出生前診断:新サービス発表 カウンセリングなしに議論も
毎日新聞 2013年02月21日 19時24分(最終更新 02月21日 20時23分)
妊婦の血液から高い精度で胎児の染色体異常が分かる新型の出生前診断について、日本の検査代行会社「セル・アンド・ジェネティック・ラボラトリー」(東京都港区)は21日、妊婦が米国でこの検査を受けられる新しいサービスを始めると発表した。結果の解釈や病気の説明などの遺伝カウンセリングなしに、検査だけを提供するため、議論を呼びそうだ。
同社によると、希望する妊婦はホームページから申し込み、グアムかハワイ、西海岸の同社の提携医療機関で採血。2週間後に米国の検査会社による診断結果と日本語の翻訳文の計2枚が、郵送で本人に届けられる。検査費用、輸送費など約35万3000円で、渡航や滞在費用も自己負担になる。現在、国内で採血ができるよう、都内のクリニック1カ所と提携準備を進めているという。
遺伝カウンセリングについては、都内のクリニックを含め実施せず、「受けることを勧めます」と文書で妊婦に呼びかけるとしている。
新型の出生前診断をめぐっては、採血のみで済むという手軽さはあるが、検査結果が妊娠中絶という重大な決断につながるため倫理的な問題が指摘されている。厚生労働省は「遺伝カウンセリングについてあまり考慮していないようだ」として、同社に聞き取り調査を行う方針。
また、日本産科婦人科学会は来月中にも、診断に対する指針を決定する方針で、この中では十分なカウンセリング体制の整備を義務づける予定。【斎藤広子】