのため最高裁判所に上告あるいは上告受理の申立をしていた。ところが、今回は、上告しても敗訴することが必至であると上訴を諦めて、損害賠償金の支払いをすると申し出た。そこで、元金705万円、損害金144万円余(年5%の割合による4年余の分)、訴訟費用負担分3万円弱の合計852万円を、近日中に支払うこととなった。
第1組合と運転手は、会社が、第1組合運転手に対する差別を止めて第2組合運転手同様に貸切乗務に就けるよう要求することとなった。会社が、これに応じなければ不当労働行為の中止を求めて山口地方労働委員会への救済申立等の手続をとることも考えている。
【2001年6月14日】
2001年5月9日 労働者側勝訴の地裁判決!
この判決は、サンデン交通株式会社が、配車差別で2度も最高裁判決でその不当労働行為を厳しく断罪されているのに、反省もしないで依然として第1組合差別を続けていることを糾弾し、高額の慰謝料を運転手(1人80万円宛)と組合(150万円)に認めた。特に、民事懲罰的慰謝料は効果的なものであるが、未だ日本の法体系上は認めるのは困難であるが、そのような点も考慮をして高額の慰謝料認定をしたのが評価できる点である。その点では、高く評価できる判決である。
会社は、この判決を不服として控訴した。これに対し、労働者側は付帯控訴をする予定である。
会社の違法性を新たな角度で追及
現在、山口地裁下関支部において、私鉄サンデン組合は三件の訴訟を闘っています。一つは、第四次配車差別訴訟です。これは、九七年に最高裁で勝利した支部運転手に対して依然として新車を配車しないという違法差別を理由とする一九八〇万円の慰謝料請求訴訟です。二つ目は、第五次配車差別訴訟です。九八年七月、会社は何十年ぶりかにたった一台の新車を申し訳程度に支部組合員に配車しましたが、他の支部組合員を差別しているということで一八七〇万円の慰謝料を求めている訴訟です。三つ目が、第一組合に復帰した貸切りバス運転手六名を、貸切りバスから下ろして乗合バスの運転手にするという不当労働行為に対し一七七〇万円の慰謝料請求をしている訴訟です。配車差別を是正しない会社は、度重なる最高裁を初めとする裁判所の判決を無視して違法状態を継続しているので、これを解消する法的な義務があるという新しい争点で裁判が進行することになり、労働者側は勝訴に向けて頑張っています。
下関市に本社があるサンデン交通は、自民党衆議院議員・元大蔵大臣の林 義郎氏が会長を務める会社です。社長は山口県商工会議所の会頭、会長の息子は自民党参議院議員、姻戚関係には山口県知事も名前を連ねています。
その会社であいつぐ差別事件が起きています。
組合加入で貸切バス運転を外されたと運転手6人が損害賠償を求め提訴
私鉄労組サンデン支部と組合員6人は、12月15日、組合に加入後、待遇の良い貸切バスや長距離バスの運転業務を外され、そのため現在まで、総額1200万円の被害を被ったとして、損害賠償と貸切バスの運転手としての地位確認を求める訴訟を山口地裁下関支部におこしました。山口県政財界に君臨する企業でこんな憲法違反が日常茶飯事に繰り広げられることを許すことはできません。
▽ 貸切バスから地域を走るバスに ▽
貸切バスの運転手は東京・大阪の夜行高速便も担当していた
原告の表示 別紙原告目録記載のとおり
(751)山口県下関市貴船町三丁目一番一号下関中央ビル四階
下関中央法律事務所 ○八三二(32)七一六七
原告等訴訟代理人弁護士 田川章次
同 臼井俊紀
(751)山口県下関市羽山町三番三号
被告 サンデン交通株式会社
右代表者代表取締役 林 孝介
一九九七年一二月 日
原告等訴訟代理人 田川章次
同 臼井俊紀
山口地方裁判所下関支部 御中
地位確認、損害賠償請求事件
訴訟物の価額 金一二九五万円
貼用印紙額 金六万九六〇〇円
予納郵券 金七三〇〇円
