大曲市郊外に大型家電店開業

激化する郊外型商戦に地元商業は困惑(10月24日・金)

 大曲市戸巻町の国道13号線大曲バイパス沿いに株式会社よつば電機(本社・福島県郡山市)が経営する「ケーズデンキ」を核とする3棟の共同店舗「ケーズショピングセンター」が24日朝、オープンした。1995年春に日曜大工用品を扱うホームセンター「ハッピー」がオープンしたのを皮切りに同市に本社を構えるタカヤナギデパートがショッピングセンター「イーストモール」を開店、さらに家電やスポーツ用品など郊外型商店が次々と後を追って商戦に参加しており、商都・大曲はますます郊外型ショッピングに追い打ちをかけられることになった。

 ケーズショッピングセンターは、よつば電機と株式会社「ローヤル」(本社・東京)、株式会社「坂上建設」(同・福島県郡山市)の共同出資でオープン。家電製品とカー用品、ゲームセンターがそれぞれ独立した建物で営業する形をとっている。

 カー用品はローヤルの営業で「イエローハット大曲店」として17日にオープン、坂上建設が関連するゲームセンター「セガワールド大曲店」は来週以降の開業となる。3店舗合わせた敷地面積は1万6423平方メートル(4967坪)で、駐車場は264台のスペースを取っている。

 ケーズデンキ「大曲パワフル館」は店舗面積2247平方メートルで1階建て。午前10時、オープンと同時に1000人を超す人が列をなして開店セールに飛び込んだ。目玉は27日までの4日間にわたる「日替わり超特価」。14型テレビを2980円、家具調コタツを980円といった特価品を看板に大型チラシを大曲仙北と横手市周辺の町村に配った。

 よつば電機本社から応援に駆けつけた菊池浩営業部次長は「豊富な品ぞろえ、商品が選びやすいスペース、そして低価格をモットーに店舗を運営したい」と方針を述べ、客の出足も「やはり大曲仙北という大商圏を抱えているだけに好調です」と手応えを感じ取っていた。営業は午前10時開業で、夜8時まで。年間休業日数は24日。従業員は15人。年間販売額は9億円を目標としている。

 1番乗りを果たそうと前日の夜7時には2人の若者が並び、午後9時ごろには20人ほどの列が出来ていたという。会社を半日休んで妻と一緒に「クリーナーを買いにきた」という市内のサラリーマンは「目的の商品以外にもあれこれ買ってしまいました。やはり安いですよ」と満足そうに買ったばかりの商品を車に積んでいた。

 一方、迎える側の地元家電業界は「値段では勝負できないが、お客さんに合った商品を薦め、家電のホームドクターとしてアフターサービスに力を入れればお客さんは離れない。セール期間中は人は流れるでしょうが、それほど脅威は感じてない」と比較的冷静に受け止めている。

 同市の大型店はこれで店舗面積3000平方メートル以上の第1種が6店舗、500平方メートルから3000平方メートル以下の第2種は18店舗となる。うち郊外型の店舗は1種が4店、そしてケーズデンキを含めた2種は2店となった。

 しかし、98年10月にはイーストモールの近くにさらに飲食、ゲーム、アウトドア、薬、釣り具、靴など専門店7棟が共同の敷地内に独立した店舗を構える「ショッピングタウンアクロス大曲(設置主体は大和情報サービス=本社・東京)」が計画されており、大曲商工会議所では「まちが壊されるような思い。果してこのまま郊外にばかり店舗が増えて、旧来の店がなくなるようでは、次第に高齢化する将来、車を持たない消費者自身が困る時代になるのではないか」と複雑な思いも見せる。