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電力の燃料費抑制にあらゆる手を尽くせ

2013/2/25付
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 東北電力と四国電力が政府に値上げを申請した。すでに東京電力が値上げし、関西電力と九州電力も申請済みだ。いずれも原子力発電所を代替する火力発電用の燃料費が増えているためだ。

 電気料金の負担増は家計や企業経営を圧迫する。電力会社は最大限の効率化に取り組まねばならない。なかでも発電コストで最も大きな割合を占める燃料費の抑制にあらゆる手を尽くす必要がある。

 原油や液化天然ガス(LNG)の輸入量の増加に加え、最近の円安で負担が増している。米ドルに対し円が1円安くなれば、燃料費は東電で年330億円、関電で139億円増える。

 各社が申請した値上げ幅は社員の年収引き下げや設備投資の削減などの効率化策を織り込んでいる。円安傾向が続けばこうした削減努力を帳消しにしかねない。

 中長期で燃料費を下げるには、調達の見直しが不可欠だ。割安のシェールガスを使うLNGを米国から輸入できれば、調達価格は3割程度安くなる見通しだ。

 電力会社や商社が輸入準備を始めている。政府は1兆円の債務保証枠を設け、ガス田権益の取得やプラント建設の資金調達を支援する。茂木敏充経済産業相は値上げの認可にあたっては、将来の燃料費低減を前提とする考えを示した。企業に調達改革を促す政府の役割は重要である。

 発電の効率を高める取り組みも大切だ。旧来型のガス発電所は天然ガスが本来持つエネルギーの3~4割しか電気として使えていない。複数のタービンを組み合わせる最新型の発電設備ではこれを6割程度に高めることができる。

 関電姫路第2発電所では10月以降、6台の新型設備が順次稼働する。同じ発電量を得るために使うLNGの量を3割減らし、向こう3年間で年平均370億円の燃料費を節約できるという。

 石油やLNGに比べて割安な石炭も利用したい。温暖化ガスの排出を減らす高効率ボイラーの導入など、石炭の弱点である環境面の対策を講じたうえで発電燃料の選択肢の一つとすべきだ。

 電力会社は消費者や企業との連携も忘れてはならない。使用量が多い時間帯の料金を高めに設定し、それ以外の時間は安くするなど、需要抑制を促す料金メニューの拡充を急ぐ必要がある。電気の使用状況がわかるスマートメーターの導入も前倒しを探るべきだ。

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関西電力、東京電力、東北電力、四国電力、LNG、茂木敏充、九州電力

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