松井孝治
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【2010年10月 雑誌「と GRAPHIC DESIGNERS」掲載】




JAGDA REPORT Vol−188

徳田祐司 と 参議院議員 松井孝治





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松井孝治

1960年京都府生まれ。東京大学教養学部卒業後、米国ノースウェスタン大経営大学院卒業(MBA)。83年通商産業省入省。94年から96年まで、総理官邸に出向し、総理演説執筆、橋本行革原案作成などを担当するかたわら首相官邸のホームページを創設。00年通産省を退省し、01年の参議院議員選挙で初当選(07年再選)。以後、党マニフェスト「菅政権300日プラン」「岡田政権500日プラン」をまとめ、党シンクタンク「公共政策プラットフォーム(プラトン)」を立ち上げる。鳩山内閣では内閣官房副長官に就任。現在、内閣委員会・国家基本政策委員会。民主党「次の内閣」内閣府担当大臣、「行政改革調査会」事務局長。
徳田祐司

武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、(株)電通入社。2001年から1年半、KesselsKramer(オランダ)に勤務。ドキュメンタリー映画『The Other Final〜世界最下位決定戦』等多くのプロジェクトに参加。03年電通コミュニケーションデザインセンターに戻る。07年6月、コミュニケーションデザインカンパニー「カナリア」を設立。日本コカコーラ(株)「いろはす」、福岡PARCOサインデザイン、W杯招致VI等、広告からデザインまで幅広く活動中。ピースデザインプロジェクト「retired weapons」主宰。「TREASURED TRASH PROJECT」へ参加。09年ADFEST審査員。LUXART PARISにも所属。

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フラットな場で伝える

鳩山政権時に内閣官房副長官を務め、「国民と政治の距離を近づけるための民間ワーキンググループ」(※1)と共に「鳩カフェ」(※2)を実行に導いた松井孝治参議院議員。
いつの間にか当事者意識を持てなくなってしまった国民と政治の関係を、新しいコミュニケーションで繋ぐべくして起こした活動だった。ワーキンググループにアートディレクターという立場で参加し、鳩カフェのロゴをデザインした徳田祐司が、鳩カフェとは何だったのか、政治とコミュニケーションとは何かを訊いた。


デザインはもっと社会や公共に役立つはずだと思っています 徳田

徳田祐司(以下、徳田)‥僕はかねがねデザインはもっと社会や公共に役立つはずだと思っていて、日本はいいデザインがたくさんあるのに、まだ新しい領域への展開が少ないように思うんです。
鳩カフェではロゴのデザインや椅子の位置を決めたりという初歩的なことではあったんですが、これをきっかけにデザイナーの活動領域が広がっていったらいいなと思っているんです。

松井孝治(以下、松井)‥今回鳩カフェに関わって頂いて、官邸のデザインをどう思われました?
官邸の庭に面した4階の会議室にカフェを設けて、総理大臣が有権者とお茶をしながらその中に溶けこんで話をする。子どもが庭で遊び、その庭で総理が焼きそばを焼くこともした。まさに政治と国民の対話の場でした。
今後ここをもっとどう活用できるのかを、僕らみたいな人間は率直に聞いてみたい。

徳田‥いきなり質問されてしまいました(笑)。
僕は想像していたよりいい空間だなと思いました。もっと威圧的な空間かと思ってたんですよ。ただ、リアル鳩カフェの時は特殊な瞬間だったので、通常の様子はわからないですけれど、交流の場という意識はちょっと弱いかなとは感じました。
松井さんが目指しておられた国民と政治を近づけるという意味では、今回まさにそのきっかけだったと思うんですけれども、リアル鳩カフェの“カフェ”という遊びや余白によって、きっかけをどんどん作っていけるといいなと。デザインで見た目を整えるだけじゃなくて、屈託なく会話ができるスイッチをたくさん用意するのが僕らの仕事かなと思っていました。

松井‥総理が着ていたシャツ(※3)のインパクトのすごさを感じましたよね(笑)。マスコミのすべての印象を、あのシャツに上書きされてしまった。
でもあのシャツのおかげで、少なくとも鳩カフェをやったということを多くの国民は覚えていると思うんですよ(笑)。

徳田‥大切なのは包み隠すことでなく本人の個性や性格が出ることで、鳩カフェのせいかシャツのせいかわからないですけれど、居酒屋とかで政治や鳩山さんの話をする人がすごく増えましたよ。二回で終わってしまいましたが、すごい波及効果があったと思います。

