薬ネット販売:「一律禁止違法」判決 国、解禁状態に苦悩

毎日新聞 2013年02月02日 11時19分(最終更新 02月02日 13時26分)

市販薬の分類と最高裁判決によるネット販売の可否
市販薬の分類と最高裁判決によるネット販売の可否

 一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売の規制を無効とした最高裁判決を受け、ネット販売が事実上の解禁状態となっている。判決で販売が認められたのは原告2社だけ。それ以外の業者についても「取り締まって訴えられたら敗訴は確実」と、厚生労働省は自粛を求めるしかなく現行の規制が空洞化している。薬害被害者らは速やかなルール整備を求めており、14日からの検討会ではスピード審議を目指したいところだが、道筋は見えない。

 判決は、リスクの高い順に1〜3類に分類した市販薬のうち、1、2類のネット販売を禁じた厚労省令について「一律禁止は違法」とした。

 判決を受けて、多くのネット販売業者は取り扱いを再開。関西のある業者は「客の要望もあり、2類の人気商品のみ売っている」と話す。別の業者は「原告以外売れないというのは法の下の平等に反する」と、1、2類とも販売している。一方で、一部の大手通販会社は「1、2類の副作用リスクが高いのは事実で、ルールが決まるまで販売しない」との立場だ。

 厚労省の検討会には訴訟原告だった医薬品ネット販売「ケンコーコム」の後藤玄利(げんり)社長が業界団体代表として入るほか、薬害被害者らも参加する。田村憲久厚労相は「(規制緩和の)推進派と慎重派の両方がおり、共通認識を持つのにどれだけ時間がかかるか分からない」と話す。

 ネット通販と競合するドラッグストアの団体「日本チェーンドラッグストア協会」の幹部は「整合性ある規制をしてこなかったツケが出た。リスクが高くない2類のネット販売を認める省令改正が国民の理解を得やすい」とネット販売を一部容認する姿勢を見せる。

 これに対し、薬害オンブズパースン会議(代表・鈴木利広弁護士)は省令の上位にある薬事法に禁止規定を設けることを主張。「対面販売の原則を変えるべきではない。市販薬販売の在り方を総点検すべきだ」と解禁に反対している。【井崎憲】

 ◇医薬品販売を巡る規制の経緯

 医薬品行政をめぐっては、副作用リスクを懸念する声に配慮してインターネット販売を厳格化する一方、小売業界の実情に合わせた規制緩和も実施されたが、一部で制度の形骸化が指摘される。

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