Snow Drop SweetBasil

2000年7月20日発売
ご意見などは掲示板へどうぞ

 雪とスキー場というだけならともかく、そこに幼なじみや妹も含め、なぜか周りは女の子ばかりという、このうえなく不自然なシチュエーションは、まさにゲームならではのものなのでしょうが、どことなくハイキー調の白めいたグラフィックに惹かれて買ったのが、この『Snow Drop』でした。私自身は、そもそも女性とスキーに行くという経験自体が皆無なので、こんなオハナシはあくまでもゲームの中だけのことでしか想像できないのでありますが(^^;)

シナリオ

 主人公・笹塚稔(変更不可)は、ロマンチストの入った少年。妹のほなみや幼なじみ姉妹と共に、馴染みのペンションに泊まってスキーを楽しむこととなった。ペンションには、経営者の女性のほか、お手伝いの人もおり、気がつけば周囲は女性ばかりという環境。どんなスキー旅行になることやら。

 

 シナリオ担当は「まっすう」氏。

 キャラクターには、幼なじみ姉妹、実の妹(したがって攻略対象外になっていますが、おそらく破壊力は彼女が一番でしょう)、ペンションの女性とお手伝いさんといったところがならび、お手伝いさんは眼鏡をかけメイド服と、まさに狙ったようなラインナップとなっていますが、実際に攻略できるのはわずか2人です。ここで肩すかしを食った印象は否定できませんが、それだけでなく、幼なじみの姉の方とは体だけの関係がだらだら続いているというのは意表をつかれました。妹の方は「見ていて露骨にわかる」形になっているだけに、ここで姉妹間の葛藤なり衝突なりが必ずやあるんだろうな、と思ったら、それがありません(^^;) かといって、キャラクター間でのやり取りや関係が表面化することもありません。さらに、キャラごとに話が進むというわけでもなく、基本的にどう進んでもメインキャラをめぐるあれこれのゴタゴタはでてきます。

 展開の描写自体はかなりていねいですが、やはりこの種のゲームにありがちな「ハプニング依存型イベント」が大半となってしまっているため、あまりドキドキワクワクの展開とはなっていません。むしろ、予定されていたイベントがそのとおりに発生する、という感じなので、安心してプレイすることができる、という見方も可能かもしれません。しかし、展開を用意するためのルートがしっかりと固められすぎているために、引き込まれることがあまりないという面の方が大きいように思えます。

 伏線の使い方があまり上手でないため、張られた伏線がどう消化されていくかがある程度わかってしまい、クライマックスでさほど盛り上がるということがないのが残念です。このため、ヒロイン側の心境なども、さほど差し迫ったものとして伝わってこないのです。シリアスなシーンに不可欠な迫真さを演出する工夫なども特になく、すべてが「予定どおりの行動」としか言いようがない形でまとめられている、というのは、やや酷評に過ぎるでしょうか。

 また、Hシーンがなかなか濃いのも、この種の恋愛ゲームとしては珍しいですね。シーンの数もさることながら、毎回のセリフなどがかなり濃厚でねちっこくなっています。もっとも、Hシーンの半分くらいは覗きシーンや偶然ばったりシーンなので、ちょっと反則気味、という気がないでもありませんが。

ゲームデザイン

 いくつかのキーイベントを通ることでフラグが立ち、エンディングへの条件が満たされるという形式のアドベンチャーゲームです。しかし、CGを回収しようとすると、即死エンドをいくつか通らなければならないなど、割とトラップがあちこちに仕掛けられているので、見た目よりも難易度は高くなっています。

 なお、エンディング対象キャラクターは2人となっています。登場するキャラクターの数が多いだけに意外ではありますが、シナリオの展開上無理のない数に絞った、という見方もできましょう。

不具合・修正プログラム

 私の環境では、プレイ中に突然止まり、音が出っぱなしでフリーズするということがありました。あまり一般的な症状ではないようで、修正ファイルなどは公表されていないようです。

操作性など

 CD-ROM2枚組となっています(うち1枚はサントラCD)。

 操作はマウスオンリーで、キーボードは受け付けません。また、画面内にはボタンなどは一切なく、基本的に全画面表示、下部にメッセージウィンドウというオーソドックスな配置で、プルダウンメニューさえなく、メニューはすべてマウス右クリックから選ぶことになります。

 このメニューから選択可能なのは、メッセージスキップ実行、画面表示切り替え(640×480←→フルスクリーン)、ウィンドウの消去、ウィンドウ初期配置、タイトルに戻る、プロパティ(メッセージ表示および音量コントロール)、SAVE、LOAD、オンラインヘルプとなっています。メッセージスキップにいちいちメニュー呼び出しというのは非常にかったるいものがある上、未読・既読の区別がないのは、分岐がそれなりにあるアドベンチャーゲームとしては淋しいところです。また、読み返し機能などはありません。セーブ・ロードは、任意の位置で8個所まで可能で、セーブ時の実日時も記録されますが、しばらくたつとどんなデータかわからなくなるのは致し方のないところでしょうか。

 また、プレイ後のおまけモードが非常に充実している点も挙げられましょう。タイトル画面で「OPTION」を選択すると、CGモード・イベントモード・サウンドモードにはいることができます。CGモードでは、各ヒロインごとにサムネイル表示されます。またイベントモードでは、ヒロインごとに、各イベントにタイトルが付され、後からリプレイして確認することができます。さほどボリュームがあるゲームではないだけに、セーブデータの作り方に工夫を凝らす必要がないわけで、これは嬉しいですね。サウンドモードでは、曲名を指定するとBGMが演奏されます。

サウンド

 BGMは、PCMで演奏され、またOP(Ever Stay Snow)/ED曲は非常にクリアなボーカル曲となっています。雪を背景とした雰囲気によく合った、澄んだ感じのサウンドが印象的です。

 また、女性のみフルボイス(といっても、男性は主人公だけのような気も…)。これも絵と同様、比較的幼げな雰囲気の声がよく合っていて、特にほなみちゃんの声にはなかなか溶けました(*^^*)

グラフィック

 しかげなぎさんの原画。目がやや離れ、タレ気味で幼い顔がなかなかかわいいですね。年上の人に風格がないのがちょっと残念ではありますが、幼い娘が徹底的にかわいいかわいいしている(なんだそれ)ので、よしとしましょう。妙に胸が強調されているような気もしますが(^^;) また、グラフィック自体のH度はあまり高くありませんので、念のため。

 背景もなかなか綺麗なもので、人物をうまく引き立てていると感じます。

お気に入り

 やっぱりほなみちゃんでしょう。攻略不可能なのがかえすがえすも残念ですが、Hシーンがあるのでまだ許しておきましょうか(爆)

関連リンク先

 SHEOさんのサイトにレビューがアップされています。万事ボリューム不足、というご指摘には同感です。

総評

 幼げなグラフィックとなかなかよいサウンド、その両輪がうまく生きている上、難易度的にもバランスが取れているので、それなりにゲームとしての魅力を備えてはいますが、やはりメインエンディングが2つに絞られているわりには、どうにも物足りなさを拭えません。これは『With You』(カクテル・ソフト)をプレイしたときに感じたこととも重なるのですが、シナリオの中身とゲームバランスとがあまりかみ合っていないんですね。結局はシナリオの組み立て方、ということに帰着するのでしょうが、やはり、ちょっとしたちぐはぐさが、物足りなさの原因になっているように感じます。

個人評価 ★★★★★ ☆☆☆☆☆
2000年9月25日
(2000年11月24日、加筆・修正)
Mail to:Ken
[攻略ページへ] [レビューリストへ] [トップページへ]