米原発で微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、ガンが急増(NHK) 大量にトリチウムを放出する六ヶ所再処理工場はどうなる?
★アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増(NHK)
★もし、六ヶ所再処理工場が本格稼動した場合、大気中に年間1900兆ベクレル、液体で太平洋に年間1京8千兆ベクレル放出
世界一の原発大国アメリカ。ここではより影響を受けやすい子供たちに深刻な問題が起きていました。イリノイ州シカゴ郊外。周辺に3つの原発が集中しています。原発から排出される汚水には放射性トリチウムが含まれていますが、アメリカ政府は国際基準以下なので影響はないとしてきました。しかし近くの町では子供たちがガンなどの難病で亡くなっていました。
6年前に建てられた慰霊碑。足元のレンガにはこれまでに亡くなった100人の名前が刻まれています。
ソウヤーさん夫妻はガンと原発との関係を証明するため、州政府からあるデータを取り寄せました。過去20年間、全住民1200万人がどんな病気にかかったかを記した記録です。小児科医の夫ジョセフさんが分析したところ原発周辺の地域だけが脳腫瘍や白血病が30%以上増加。なかでも小児ガンは、およそ2倍に増えていました。
“生涯100ミリシーベルトとされる被ばくの基準で、本当に健康への影響はないのか?”
福島をはじめ、全国の人々が現実に直面している放射能の脅威。国は「直ちに体への影響はない」と繰り返すばかりだ。その拠り所としているのが、ICRP(=国際放射線防護委員会)の勧告。
広島・長崎の被爆者の調査データをベースに作られ、事実上の国際的な安全基準となっている。
しかし関係者に取材を進めると、1980年代後半、ICRPが「政治的な判断」で、被ばくでガンになるリスクを実際の半分に減らしていた事実が浮かびあがってきた。
当時ICRPには、原子力産業やそれを監督する各国の政府機関から、強い反発が寄せられていたのだ。
そしていま、世界各地で低線量被ばくの脅威を物語る、新たな報告や研究が相次いでいる。
アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増。
25年前のチェルノブイリ原発事故で、大量の放射性セシウムが降り注いだスウェーデンでは、ICRP基準を大きく上回るガンのリスクが報告されている。
いま、誰もが不安に感じている「低線量被ばく」による健康被害。
国際基準をつくるICRPの知られざる実態を追跡する。
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生涯100ミリシーベルトの基準で、本当に健康への影響はないのか?
NHK 追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺れる国際基準」文字起こしから抜粋
アメリカでは原発から流れ出た微量の放射性トリチウムが地下水を汚染し、周辺地域でガンが急増している。(NHK)六ヶ所再処理工場からは大気中に年間1900兆ベクレル、液体で太平洋に年間1京8千兆ベクレル放出すると推定されている。
2006年~2008年の試運転で既に、空に19.5兆ベクレル、海に2200兆ベクレルをも放出している。
六ヶ所再処理工場 7・8月の放射能海洋放出
原発の濃度規制値の770倍もの濃度で放出
(美浜の会)
六ヶ所再処理工場から7月と8月に海洋へ放出した日と排水量(放出廃液量)と放射能量が明らかになった。ただし、放射能量はトリチウム以外は、8月26日のヨウ素129を除いてND(Not Detectable:検出不能)である。
このデータは、青森県の9月29日定例県議会における鹿内議員の一般質問に対して、三村知事からの10月10日付答弁書で示されたものである。すでに4~6月放出分は、7月20日臨時県議会での鹿内議員の質問に対する高坂環境生活部長の回答で明らかにされていた。しかしこのときは排水量(放出廃液量)が示されていなかったので、濃度の正確な値が分からなかった。今回は公表データから毎回の濃度が正確に計算できる。
トリチウムについてのデータを下表に示そう。参考までに6月の最後の2回分の放出について、1回当たり平均放出量等も書いておいた。ただし排水量は正確な値が分からないので、放出前第1貯槽の容量である600立米を仮定している。
再処理工場からの海洋放出については、法的濃度限度は存在していない。このことは現在では、2000年(H12)科学技術庁告示第13号によって規定されているが、その基は、多くの審議を経た後、1971年(S46)総理府令第10号「使用済燃料の再処理の事業に関する規則」によって初めて導入されている。なぜ濃度規制が適用できないのかは、上記の表1から明らかである。