松井‥鳩カフェは非常に貴重な経験で、本当はもっと継続しながら、できるだけ多くのみなさんにフラットに参加してもらって、総理と人々が語るというより、人々が語るところに総理もいるというふうにしたかったんです。そして、その姿をそのままノーカットで映像として流すことをしたかった。結局マスコミの報道は、官邸で総理がこういう人たちに焼きそばを焼いて振る舞いました、というようなことばかりが流れてしまいました。
やっぱりマスメディアの編集、加工、発信能力っていうのはまだまだ大きいけれど、我々としても、国民と政治の距離を縮めるためにツイッターをやり、ブログ、メールマガジンもやった。そういう新しいコミュニケーションを試みながら、実際に対話の場もということで、リアル鳩カフェをやったんです。鳩カフェ=リアル鳩カフェのように思われていますけれど、ブログやツイッターも含めて「鳩カフェ」なんですよね。
鳩山政権が続いていたら、地方でもリアル鳩カフェをやろうと話していましたよね。例えば大阪の京阪の駅コンコースのカフェで鳩山さんと関西圏の人々がお茶を飲みながら話をするというね。

徳田‥なんとか復活させたいですけどね。

松井‥鳩山さんにもう一度総理大臣になってもらわないと(笑)。


思いつきではなく、最初からツイッターがあった 松井

徳田‥遠い世界だと思っていた政治との関わりのなかで、僕にできることってなんだろうと考えたときに、“場”を作ることだと思ったんです。
会話しましょうっていうスローガンではなくて、みんなで集まれる場は、どんな人が来ても平等だと思ったんです。国民が一人の人間として自分の思いをカジュアルに語れる場所には、カフェっていう考え方がいいんじゃないかと。

松井‥昨年9月、鳩山さんや仙谷さん(※4)たちと一緒にさとなおさん(※5)と会った時、彼がツイッターの画面を見せて、「へー、これがツイッター。おもしろいね」となったんです。
で、11月にさとなおさんが改めてプレゼンテーションしたんですね。国民と政治の距離を近づけたい、コミュニケーションのあり方を変えたいと。彼は「出会った人と握手して一言二言交わすのがツイッターで、駅前の街頭演説、辻立ちがブログ、集会や講演に支援者が集まって話すのがメールマガジンです」と言ったんです。
だから思いつきではなく、最初からツイッターがあった。元旦最初のツイートは「あけましておめでとうございます」でしたね。

徳田‥僕らワーキンググループは、国民と政治の間に何か新しい関係、コトが生まれそうだっていうワクワク感を覚え始めました。

松井‥鳩山さんの最初の所信表明演説と施政方針演説(※6)を作るときに、平田オリザさん(※7)に関わってもらったんですね。鳩カフェは、それと軌を一にしたコンセプトなんです。鳩山さんという人は、国民と政治の距離をもっと縮めたい、もっと体感温度で語りたいという人でした。そこから「新しい公共」も始まりました。
「公共」は議員会館や官邸、霞が関の官庁街だけにあるのではなく、極端に言えば人間一人一人の中にあって、地域や学校も公共を担っているよねと。そういったそれぞれの公共に序列のない社会を作りたい。鳩カフェは、そんな鳩山由紀夫という人のもとでのプロジェクトだったんです。リアル鳩カフェも、5月に3回目をやる予定だったんですよね。

徳田‥「健康とスポーツ」ですね。

松井‥普天間問題でいつ沖縄に行かなきゃいけなくなるかわからないけど、ドタキャン覚悟でやりましょうよと僕らは言っていたんですが、鳩山さんがドタキャンだけはしたくないからと延ばすことになった。「延ばしたら、できるかどうか」って喉元まで来たけど(笑)、それは言えなかった。

徳田‥(笑)。
伝えるという時、人が見えるか見えないかというのは重要だと思うんです。現職の菅さんや歴代の総理大臣の方はおつきあいがないのでわかりませんが、鳩山さんはツイッターでも官邸のドアノブや美術品みたいなものを紹介していたことがありましたよね。それは、その人にしか見られないものを撮っていたんですよね。

松井‥ドアノブとタンザニアのピンダ首相から頂いた「マコンデ彫刻」を、これはなんでしょうといきなりつぶやいたんですよ。

徳田‥みんなで何だなんだって(笑)。

松井‥総理の発言は公文書扱いになるんです。だから、こういうことを言いたいとなった時に、秘書官に伝えて、そこから他の人ともコミュニケーションしながらつぶやく内容を判断していたんですよ。秘書官が文字を打っているというのは総理も明言していましたけど。
ところが、総理がこれでいきたいと言って、ぱぱっと流れることがあった(笑)。でも結局、それがおもしろかったんですよ。
“裸踊り”(※8)発言の時は、もう総理を辞任していましたが、あれはどういう意味なんだって話題になりました(笑)。

徳田‥映像を観てからツイートを読むとすごくいい話なんですが、“裸踊り”という言葉が先行してしまいましたね。在任中の日々の反応を見ていても、人柄が見えるツイートの時に明らかに肯定的な反応が多かった。

