新作同人誌がまったく売れず死にたい

 ここ数日twitterで「死にたい」「早く命を断ちたい」などと連呼しているのには理由がある。
 17日、アニメ『ガールズ&パンツァー』のオンリー同人誌即売会か日本橋・サンライズビルにて催された。参加サークルは約80。思わぬ大手サークルも参加し、一般参加者・サークル参加者ともに大盛況であった。少なくとも、ぼくの周囲はそうだった。
 では、ぼくはどうだったか。年末から気合を入れて作りはじめ、珍しくpixivに数枚イラストを投稿してまでガルパン好きをアピールし、かなりの意気込みで臨んだぼくはどうだったか。

 100部と、印刷所が多めに刷ってくれた余部を持っていった。そして売れたのは、24部
 たったの24部だ。約80部が売れ残った。売上は12,000円。とらのあなへの委託販売でも、今のところ同じ数しか売れていない。こちらは1冊あたり420円がぼくの手元に入ってくる仕組みなので、今のところ収入は10,080円。合わせて22,080円。格安の印刷所を用いて30,900円に抑えた印刷代の2/3程度にしか届いていない。
 それを聞いたぼくのパトロン(ここ2年ほど、彼から印刷代を前借りして、イベント当日に売上から返済していたのだ――そしてその条件は、初動で最低100部は出ることだった)は、言った。
「こらァ、次からDLsite専売やな」
 それは、今後彼から印刷代を借りられなくなること――必然的に紙媒体の同人誌を作れなくなること――同人イベントにも参加できなくなること――を意味していた。
 つまり、ぼくのオフライン同人活動LUNATIC PROPHETは終わりを告げたのだ。ぼくは愕然としたまま、電話を切った。

 ちょうど今、4月7日のアニメ『ビビッドレッド・オペレーション』オンリーイベントに出るための新刊を作っている最中だっただけに、ショックは深刻だった。もはや出すあてもなくなった同人誌の作業を続けることに、いったい何の意味があるのか。
 ぼくは絶望した。そのままDLsiteで出せばよいではないか、元手はかからないのだから粗利は黒字だ、という意見もあろう。しかし、ぼくにとって、同人誌はあくまで紙媒体でなければならないものだ。いまDLsiteで販売しているのは、あくまで余技にすぎない。そんなものを、本業(業ではないが)にするわけにはいかない。
 死にたくなった。そしてtwitterで「死にたい」と連呼した。規制されるまでつぶやき続けた。

 これから最低でも3万円を、約1ヵ月後の締切までに自弁できる見込みはまるでない。ぼくがいかに社会的なアルバイトに向いていないかは、過去十数年の歴史が証明している(そもそも面接のあるアルバイトには一度たりとて受かったことがないのだ。そして軽作業をやると激鬱になって寝込んでしまう)。どこかから振り込まれるであろう原稿料も、おそらく生活費にもならないはずだ。件のパトロンは、1記事当たり500円の原稿料を払ってくれるレビューサイトunrealyouth―非実在青少年―をぼくのために用意してくれたが、これから1ヶ月で60本も書けるとは思えない。
 というか、もはや何もやる気が起こらない。このところ、たまに「死にたい」とつぶやくほかは、死んだように一日中寝てすごしている。そんな日々でも、アニメージュやニュータイプの仕事はこちらの都合などお構いなしに降ってくる。すべてを擲って、死にたい。

 あの憎き(早く病状が悪化して死んでほしいと今でも思っている)id:nekoraの言うとおり、DLsiteでひとり頭30冊ずつ買ってもらうべきなのか。そんなのはnekoraの野郎のケツの穴を舐めさせられるようで、ぼくのプライドが許さない。ではどうするか? 再び銀行口座を公開するか? 安いプライドだと呆れられそうだが、nekoraのケツの穴を舐めるよりははるかにマシだ。
 三菱東京UFJ銀行
 久留米支店
 普通 3629966
 サカグチ タクジ

 これが銀行口座だ。ぼくなりに気合を入れて作ったガルパン本があのザマだったのだから、売れて返せるとも思えない。事実上、踏み倒すことになる(これまでだって常にそうしてきたではないか、という突っ込みは捨て置く)。それでも、という奇特な方には(もはやほとんどそんな人は周囲からいなくなってしまっただろう)、伏してお願い申し上げる。
 次の同人誌の印刷代を、ください。

