生活保護:申請拒否は違法 埼玉県三郷市に賠償命令…地裁
毎日新聞 2013年02月20日 20時57分(最終更新 02月20日 21時03分)
埼玉県三郷市に06年8月まで住んでいた女性(54)と家族が生活保護申請を拒否されたのは違法として、市に生活保護費の不払い分など約1045万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁(中西茂裁判長)は20日、市側が女性らの申請する権利を侵害したと認め、計約540万円の支払いを命じた。原告側の弁護団によると、申請権の侵害を認めた判決は全国初という。
判決によると、生活に困窮したこの女性は05年2月から約1年半、市福祉事務所で生活保護を申請しようと4回面接したが、「身内からの援助を確認するように」などと拒否され続けた。06年6月に弁護士が同行し、申請が受理された。
判決は「申請の意思があることを把握しながら、誤解を与える発言などの故意や過失により申請権を侵害すれば、申請を審査・応答する義務に反するため、賠償する責任がある」と指摘。その上で「市側は女性から収入増が見込めないと聞いていたのに、さらに身内からの援助を求めなければ生活保護を受給できないと誤信させた」などとして申請権の侵害を認めた。
三郷市は「判決内容を十分精査した上で、弁護士や関係機関などと対応を協議する」としている。【狩野智彦】