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慶長地震と大震災類似 東北大、古文書精査し解明

 東北の太平洋沿岸部を大津波が襲った1611年の慶長三陸地震は、仙台湾沖で発生した地震と日本海溝付近の地震が連動したタイプだったとの研究結果を、東北大災害科学国際研究所の今井健太郎助教(津波工学)らがまとめた。仙台湾沖と海溝付近の地震が連動したのは、東日本大震災の本震に似ている。津波が広範囲に及ぶなどの共通点もあり、400年離れた二つの地震の類似性が浮かび上がった。
 同研究所の歴史学の蝦名裕一助教(日本近世史)と連携。地震や津波が記録された古文書を精査してシミュレーションに反映させて発生の仕組みを解き明かし、新たな地震像に迫った。
 研究には、公的記録や日記など、記述内容の信頼性が高く、慶長三陸地震の発生後100年以内に編集された史料を活用した。大船渡沖で津波に遭遇したスペインの探検家ビスカイノの「金銀島探検報告」の原文も読み込み、来襲時の津波の様子を調べた。
 史料によると、地震は3回記録された。津波により仙台藩領内で約1800人、南部藩と津軽藩で人馬3000余が犠牲になったほか、現在の陸前高田市や宮古市では大半の家が流されたという。史料に記載された津波の規模や押し寄せた地点の標高を基に、津波の姿を割り出した。
 得られた地震像は2種類。仙台湾沖のプレート(岩板)境界型地震と連動し、海溝西側でプレート境界型地震か、海溝東側のプレート内部で正断層型地震が発生した。発生は同時か、海溝付近の地震が後と考えられる。地震の規模を示すマグニチュードは8.5程度となった。
 蝦名助教はシミュレーションの精度を上げるため、歴史地震の解明に使われていた史料の中から、作成年代が分からなかったり、後に脚色された可能性があったりした文書を排除した。「史料を批判的に検討するのは歴史学の得意技。研究所の理念である学際的な研究に貢献できた」と話す。
 今井助教は「震災は1000年に1度の災害と言われるが、400年前にも同様の地震があったことを裏付ける地震像だ。新たな史料や津波痕跡が見つかれば、シミュレーションの精度はさらに上がる」と説明する。

[プレート境界型地震] 沈み込む海側プレートに引きずられて陸側プレートがたわみ、固着域が壊れることでプレート境界面が急速にずれ動いて起きる地震。プレート内部でも、地殻を引っ張り合う力で正断層型地震が、押し合う力で逆断層型地震が発生する。


2013年02月21日木曜日


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