“警戒区域の牛 生かす道を”農家が訴え2月16日 20時41分
原発事故で警戒区域に指定された福島県浪江町で、牧場に残されたおよそ350頭の牛の飼育を続ける畜産農家が、16日、東京・三鷹で講演しました。
警戒区域の牛については、国が農家の同意を得て殺処分する方針を示していますが、農家の男性は、「被ばくした牛も人間と同じ原発の犠牲者。生かし続ける道を進みたい」と話し、被ばくした動物として研究するなど、飼育を続けて役立ててほしいと訴えました。
講演したのは、福島県浪江町の「希望の牧場・ふくしま」代表の吉沢正巳さんです。
福島を支援する市民団体の集会に招かれた吉沢さんは、およそ1時間にわたって震災以降の牧場での活動について講演しました。
原発事故のあと、警戒区域の牧場では、多くの牛が餌がなくなって餓死しました。
吉沢さんは講演の中で、およそ14キロ離れた福島第一原発の爆発音を聞いた経験や、住民が避難するなか、飼育していたおよそ350頭の牛を見捨てることができずに牧場に通って餌を与え続けたことを話しました。
「牛が気がかりで逃げ出せなかった。だが、原発事故で牛乳を出荷できなくなった酪農家などが牛を置いて避難したことは全く正しい決断であり、誰も責めることはできないと思う」。
国は原発事故から2か月後のおととし5月、生き残っている牛について、所有者の同意を得て殺処分する方針を示しました。
しかし、吉沢さんを含むおよそ20軒の畜産農家は、原発事故の犠牲になった牛を放射性廃棄物として処分するという国の姿勢に強く反発、飼育を続ける決意をしたといいます。
“牛を生かす道を”動き出したプロジェクト
吉沢さんは仲間の農家や活動を支援するボランティアなどと協力して、おととし7月、警戒区域の家畜を救おうという、「希望の牧場プロジェクト」を立ち上げました。
被ばくした牛を動物への放射線の影響を研究する対象とすることや、放牧して土地の荒廃を防ぐこと、さらに獣医師を志す学生たちの研修の場にすることなどを通して、牛を生かし続けようという事業です。
すでに岩手大学などの研究者が牧場を訪れ、セシウムの蓄積状況などについて研究を進めているといいます。
また、ブログなどを通して活動を知った市民からの支援で、当面の餌は確保できる見通しになりました。
警戒区域では、現在も約10軒の農家が700頭余りの牛の飼育を続けています。
吉沢さんは、「被ばくした牛は人間と同じかそれ以上の原発事故の犠牲者であり、原発事故の生きた証しでもあります。農家として牛たちに餌を与えるときに喜びを感じますし、これからも牛と生き続けます」と話し、活動への支援を呼びかけました。
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