松井‥周りのスタッフが作った外交についての文章などは、相手もあることだし、おもしろいエピソードをそう言えるわけでもないから、あまり反応がよくない。
個人的な体験とか、総理にしか見えないことをつぶやくと反応がすごいくいい。ほかのツイートはなかなかドアノブに勝てなかったんですよね(笑)。


有権者はオーナーとしてもっと普通に接して、普通に意見を言ったりしてほしい 松井

‥‥ツイッターは個人の特性が出やすいメディアだとは思うのですが、ツイッターに限らず、政治家として人からの見え方のようなことはどう意識されていますか。

松井‥政治家によって全然違うと思うけれど、僕はそれほど意識しないタイプです。ですが、それでもこれからはコミュニケーションを前面に出したほうがいいと思う。僕自身も含めてですけれど、政治家のポスターってどれもつまらないでしょう。正面を向いた笑顔のものばかり。
でも、これからは第三者と喋ってる画を見せたほうがいいんじゃないかという議論は鳩山さんともしました。僕の最初の選挙ポスターは赤ん坊の息子を抱いて顔を覗きこんでいるもので、これは妻が撮ったもの。もう一つは雑誌の対談での写真をそのまま使わせてもらいました。
印象論だけじゃなくて、政治家ってウサン臭いでしょ?でも、自分で政治家をやってみてわかったのは、普通の人間がやっているし、他の人が誰しも持つような個人の欲も経済的な欲も、名誉欲もある。より強いことはあるかも知れないけれど、それ以上に特殊な存在になってしまっていると思うんです。
政治家は国民の生活から遠いという印象を変えなくちゃいけない。直接自分に言われたことだけでなく、何か腑に落ちない、こうあるべきだという多くの有権者の意見を政治家が吸収していかないといけない。そうしないと、どんどん偏っていってしまう。政治家はみなさんの税金で養われているんだから、有権者はオーナーとしてもっと普通に接して、普通に意見を言ったりしてほしいんです。
とはいえ、政治家はスーパーマンではないし、かといって影のドンみたいに悪いことばっかり考えてるわけでもない。一部いるのかもしれないですけど(笑)。普通の関係を持つことが、日本の政治がよりまともになることかなとは思いますよね。
原点はオーナーシップなんです。そこをもう一度確認したい。自分も国民の方々とフラットに話ができる。またはその輪の中に自分も入るという場を作って、それをちゃんとメディアで展開し、伝えたいと思っています。

徳田‥オーナーというと、ガラス張りの部屋で働く姿を見せるのがスタッフの信頼を得る一番早いやり方だと聞いたことがあるんですけれど、今回のツイッターとリアル鳩カフェの対話シーンもそうですが、何を考えて動いているのかが伝わることでフェアな見方をしてもらえる。
その結果、有権者が“自分ごと”にできたのは、鳩カフェのいいところだったと思うんですね。

松井‥多少なりともそうなっていればいいですよね。

徳田‥相当なっていると思います。松井さんがおっしゃったことで僕が一番いいなと思ったのは、これは民主党とか自民党とか政党の枠に関係なく、続けるべきだと言われたことなんです。
対話する場があり、それを皆に観てもらえる場がある。自分も話ができるかもしれないとなれば、自分も基地や教育について自分なりの意見を持とうというふうに、関係が生まれてきますよね。たった半年でしたが、十分それは始まったと思います。



マスコミの責任だというのは簡単だけど、自分たちは伝える努力をしてきたかってことなんです 松井

松井‥リアル鳩カフェも、始まる前はすごく心配していたんだけど、案ずるより産むが易しというか、参加者にはこちらの予想以上に話される方もいた。鳩山さんはといえば、話そうとすると、他の人が話し始めて引っ込んでみたいな(笑)。
みなさんは総理大臣と聞くと、鎧を着たような重たい総理を思い浮かべるんだけど、人間ですからいろんな側面があります。今の国民の政治不信や諦めは、政治を断面的に捉えざるを得ない環境に置かれていることにも一因があると思います。それをマスコミの責任だというのは簡単だけど、自分たちは伝える努力をしてきたかってことなんですよ。官邸はどんな職場で、政治家はどんなことを悩み考えながら仕事をしているか、国民が想像できるような余地を今まで与えてきたかというと、与えていないじゃないかと。
だからこれからは、共感を持ってもらうことが重要なんです。
事業仕分けが共感を得たのは、役人でない第三者がこの予算はおかしいと訴える姿を、テレビやUSTREAMで見ることができ、ツイッターで意見が言えた。こうやって目に見える場所、やり方で予算や税金の使い道を決めてほしかったんだという共感だと思うんですよ。財務省が議論していなかったわけでもないし、仕分け人が100%正しいことを言っているわけでもない。だけど、有権者がそこに参加できたし関われもした。関わってないにしても疑似体験ができて、同じ考えの人に代弁してもらえたことで、政治との距離感が縮まったと思うんです。そういうことを僕らが努力してやっていかなきゃだめだと思います。


