ハッカー大会:「PC技術、正義のために」警視庁がPR
毎日新聞 2013年02月24日 09時50分(最終更新 02月24日 11時01分)
パソコン(PC)遠隔操作事件などを受け、警視庁がハッカーの獲得に向け動き出した。23日に東京都内で開かれたハッキング技術を競う学生の全国大会「SECCON(セクコン)」に警察官が出向き、参加した高校生や大学生らに「警察官としてその技術を正義のために使わないか」と声を掛けた。こうした学生への働きかけは初めてという。【黒田阿紗子】
セクコンは、情報セキュリティー会社の技術者や大学教授ら約20人の有志による実行委員会などが主催。予選を勝ち抜いた13〜27歳の10チーム計46人が、サーバーに保存された情報を盗み出す速さなどを実戦形式で競う。
ハッカーとは、高度なコンピューター技能を持つ人のこと。日本では、コンピューターへの不正侵入や攻撃をする悪意を持った犯罪者に使われるイメージが強いが、実際は主に不正侵入を監視し、セキュリティーの欠陥などを調べる技術者などを指す。
警視庁はこれまでも情報セキュリティー会社で勤務経験があるハッカーを捜査官などに採用してきた。だが、遠隔操作での犯罪予告の書き込み、企業や官公庁のPCへのサイバー攻撃などサイバー犯罪は高度化。通信技術の進歩に捜査が追いつかず、専門知識のある人材がさらに求められるようになった。
競技の間に行われた23日夜の交流会では、サイバー犯罪対策課の警察官3人が出場した学生たちにサイバー犯罪捜査の重要性をアピールした。筑波大2年の男子学生(21)は「警察官の道は考えたことがなかったが、警察がどこまで自前の技術でサイバー犯罪を捜査しているのか興味がわいた」と話した。
警視庁幹部は「サイバー捜査には専門知識が不可欠。数ある就職先の一つとして警視庁も候補に入れてもらえたら」と期待する。