- ・日光
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- もともと吸血鬼は日光で灰になることは無かった。夜行性ではあるものの、ドラキュラ伯爵もカーミラも、昼間に出歩くことが出来る。但し、苦手ではあるようで、日光の元ではその力を充分に発揮することが出来ない。吸血鬼が日光で燃え尽きるという演出を最初に行ったのはF・W・ムルナウ監督映画『ノスフェラトウ』(1922年)からで、以後の映画ではこの演出が頻繁に使われるようになり、一般化した。今ではほとんどの吸血鬼が程度の差こそ有れ、日光を弱点としている。
そのせいか、彼等の中には日光を再び拝むことに、強い憧憬を持つものもいる。不老不死と強大な力を持ちつつも、ただ、太陽を見ることに憧れを抱くその姿に、吸血鬼の悲哀を感じる。
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- ・炎
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- 驚くべき回復力を誇る吸血鬼も、この炎のダメージを癒すことはなかなか難しいようで、灼き尽くされて灰になる吸血鬼も少なく無い。人間が吸血鬼に対抗できる普遍的な手段の一つである。また、吸血鬼になるのを防ぐ予防法としても火葬は効果的だ。炎の属性の一つは浄化である。炎は地上に降りた太陽の断片なのである。
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- ・ニンニク
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- ニンニクが悪に対して効果を持つという言い伝えの源はエジプトである。またニンニクは万病に効く薬としても重用されてきた。中国とマレーシアでは吸血鬼避けのためにニンニクを子供に額に、フィリピンでは腋のしたに擦り込んだ。スマトラのバタク(吸血鬼と闘う力を持つウィッチドクター)は反魂の術にニンニクを使用した。古代ローマでは、戦いに赴く兵士が勇気を奮い立たせる為にニンニクを身に付けたという。
- ニンニクは月の欠けている間に成長する為、月の女神ヘカテと関連が有るとされている。
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- ・十字架
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- 十字架が吸血鬼に対して有効なのは冒頭に述べた通り、キリスト教の影響からであるが、実は吸血鬼にたいしてはせいぜい怯ませるくらいの効果しか持たない。その上、ただ十字架を持っていれば良いのでも無く、信仰心が伴わなければ効果をあげることが出来ないとする説も有る。
さらに最近では(ルイの様に)十字架が好きな吸血鬼も居るようである…。
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- ・流水
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- 水はキリスト教の洗礼の儀式や、我が国の禊(みそぎ)の例にみるように、罪や悪を洗い流すものと考えられている。吸血鬼は流れる水を泳いだり渡ったりすることが出来ない。
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- ・鏡に写らない
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- これは特徴とも言えるかも知れないが、吸血鬼を見破る方法にもなり得るので弱点に分類することにする。吸血鬼が鏡を避けたり破壊しようとすることはブラム・ストーカーによって考案された。民間伝承には「鏡は魂を写すもの」という考えが有り、吸血鬼には写すべき魂が無いのがこの弱点の元になったのだろう。
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- ・招かれないと入れない
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- 吸血鬼はそこに住む住民に招かれない限り門口を超えて建物に入ることが出来ない。が、一度でも彼等を招待してしまったなら、その家は以後、吸血鬼に対して門戸を開いてしまったことになる。このため、吸血鬼はあらかじめ公の場で獲物に出会い、正体が露見する前に入場の許可をとりつけてしまう。
- この「招かれないと入れない」という弱点は、「悪魔は歓迎されないところには行くことが出来ない」というキリスト教の言い伝えから出たものである。
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