研究テーマなんて見つからなかった学科時代

 修士どころか、文学部歴史文化学科西洋史学専修課程(以下、学科)での5年間が失敗に終わったぼくが来ましたよ。
私の修士での2年間は失敗に終わった(はてな匿名ダイアリー)
 とはいえ無事に修士を卒業できたわけで、少なくともこの方は学部時代、卒論を書くに値する研究テーマは見つけられたというわけだ。羨ましい。

hungchang 増田教育
これは卒業させたらダメだろ。本人に自覚はなさそうだけど、たぶん学部の時点でゼミについていけてなかったんじゃないのか。どうして院への進学を認めたんだ。日本の高等教育がまったく機能していない。2013/02/13

sonickhedge
質問する力がないんじゃなくて、考える力がないんだろ。小中高で勉強できて勘違いしちゃったのはかわいそうだろうけど。そもそも自分で研究テーマ見つけられない様な奴が院に行くのがおかしい。2013/02/13

 などと厳しいブックマークコメントもついているが、実に耳が痛い。ぼくは学科時代ゼミについていけていなかったし、研究テーマすら見つけられなかったダメ学生だったのだ。
 そもそも、2年生の進学振り分け(これについては以前東大教養課程はペーパーテストに正解する場だよで詳述した)時、ギリギリまでどの学科を志望しようか迷いに迷っていたのである。文学部へ行くことだけは決めていたが、その中でさて何を専修するか? となると、興味の範囲が広すぎて、また漠然としすぎていて、どうにも決めがたかった。歴史は子供のころから好きだったので、西洋史も東洋史も日本史もアリだった。その一方で、英米文学やドイツ語文学、フランス語文学なんていうものにも興味があった。西洋古典学も面白そう。また、インド・ヨーロッパ語の比較言語学にも多大なる興味を抱いていたので言語学科へ行くという手もあった。国文学もそれなりに楽しそうだった。一方で、社会学や社会心理学、心理学は、ぼくの成績では入れそうになかったし、美学芸術学(本来『学』と『芸』は旧字体)や美術史学には少々興味が薄かった。
 まあそんな状況だったので、アニメ研の部室にて最後の最後まで悩みぬいて、ええいままよ、と第一志望を西洋史学に決めたのである。確か、第二志望がフランス語文学で第三志望がドイツ語文学だった気がする。そして、進路希望届を今は博物館になっている旧教務課に持っていった。
 このあたりのエピソードや、駒場時代はアニメ研の部室に登下校していたという何度も書いてきた話から、ぼくの大学に対する態度が見て取れるだろう。正直、学問に興味などほとんどなかった。ただ、あの大学に行ける成績だったから行ったのである。最近、大学生の平均学習時間が38分という話題が出ていて、そのうち文系は28分という体たらくだったが、ぼくは7年間の平均で2分すら下回る自信がある。だって、勉強なんか面倒くさいじゃないか。面倒くさいことなんかやりたくないじゃないか。それでもなぜか東大模試ではA判定ばかり出てしまうんだから、じゃあ行ってみるかという気になるじゃないか。そしたら受かっちゃったから、行くしかないじゃないか。そうして高校の延長みたいな退屈な講義よりもよっぽど楽しいサークル活動を見つけたんだから、そっちにうつつを抜かすに決まっているじゃないか。
 そんな意識のまま、ぼくは2000年4月、学科へ進学した。何をやるのかもよくわからないままに。


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オタク界隈に新たに広まりつつあるジャーゴン「シコれる」「シコリティ」

 昔、こんな記事を書いたことがある。
真・「ブヒる」の歴史 または、自虐も他者が行えば加虐です
 「萌え」→「萌えヲタ」→「萌え豚」→「ブヒる」(ブヒれる)というオタク界隈のジャーゴンの変遷を明らかにしたものだが、最近さらに新しい、より直截的な表現のジャーゴンが加わった。「シコれる」だ。
 意味はそのものズバリ、ある作品やキャラクターで「抜ける」「オナニーのオカズにできる」。まあ、Twitterで「シコれる」で検索してみればよろしい。いくらでもひっかかるから。

マナちゃんがシコれるめだかちゃんだから六花さんはシコれる善吉か?

— 明日のパンツ/タケミナカタ/やすきたまさん (@yasakatome) 2013年2月11日

gdgd妖精s二期のEDはスカートを摘むおしゃまポーズが最もシコれるので、そこを抑えていない動画はどうしても評価が低くなる

— まつえー@正月休みさん (@amifiance) 2013年2月9日

吹き出しの中に♡だけって表現、凄くシコれる

— ちんちんから精液出しますさん (@hayatemaru) 2013年2月6日

キョウリュウジャーは女性キャラでいシコれるかどうかにかかっている節がある— ニャプ郎さん (@Heipod) 2013年2月9日

たまこまーけっとで1回シコる間にビビドレで3回シコれるしラブライブ!だったら5回シコれる

— こすひなさん (@coshina) 2013年2月8日

プリキュア:最新作のヒロインは異例の優等生 ビジュアルが公開 – MANTANWEB(まんたんウェブ) mantan-web.jp/2012/12/26/201… 全員優等生&お嬢様タイプとかアレか、ホワイト&ブルー派の股間狙い撃ちか。めっちゃシコれる

— まつえー@正月休みさん (@amifiance) 2012年12月26日

 なんというか、ついにここまで来たかと、ある種壮観ですらある。もはや「ブヒ(れ)る」にあった、性欲をかろうじて覆い隠していたヴェールすらも取り払われ、勃起したちんこなりクリトリスなりがむき出しになってしまったのだ(この言葉には使用者には女性も含まれる)。


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貧困の抑圧移譲の典型を見た?