請求の趣旨
一、原告濱田昭次、同山田公男、同足立整、同村田猛、同山本貢、同山田大助の六名が、被告会社における貸切バス運転手の地位にあることを確認する。
二、被告は、原告濱田昭次と同山田公男両名に対し各金二〇〇万円、同足立整と同村田猛に対し各金一五〇万円、同山本貢と同山田大助両名に対し各金一〇〇万円、同私鉄中国地方労働組合サンデン交通支部に対し金三〇〇万円および右各金員に対し本訴状送達の翌日から各支払ずみにいたる迄いずれも年五分の割合による金員を支払え。
三、訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決ならびに二、三項について仮執行の宣言を求める。
請求の原因
第一、当事者
一、被告は、一九二四(大正一三)年七月九日下関市に於いて設立され、自動車による一般旅客運輸営業等を目的とし、現在(一九九七(平成九)年三月三〇日当時)資本金約四億四千九百万円、従業員数八四六名(うちバス運転手四二四名)、バス参六九輌を有し、下関市を中心に山口県西部で独占的な旅客運輸事業を営む株式会社である。
二、原告私鉄中国地方労働組合サンデン交通支部(以下第一組合または、原告組合という)は、被告会社の従業員七三名をもって組織する労働組合である。その余の一ないし六の原告等(以下、原告運転手らともいう。)は、別紙 1「貸切差別の実態」原告名下記載の生年月日に出生し、同入社年月日に入社し、同本採用年月日記載年月日に運転手として採用され、支部組合加入年月日に原告組合に加入した。
三、被告会社には、現在その従業員をもって構成する第一組合とサンデン交通労働組合(組合員四八二名、以下第二組合またはサン労という)との二つの労働組合が併存している。
第一組合は、一九四六(昭和二一)年二月二八日企業内単一の山陽電軌労働組合として結成され、以後私鉄総連の結成に参加し、昭和二八年二月単位組合の連合体である中国私鉄連合会が、個人加盟の私鉄中国地方労働組合として単一組織に改組された際、これに加入して現在の組織形態に改め、以後同組合の中にあっても高い労働条件を確保し、中核的な位置を占めていた。
その後、一九五九(昭和三四)年一二月、被告会社は、関門国道トンネル開通を当込んでなしたバス路線拡張計画の挫折等経営ミスから危機意識に駆られ、これを低賃金政策によって切り抜けるため、当時強大な力を有していた原告組合を中傷し、また一部組合員の会社職制登用等によって分裂をもち込み、御用組合としての前記第二組合を結成させた。
そして、被告会社は、一九六一(昭和三六)年には原告組合の壊滅を狙って、先制ロックアウトを敢行したうえで、第二組合全体を移動隊なるスト破り集団に組織した上で、原告組合を挑発して大争議に追い込み、警察との連携のもとでバス強窃盗事件という前代未聞の刑事事件をデッチあげ、四三名にものぼる逮捕者を出す刑事弾圧をかけさせた。
以後、被告会社は、一貫して原告組合を敵視し、その壊滅を狙って、原告組合員に対する登用差別、バス配車差別、懲戒の差別的実施等、考えうる限りの組織攻撃を加えて現在に至っている。
特に、バス新車の配車差別については、御庁で、被告会社に対し不法行為として慰謝料を支払うよう命ずる判決があり、広島高裁では原審認定の慰謝料を倍増する旨の判決がなされた。その後、本年六月一〇日最高裁も右高裁の判断を支持する判決をなしている。それにも拘わらず、被告会社は、未だにこの不法な新車配車差別に固執し続けているばかりか、今回、また、次に述べる新たな不当差別を強行するに至った。
第二、貸切差別とその違法不当性
一、原告運転手等は、被告会社に入社後別紙1「担当車の推移」欄記載の如くバスを担当してきている。これによると、原告等は、それぞれ次の時期に貸切バスを担当し、貸切バスの運転手としての地位を取得したことが認められる。
