■忠誠心・献身が減退し、憂慮の声も■
ウォルフレン 先ほども短く申し上げたのですけれども、新しい、しかも重要な制度が誕生しました。これは、人材派遣会社です。日本の派遣会社とは全く違います。小さなものもたくさんあるのですが、違法のものもあります。しかし十大派遣会社があり、これらが仲介する形になるわけです。
この仲介機能は、極めて新しい制度では重要です。まさに、ワークシェアリングの制度的な面から最も重要な結果の1つと言えるでしょう。そして、これは高齢化の問題にも関連しています。
以前の問題は、たくさんの若い労働者が定年退職後の高齢者を支えなければならないということでした。しかしながら、オランダでは将来これはもう無理だろうということがはっきりしてきました。日本とその面では同じです。そういう意味では、かなり漸進的な形で変えていきました。
つまり、就労人口が共通の1つのファンド(基金)に拠出し、例えば、年金をそこから高齢者を支援するために出すのではなく、むしろ、個々の労働者が自らのアレンジメントをし、仕組みを作り、自らの貢献をしていくということなのです。いわゆる自分たちで蓄えを作っていくということです。制度的なシフトが起きてきたということだと思います。
これ以外の変化もたくさんあります。何が重要だったか、何がそれほど重要ではなかったのかを言うことは難しいかもしれませんが、重要な社会的な動きの1つでもあったと言えると思うのです。
先ほども言いましたように、たくさんの人が今、ワークシェアリングに対して後悔しています。個々の忠誠心、献身というものがなくなってきたことを憂えています。
竹信 良い面、悪い面にまた戻ってしまうかなと思いますけれども、そういった変化があった上で、今のようなワークシェアリングができてきたことを分かっていただけたかと思います。
今日は非常に多岐に渡るテーマなので、十分に論点を尽くしたかどうか、時間が足りな過ぎたなと私も思っておりますが、ただここで言えることは、「まず自分の身近な問題として、ワークシェアリングを考えた方がいいのではないか」と龍井さんが指摘されていましたが、どこか遠くにあるものをそのまま持ってきて、それをまねして何とかしようということではなくて、「これを自分たちはしたいのだ」、だから、「そのために身近に自分の所はこれをできる」「これをしよう」ということをそれぞれ設計していくことの重要性がまず1つ挙げられたと思います。
それからもう1つは、何がしたいのかということで、少なくともこの4人では合意がある程度あったかと私は思いますが、それは賃金を下げるためということではなく、多様な人がこれからの産業構造の転換に向かって参加できるためにはいろいろな働き方を作っていく必要があるということでしょう。
そのときに、それが「食べられる」水準がある程度のスタンダードのものでなくてはいけないが、それをどうするかについては、この中では結論が出なかったということだと思います。
ただ、そのためには、かなり公的資金のシフトとか使い道の方向まで変えていかなければいけない。企業だけにそれを依存する方向はもう違うのではないかというあたりでは、もうかなり合意ができたのではないかと思っています。
それ以外にも、個別に短時間のケア労働といった新しい均等待遇をもう並行して作っていってはどうかと。全部が変わるのを待っていても仕方がないので、必要な所からそういうものを作っていってはどうかといったご提案もあったかと思います。
この第1セッションの方は、そういった論点、基本的に何が分からなくて、何が分かって、どこまで来たのかをオランダを素材に話し合っていただくというつもりだったので、短い時間でとりあえずこの段階はこれでいいかなと思います。
ご質問もまだ全部尽きなくて、本当は皆さんも、もう少しこれが聞きたかったというのがあるかもしれませんが、いいご質問をたくさんお寄せいただいてありがとうございました。第1セッションはこの辺でお開きにしたいと思います。ウォルフレンさん、大國さん、九場さん、龍井さん、どうも今日はありがとうございました。
続きまして、第2セッションでこの決着をできる限りつけたいと思っていますので、どうぞお残りいただいて、第2セッション、すばらしいパネリストが4人いらっしゃいますので、お聞きくださいませ。どうもありがとうございました。
司会 パネリストの皆様、どうもありがとうございました。パネリストの皆様が退場されます。どうぞ大きな拍手でお送りくださいませ。どうもありがとうございました。ただいまより休憩に入ります。