2013-02-24
■[自白の研究]警察、「親子の縁を切る」とする調書をとろうと画策
掲示板でホドロフスキさんからご教示いただいた件ですが、遠隔操作ウィルス事件で被疑者となっている男性の弁護人の会見がビデオニュース・ドットコムによって公開されています。
http://www.youtube.com/watch?v=_YBBo5EdF2E
これはこれで弁護側の見解だということを念頭においておく必要はありますが、佐藤弁護士によれば警察は被疑者の母親に対して、「(被疑者が)もし犯人だったら世間にお詫びしたい、親子の縁を切る」という趣旨の調書にサインするよう求めたそうです(サインはせず)。なぜこんな調書をとろうとするかと言えば、言うまでもなく被疑者を心理的に孤立させ、自白に導くためです。当ブログでは、甲山事件で類似の手法が用いられたことを紹介したことがあります。被疑者が父親との面会を終えた後のこと。
悦ちゃん、さっき捜査員がお父さんを車で送っていきましたが、お父さんは車の中でふーっと大きな溜息をついたそうです。悦ちゃん、この溜息は何だと思いますか。この溜息は悦ちゃんを疑っている溜息です。ひょっとしたらうちの悦ちゃんがやったのではないかという溜息です。――悦ちゃん、親というものは、たとえ子がやっていても、うちの子に限ってそんなことはないと思うのが親心ですよ。悦ちゃんのお父さんはそうではありませんね。悦ちゃんを疑っているのです。その苦しみが大きな溜息になって出たんです。
(浜田寿美男、『自白の心理学』、81-82ページ)
しかしこの手法は真犯人を自白に導く可能性だけでなく、虚偽自白を引き出してしまう可能性をももっています。
一般に被疑者の家族は「まだ真犯人とは限らない」という思いと「もし犯人だったらどうしよう」という思いの間で揺れ動いていると言えるでしょう(無実か否かを家族が確信しうる事情がある場合は別)。特に被疑者の親であれば「もし犯人だったら申し訳ない」という気持ちを抱くことも多いでしょうし、少なくとも「申し訳ないと思え、と世間が考えている」ことは承知しているでしょう。そうした心境につけ込んで警察は調書をとろうとしたわけで、任意性という点で非常に問題のある手法です。
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