原告 濱田昭次 一九九三(平成五)年 四月
同 山田公男 一九九三(平成五)年 四月
同 足立整 一九九一(平成三)年一二月
同 村田猛 一九九三(平成五)年 三月
同 山本貢 一九九四(平成六)年 九月
同 山田大助 一九九四(平成六)年 五月
二、原告運転手等は、右の如く貸切バス運転手の地位を取得後貸切バス運番に乗務し、かつ、被告会社においては、貸切バス運転手のみが担当することとされている東京・大阪の夜行高速便に乗務してきた。原告運転手らが、一九九六(平成八)年八月一六日から一九九七(平成九)年七月一五日までの間に一ヵ月当たりに、貸切・東京・大阪の各便に乗務した回数は、別紙2「貸切、東京、大阪線勤務実績」のとおりである。
三、ところで、原告運転手等は、別紙1の本採用年月日記載時期に第二組合に加入した。しかるに、第二組合は、原告等運転手の権利を擁護する立場を投げ捨てて、被告会社の御用組合となって原告組合への差別を会社に求める等働くものの権利を擁護するという労働組合の本来の性格に背馳していることから、原告等運転手は、自らの労働基本権を守るため、別紙1の支部組合加入年月日に原告組合に加入した。
四、ところが、被告会社は、原告運転手らが原告組合に加入するや、直ちに、原告運転手らから貸切バス運転手たる地位を剥奪し、現に貸切用車両を担当しているものからはその車両を取り上げて定期用車両に担当替えして貸切・東京・大阪の各便への乗務をさせないようにした。また、担当車を持たないフリーの運転手に対しても、同じく貸切・東京・大阪の各便への乗務をさせないようにした。
五、そこで、原告組合は、先ず、一九九六(平成八)年四月二五日被告会社に対し、原告組合に加入した運転手を貸切運番につけないことは不当差別として不法行為に該当するので、現状に復帰させるよう改善を求めた。
ところが、被告会社は、原告組合との間に貸切協定を締結していないので原告組合運転手に貸切運番に乗務させることは出来ないと回答してきた。
これに対し、原告組合は、貸切業務を拒否したことは一回もなく、貸切業務に関する協定が必要であるなら、被告会社が第二組合と締結しているものと全く同じものを何時でも締結する用意があると申し入れた。
それにも拘わらず、被告会社は、その後も原告組合に加入した原告運転手らに対し貸切、東京、大阪の各便に乗務させないまま現在に至っている。
六、差別の明白性
このように、原告運転手らが原告組合に加入したことを理由としてなされた貸切運転手たる地位の剥奪は、原告組合敵視による不利益な差別待遇を意識的に敢行するという以外に何らの理由がない。これによって、原告運転手らは、後述するように精神的な苦痛を被っているばかりか、経済的にも損失を被っている。
第三、被告の所為の無効と損害賠償責任
一、被告による原告運転手らに対する貸切バス運転手の地位の剥奪は、原告運転手らが原告組合に加入したことを理由とする不当な差別行為であり、原告ら運転手の次の諸権利を侵害するばかりか、公序良俗に反し無効なものであることは明らかである。
1、団結権の侵害
被告会社の右差別待遇は、第一組合の組織を切崩しその組織拡大を阻止することを目的としてなされたもので、第一組合の団結権を侵害すると共に原告組合員に対する不利益取扱いとして、第一組合の組合員個々人が有する団結権をも侵害するものである。
2、期待権の侵害
被告会社の配車慣行に従えば、原告運転手等は、配車につき強固な期待的利益を有する地位にあるものというべきである。そして、原告運転手等には、第二組合所属運転手の同経歴のものに比し、配車慣行の適用を拒否される例外的事情が存しないのであるから、原告運転手等の有する地位は、単なる事実上の期待もしくは希望にとどまらず、一種の期待権として法律上の保護が与えられるべきである。
3、人格権の侵害
