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安易な謝罪がモンスター消費者を助長させる

2013/02/22


ちょっと某所で本ニュースに関してコメントする機会がありそうなので、考えてみます。

謝罪しろ!

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なんでも、モデルの益若つばささんが「BIGBANG」というグループの男性メンバーに肩を抱かれ、そのことについて「嫌でした」とテレビで発言したとか。

いきなり肩を抱かれたらそりゃ嫌だろと思いますが、この発言についてBIGBANGのファンの方々が怒り狂っているみたいです。大変だなぁ…。

参考:益若発言にBIGBANGファン激怒、Twitterに罵詈雑言寄せられ炎上状態に。 | Narinari.com


寄せられている罵詈雑言の中に「謝罪しろ」とあるのが、個人的に引っかかります。

世界にどれだけBIGBANGのファンがいると思ってるんですか??後のことを考えないで発言しちゃうのがいけないんですよ
ぜひ、坊主で謝罪して欲しいですね(^-^)

Twitter炎上かわいそー まぁ~自分悪いんやから反省しとけ 本間きもいから、
なんしにコンサートいったん?いかんといてくれる! なんしに写真とったん?
撮らんといてほしいから、
謝罪しろカス いらつく、きもい、いきんな、かわいない、触れんな

益若さんは現在「謝罪」していないようですが、話の次第によっては事務所もろとも謝罪するのかもしれません。


規模は違えど、ぼくにもたまに「謝罪しろ」みたいなクレームが来たりします。とあるアプリについてちょっとネガティブなことを書いたら、「法的措置も考えています」というメッセージが来たり。

こうした場合、謝罪をすれば問題は収まります。怒りを抱いていた人たちは、謝罪という事実をもって勝利を確信し、攻撃の矛を収めるでしょう。そうして日常が取り戻されます。


が、ぼくは罪でもなんでもないことについて、安易に謝罪するのは、巡り巡って、謝罪した本人のためにも、また謝罪させた人たちのためにもならないと考えます。

まず、たとえば今回のケースで益若さんが「謝罪」すると、彼女にとっての「罪の範囲」が拡大することになります。「罪」を犯すことを防ぐために、テレビの前では自分が抱える男性への嫌悪感について発言することを避けるようになるでしょう。プロとして仕方ないとはいえ、発言の範囲はどんどん狭まっていきます。

また何より、謝罪に成功した攻撃者たちは、今回の件で自分たちの正しさを確信してしまいます。そうなれば、彼らは著名人の不快な発言を見聞きするたび、「謝罪しろ!」という叫ぶようになります。こちらにおいても「罪の範囲」が拡大していくのです。


そうして出来上がるのは、「わたしの気持ちを配慮しないこと」を罪とする、たいへん生きにくい社会です。自分の発言が誰かの不快感を煽らないかどうか、常に配慮しながら、生活することになるわけです。

少しでも目立とうものなら、モンスター消費者にあら探しをされ、謝罪を要求されます。謝罪をすれば、モンスターたちは満足します。しかし、その成功体験をもとにして、彼らにとっての「罪の範囲」はいっそう拡大していきます。

彼らの謝罪の要求ハードルは下がりつづけ、「わたしはおまえが気に入らない!わたしに配慮しろ!謝罪しろ!」という、荒唐無稽な攻撃を繰り出すまでに、すくすくと成長していくでしょう。


「罪を認める」というのは潔い態度かもしれませんが、それはその実、楽な方向に流されているだけだったりします。

その「罪を認める」行為は、「本当は悪いと思っていないけれど、仕方なく謝る」という類の欺瞞ではないでしょうか。自分を裏切らないためにも、社会を堕落させないためにも、本気で悪いと思っていないなら、謝ってはいけないのです。


「モンスターからの謝罪要求」は他人事ではなく、オンラインで情報発信をするかぎり、みなさんにも降り掛かってくるでしょう。

たとえばみなさんが「東大法学部に合格した!嬉しい!!」とつぶやいたとき、突然「あなたは今日落ちて悲しんでいる人の気持ちがわからないのか!謝罪しろ!」と食って掛かられるかもしれません。

本気で、腹の底からみなさんが自分の発言を罪深く思うのなら、謝罪するのもありでしょう。しかし、「は?何言ってんだ」と思いながら、「めんどくさいから謝っておくか」と対応するのは、誠実とはいえません。偽ることなく、「は?あんた何言ってんの?」と丁重に返信して差し上げましょう。


益若さんがどのような対応をなさるのかは分かりませんが、個人的には謝罪は不要だと思いますし、するべきでもないと思います。

みなさんはこの問題についてどのように考えますか?ぜひご意見をツイッターやフェイスブック、コメント欄で教えてください。


関連本。「クレームと謝罪」といえばこちらでしょう。ヤクザの言いがかりに対して誠心誠意謝罪し接していたら、いつしかヤクザたちから敬礼されるまでになったという、トンデモないホテル支配人の話。謝罪の力について考えさせられます。


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