 今朝のツイッターでのやり取りをコピペすれば終わる話なんだけど。

先日会った生活保護の母子家庭の中学3年の女の子。三人姉妹の長女。ショックだったのは、「高校に進学せず、中学を卒業したら働く」と言っていました。理由は「二人の小学生の妹の生活が楽になるから」。このように妹や弟の面倒をみる貧困家庭の長女を「児童ケアラー」と呼ぶことがあるらしい。続く。

— 山井和則さん (@yamanoikazunori) 2013年2月11日

私は今回の子育て家庭の生活保護費の引き下げが「児童ケアラー」を直撃するのではないかと心配です。今後三年間で生活保護費が5ー10%引き下げられると、もし長女や長男が知れば、高校に進学せず、あるいは高校を中退して妹や弟のために働こうと思うケースが増えかねない。それを防がねばなりません

— 山井和則さん (@yamanoikazunori) 2013年2月11日

@yamanoikazunori 何がショックなのか意味不明、きっと裕福に親に金を出してもらい生きて来られたのかな?貧困なら昼働いて夜学校へ行けば良い。定時制高校はそのためにある

— パトワンさん (@patowanwan) 2013年2月11日

何故貧困や格差を減らす方向に考えないのか。 RT @patowanwan: @yamanoikazunori 何がショックなのか意味不明、きっと裕福に親に金を出してもらい生きて来られたのかな?貧困なら昼働いて夜学校へ行けば良い。定時制高校はそのためにある

— 有村悠%ぱんっあ☆ふぉー!No.24さん (@y_arim) 2013年2月12日

@y_arim 日本人の言ってる貧困を世界の貧しい国の方が見たらどう感じるだろうか?わたしは、中学卒業して働き家にお金を入れて、高校を卒業した。だから言う国に甘えるな、甘えさせるな!

— パトワンさん (@patowanwan) 2013年2月12日

敢えて言う。あなたの個人的な貧困経験を他人に強いようとするな。 RT @patowanwan: @y_arim 日本人の言ってる貧困を世界の貧しい国の方が見たらどう感じるだろうか?わたしは、中学卒業して働き家にお金を入れて、高校を卒業した。だから言う国に甘えるな、甘えさせるな!

— 有村悠%ぱんっあ☆ふぉー!No.24さん (@y_arim) 2013年2月12日

@y_arim 貧しいからと言って甘えさせるな、甘えるなと言ってるんです。助けるなとは言いませんが努力をしないと見えない事がある。安易に金を与えても意味が無い。

— パトワンさん (@patowanwan) 2013年2月12日

社会福祉に頼らせること、頼ることは甘えさせでも甘えでもない。 RT @patowanwan: @y_arim 貧しいからと言って甘えさせるな、甘えるなと言ってるんです。助けるなとは言いませんが努力をしないと見えない事がある。安易に金を与えても意味が無い。

— 有村悠%ぱんっあ☆ふぉー!No.24さん (@y_arim) 2013年2月12日

 「自分はこんな苦労をしてきたんだからお前たちも同じ苦労をしろ」という思考に陥らないよう、気をつけねば。
 あとはこのやり取りから派生した、こちらのまとめなどもどうぞ。
スズメ∞たいちょう(@Hornet_B),貧困と教育を語る – Togetter

「嫌なら見るな」も大変だ

 ネット上では常套句となっている「嫌なら見るな」
 何か自分の気に入らないものに遭遇したときに、見ないフリをする、それ以後その物件に近づかないようにするというのはたいへんに賢明な処世術である。不毛な争いごとに発展する心配もない。
 ところがだ、よーく考えてみるとこの言葉には、「嫌なものの存在を許容せよ」という暗黙の圧力が存在するのだね。まあ、現代社会を生きるにあたっては「嫌なものの存在を許容する」というのは大前提なのかもしれない。しれない、が、しかし、これはけっこうな精神力を必要とすることだとは思わないか?
 嫌なものが同じ次元に存在することすら我慢できない、心の狭く弱い人間――そう、ぼくのような――は、いったいどうすればいいんだろうね? そんなことを考えたのだった。特にオチはない。