原告等が、独立の人格者として社会的に尊重されるべき人格権を有することはいうまでもない。そして、被告会社が原告らに対してなした差別的行為は、その内容の重大さ、継続性に照せば、原告等の人格権を侵害するものというべきである。
よって、原告ら運転手は、現在なお貸切、東京、大阪の各便に乗務する権利を有する貸切バス運転手たる地位にある。
この地位は、程度の良い貸切車両を担当することが出来るという期待権と定期運番より多い時間外等の諸手当の支給を伴うものであるから、確認を求める利益がある。
二、被告による原告運転手らに対する貸切バス運転手たる地位の剥奪は、故意による積極的な加害行為である。とりわけ、新車配車差別について最高裁判決が被告の差別行為を糾弾しているにも拘わらずなされた本件差別行為の悪性は極めて高いものといわざるを得ない。
よって、原告運転手らが、被っている経済的不利益と精神的苦痛に起因する損害について、被告は損害賠償責任がある。
第四、損害
一、原告運転手について
原告運転手らは、貸切業務から排除され、白い貸切車両から緑に黄色の定期車両に配車替えをされる等したため、友人家族らから、何か不始末があったのではないかと指摘され、恥ずかしい思いをさせられている。
また、大阪、東京便には、それぞれ六四〇〇円、五四〇〇円の乗務手当てが付くが、その収入が無くなった。さらに、貸切り運番には、被告が従業員に対し秘密にしている時間外手当名目での優遇措置があるが、貸切運番から排除された原告運転手らは、この時間外名目での優遇手当の支給を受けられなくなったために経済的損失を被っている。
原告運転手等は、現在定期運行業務に従事することを余儀なくされているが、同じ定期運番でも第二組合所属の運転手に比べ、収入が上がらず、かつ身体にこたえる厳しい運番につけられるため、収入面に於ても第二組合所属運転手に劣っている。
二、原告組合について
原告組合は、合理的理由の無い限り、第二組合より不利益な取扱をされないという労働法上の保障規定によって保護されるべき法律上の利益を有するものであるところ、原告組合に加入した原告運転手らに対して瞬時にとられた違法不当な差別取扱いによって右法律上の利益を侵害され、組織拡大を妨害され組合固有の団結権を侵害された。そのうえ、労使間の法秩序たる不当労働行為禁制によって自主的労働者集団たる原告組合が当然享受している組合と組合員は不可分であるということから生ずる主観的・客観的感情利益をも侵害された。
三、右のごとく、原告らが被った損害は、無形の損害であり、この損害賠償内容は、無形の精神的損害に対する補償的賠償と、労働法上の無形の法益の損害に対する民事懲罰的賠償の双方を含むものである。
そして、原告運転手らについての別紙1記載の諸事情を考慮すると、原告濱田昭次と同山田公男両名に対しては各金二〇〇万円、同足立整と同村田猛に対しては各金一五〇万円、同山本貢と同山田大助両名に対しては各金一〇〇万円の慰謝料が必要である。
また、原告組合に対しては、これまでの労使間の諸事情等を考慮すると金三〇〇万円の損害を認めるのが相当である。
第五、結 論
よって原告等は、請求の趣旨記載の判決を求めて本訴に及ぶものである。
■証拠方法
口頭弁論に於て必要に応じ提出する。
■添付書類
委任状 一通
資格証明 二通
別紙 _
■原告目録
一、山口県豊浦郡菊川町大字田部五八一番地の六
原告 濱田昭次
二、山口県美祢郡秋芳町大字別府一九九番地
原告 山田公男
三、山口県下関市王喜本町二丁目九番七号
原告 足立 整
四、山口県下関市小月本町二丁目二番五号
ニュークレストール三棟二〇一号
原告 村田 猛
五、山口県長門市通一六区
原告 山本 貢
六、山口県美祢郡豊田前町保々五八六番地の三
原告 山田大助
七、下関市羽山町四番二〇号
原告 私鉄中国地方労働組合
サンデン交通支部
右代表者執行委員長代行 田村健治