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【郡山駅前再開発】ビル解体後の計画急げ(2月14日)

 JR郡山駅近くにある旧大型店の空ビル2つが今年度中に解体工事に入る。ともに長年にわたって駅前再開発の足かせになっていた。2つの空ビルとも東日本大震災で「大規模半壊」に認定され、国の委託事業として、郡山市が直接取り壊すことになった。これに伴い、2つの跡地利用が大きく注目を集め、駅前のにぎわいづくりに弾みがつくと期待されている。
 一つは、駅の真正面にある郡山駅前共同ビル(旧丸井郡山店)だ。平成20年に閉店し、空ビルのまま5年が過ぎた。大規模半壊に認定された後、全地権者26個人・法人から要請を受け、解体工事に入る。地上8階、地下1階で延べ面積は約8800平方メートル。
 もう一つは、大町にある郡山大町センター(旧トポス郡山店)だ。空ビルになって約20年で、本館と別館の2棟がある。今回解体されるのはアーケード街に面した別館で、地上8階、延べ面積約3700平方メートル。損壊が小さかった本館(11階、地下1階)は解体事業の対象から外れた。
 両店とも中心市街地の核店舗として華々しい歴史を残した。昭和50(1975)年秋、郡山駅前には西友ストアー郡山店(西武郡山店)、丸井郡山店、ダイエー郡山店が相次いでオープンした。当時は「黒船来訪」といわれ、地元のうすい百貨店も加わった壮烈な商戦を展開し、多くの買い物でにぎわった。
 ダイエー郡山店が平成2年にディスカウント店「トポス」に業態転換した後、6年に閉店した。丸井郡山店も若者向けのファッションをそろえて人気を集めたが、ビルの老朽化などもあって閉店した。西武郡山店も西友ザ・モール郡山店の開店に伴って駅前から撤退した。
 このため、駅周辺の買い物客は目に見えて減少し、ここ数年は中心市街地の空洞化を象徴する存在になっていた。
 肝心の解体後の跡地利用はともに未定だ。旧丸井郡山店は、地権者でつくる郡山駅前共同ビル組合が中心となって複合型商業施設の建設を目指している。詳細の協議はこれからという。旧トポス別館は全くの白紙状態で、本館が解体されないうちは具体的な再開発は難しいとの声も聞く。
 ただ、2つの空ビルとも中心市街地の一角にある。特に旧丸井郡山店はJR郡山駅の表玄関に当たる一等地で、経済県都の顔としての役割が期待される。早急に跡地利用を議論し、市民に受け入れられる再開発づくりに着手すべきである。(浜津 三千雄)

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