最大で一般原子力施設の濃度限度(原発に適用されている濃度限度)の770倍もの濃度でトリチウムが放出されている。もし濃度規制が適用されたらどうなるだろうか。770倍の水で薄めて放出しなければならい。そうすると、現在は1回約600立米の放出を6時間かけて行っているが、1回に4620時間=193日、すなわち半年以上かかるようになる。これを避けて現在のペースを守ろうとすれば、放出口やそのための排水ポンプなどをいまの770倍に増やさねばならない。そうなると放出口から1時間に77000立米が放出され、放出口付近は放射性廃液だらけになってしまうだろう。
さらに、再処理の本格運転が始まれば、1年間に1.8×1016Bqのトリチウムを放出することになっており、新聞報道によれば、2日に1回の放出頻度になるという。そうすると、1回分(600m3)の平均濃度は1.6×105Bq/cm3となるので、トリチウム濃度限度の約2700倍となる。これを濃度限度の枠内に収めることは事実上不可能であるのは明らかだ。それほどまでに、再処理工場からは大量の放射能が、高濃度で海洋に放出されるということを意味している。このような放出を許さなければ再処理工場の運転ができないことこそが異常なのである。
なお、今回初めて検出限界値以上のヨウ素129の放出が確認された。8月26日に4.1×105Bqが放出されている。この日の排水量で割れば、濃度は6.9×10-4Bq/cm3であり、検出下限値である5×10-4 Bq/cm3(7月7日付原燃報告書34頁)を確かに超えている。少し奇妙なのは、このときのトリチウム濃度が7月や8月初めに比べて高くないことである。つまり、ヨウ素129濃度はトリチウム濃度に比例してはいない。これはおそらく、ヨウ素129は独特のルートで集められるため(例えば事業変更許可申請書平成3年7月第4.2-2図)、放出の仕方・時期も独特になるためではないだろうか。
他に、8月後半の放出量が比較的小さいのは、8月は6体だけで使用済み核燃料のせん断がストップしたためであろうと推察される。
海洋へ大量の放射能を流すことは多くの人々にとって、その生活にとってきわめて重大な問題である。それにもかかわらず放射能放出の実態が、前回と今回のように、県議会での質問がない限り公開されていない。青森県はデータをもっていながら公開しない。まずは、このような姑息な状態が早急に改められるべきである。
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六ケ所村の核燃再処理工場:ガラス固化体試験、知事「安全第一に」 /青森
(毎日新聞 2011年12月29日 地方版)
官公庁の仕事納めとなった28日、三村申吾知事は記者会見し、日本原燃が使用済み核燃料再処理工場で高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の製造試験を来年1月下旬から始めると発表したことについて「長い間中断している影響を十分踏まえ、安全を第一にしっかり取り組んでほしい」と述べた。【吉田勝】
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日本原燃:再処理工場、来月から製造試験 社長「工程は変えない」 /青森
(毎日新聞 2011年12月28日 地方版)
日本原燃の川井吉彦社長は27日の定例記者会見で、08年のトラブルで停止している使用済み核燃料再処理工場で、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の製造試験を来年1月下旬にも始めると表明した。同10月の完工予定については「工程的には厳しいが、目標を変えずに努力していく」と強調した。
製造試験は、全国の原発から搬入された使用済み核燃料を裁断、溶解してガラスと混ぜ合わせ、容器に閉じ込める完工前の最終試験。川井社長によると、1月中旬からガラス溶融炉の熱上げなど事前準備に入り、同下旬~2月上旬に製造試験を始める。
同社は福島第1原発の事故を受け、非常時の電源確保などの緊急安全対策を実施。三村申吾知事が26日に対策を了承したのを受け、試験再開を決めた。川井社長は「県から一定の理解が得られた」との認識を示した。
また、福島の事故後に建設工事が中断しているMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料工場についても再開する方針を表明した。川井社長は「掘削工事なので、雪が解ける春から再開したいと考えている」と説明した。【山本佳孝】
日本原燃:使用済み核燃料処理で製造試験 1月から再開
青森・六ケ所村の核燃再処理工場:原燃、試験再開へ 知事、緊急対策を了承
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