イチローＶＩＰ待遇ゲット　フロリダ名物・長距離移動を免除

　【タンパ穐村賢】オープン戦でＶＩＰ待遇だ。ヤンキースのイチロー外野手（３９）が２０日（日本時間２１日）、オープン戦での長距離移動を免除されることが決まった。フロリダ州で行われるオープン戦は長時間の移動を強いられることから、体の負担を考慮して自軍のホームゲームを中心に調整することになった。オープン戦初出場は、２４日（日本時間２５日）のブルージェイズ戦が濃厚で、左足首手術からの復帰を目指す主将デレク・ジーター遊撃手（３８）に代わって１番を任される見込みだ。充実のキャンプを過ごすイチローがいよいよ実戦モードに突入する。

　フロリダ名物の長距離移動の洗礼を受けずに済みそうだ。今年１０月に４０歳になるイチローにとってはヤンキースでの初オープン戦となるが、しっかりとベテラン特権を獲得。無理なく開幕戦へ向けて調整に入る。

　ロング打撃コーチは「イチローが遠い場所に遠征に行くことはない。行くとしても近場だろうね。日曜（２４日）のホームゲームには間違いなく出ると思うよ」。マリナーズ時代は移動距離の短いアリゾナがオープン戦の舞台だったが、フロリダ州では数時間以上の移動はざら。このためベテラン選手は遠征メンバーから外れることが多く、イチローもその恩恵を受けることになった。

　オープン戦初出場は元指定席の１番に座ることになりそうだ。同コーチは「シーズン中も、（リハビリ中の）ジーターが抜けることはあると思う。イチローが昨年、ウチで見せたような活躍をすれば、１番を打つことになるんじゃないかな」。レギュラーシーズンに入っても１番に入る可能性を示唆した。

　打線のけん引役として期待のかかるイチローはすでに臨戦態勢を整えている。この日初めて、マイナー投手が実際に投げた打撃練習で打席に入り、８球中、ファウルを３本。「もうゲームじゃないと（実戦感覚は）変わらない。それ（試合への準備）は自主トレの時に終わってるから」とオープン戦を待ちわびた。

　フリー打撃では２６スイングで柵越えゼロ。マリナーズ時代は右翼の看板直撃弾が調子のバロメーターだったが、「ここ気候が全然違うから。アリゾナみたいにバンバンいきませんよ」。周囲の心配をよそに意に介することはなかった。「前向きな期待はいつもある」とイチロー。ヤンキースの一員として初めて過ごすキャンプながら戸惑いはない。どっしりと腰を落ち着け、マイペースで体を仕上げていく。