経済財政諮問会議:首相、賃上げ呼びかけ 労働規制、再び緩和へ

毎日新聞 2013年02月06日 東京朝刊

 政府は5日、経済財政諮問会議を開き、デフレ脱却に向け、雇用や所得をどうやって増やすのかについて議論した。安倍晋三首相は「業績が改善している企業には、報酬の引き上げを通じて所得の増加につなげるようお願いしていく」と述べ、産業界に雇用増と賃上げに向けた取り組みを求めた。【久田宏】

 諮問会議では、佐々木則夫東芝社長ら民間議員4人が雇用環境改善のための提言を提出。企業収益の改善を賃金上昇につなげるため、「正社員・終身雇用偏重の雇用政策から、多様で柔軟な雇用政策への転換」を打ち出した。

 具体的には、正規雇用・非正規雇用という枠に固定されない新たな働き方を提案。個人の能力を高めて会社に属さず高収入を得たり、子育てなどで一度非正規になっても再び長時間働けるようになれば、円滑に正規に戻れたりするような環境整備に着手すべきだとした。働く人を成長産業に移しやすくするため、正社員の解雇規制の緩和も要望した。

 労働関連の規制をめぐっては、自民党政権が04年の製造業への労働者派遣解禁などの規制緩和を推進。しかし、08年のリーマン・ショック後の不況で多くの派遣労働者が失職して社会問題化したため、09年に発足した民主党政権は規制強化に転じた。自民党に政権が戻り、経済界も「規制強化が企業の負担を重くし、製造業の海外流出をもたらしている」と主張していることから、再び緩和の方向にカジが切られることになった。

 安倍政権は、デフレ脱却に向けて消費者物価指数の前年比上昇率を2%とすることを目標にしている。だが、物価だけ上がって所得が増えなければ、国民の生活は苦しくなってしまう。消費も低迷し、持続的な経済成長は難しい。

 そのため、企業に対して賃上げを求めるとともに、労働側にも「さまざまなニーズに対応した柔軟で多様な働き方の普及に協力していただくようお願いする」(首相)と、規制緩和の受け入れを促し、雇用の増加を目指すことにした。諮問会議は、円安や物価上昇で企業が収益を増やした分、雇用と賃金も増えるようにするための具体案を引き続き検討。6月にもまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」に盛り込む。

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