議論の場をちゃんと作るために、政治につきまとうフィルターをどう外していくか 徳田

松井‥鳩山政権最後の「『新しい公共』円卓会議」(※9)で「裸踊り」の話題が盛り上がって、退陣後の鳩山さんがそのことをツイートしたのは、駒崎弘樹くん(※10)のブログを読んだからなんです。「政治家や官僚を叩きながら確実に腐っていく我が国の中で、僕は今日から自らの行いによって、半径1メートルの中で1ミリでも社会を変えていこう」(2010年6月5日)って。
これが書かれたブログのURLがツイッターでどんどん広がっていった。そこから実際に北海道で「俺たちが『新しい公共』を考えよう」って、北大の先生と寺脇研(※11)、鈴木寛(※12)、逢坂誠二(※13)たちがシンポジウムをやったりした。
これこそが僕らが狙った、みんなで考えようってことなんです。政治がみんなに納得感をもってもらうには、徹底的に議論をし、みんなに関わってもらって判断しようという場を作っていかざるを得ない時代に入っている。みなさんから税金を集めて、僕らがスーパーマン的に“どうだこの予算”と提出しても、全て納得できるようなものを、自分たちだけで作れるわけではない。民間に任せれば安いじゃないかということとは違う。市民がどれだけ善意と当事者意識を持って貴重な税金の使い道を考え、実際に議論できる環境を整備、デザインするのがぼくらの任務だと思っています。
官邸から伝えるとか距離を近づけるというのが、パフォーマンスのように受け止められたかもしれないけれど、新しい公共とか統治構造を変えるということとつながっていただけに残念ですね。

徳田‥期待されて、求められると人って変わりますからね。僕は鳩カフェを一緒にやらせてもらってからは、政治への抵抗感みたいなのはなくなって、素直にいろんな話を聞けるんですけれども、政治や国会に対する怖さや諦めがあったら、情報が耳に入ってもそこから先、理解するところまでは届かないんじゃないかとは思いますよね。

松井‥そうでしょうね。

徳田‥そこがもったいないなって。伝える努力はすごく大事。だけど、そのための工夫も方法も必要。
僕はロゴのデザインでしたが、どういう人に参加してもらうのかとかスムーズに対話が始まるような環境整備とか、自分たちでUSTを使ってライブですべてを伝えていこうというような、ファシリテーターたちの努力があったと思うんですよね。それが功を奏したから、思ったほど否定的な意見が少なかったと思うんです。
大切なのは、相手(政府や政治全般)を理解すると、批判でも肯定でも、もうちょっと自分に責任をもって意見を言えることだと思うんですね。そういう議論の場をちゃんと作るために、政治につきまとうフィルターをどう外していくかは、政策を考える以上に大きな超えなきゃいけない壁かもしれないですよね。

松井‥そうだと思いますね。何政権であっても、その要素は大きいと思うんですよ。
事業仕分けでも、中身の部分が斬新であったというより、ああいうものが実況中継されたり、その日のニュースでやりとりが流されたり、あるいは傍聴者が勝手にUST中継していたり、今まで遠くにあった予算編成みたいなものがぐっと引き寄せられた。こういう機会や場をどれだけ作れるかってことが大事で、それは徳田さんがおっしゃった“場”と近いかもしれない。ネット上の場も、リアルな場も大事。
鳩カフェに来た人って、全く見方が変わったと思うんですよ。だって、みんなで同窓会やってるんですよ、勝手に。僕らも呼んでもらえない(笑)。

徳田‥僕は、リアル鳩カフェの一番の価値はそこだったと思うんです。第2回の「食と農」に関しては、実家が農家の人も、都会出身で農家になった人も、グアムの人もいた。「農家のこせがれネットワーク」(※14)で、農家の子は田舎に帰って来いと言ってる人もいる。いろんな人達がいて、その人達が横のつながりを作れることってこれまでほとんどなかったと思うんです。ネットワーク環境の変化はもちろんありますが、ある特殊な空間で何かを語り合うっていう瞬間を経験して、問題がみんなの“自分ごと”になったんでしょうね。

松井‥それはものすごく大きかったですよね。もっと続けられて、同窓会がどんどんできていくのを想像すると、ひと月に一回、10人ずつでやれば、年間で100人以上の人たちが集まって話すことになる。
参加してくれた皆さんは発信力もある方たちだったし、あれをきっかけに目覚めちゃった人たちもいる。総理が月に一回一時間しゃべるなんて難しいことじゃない。それ以上に、10人が100人に、1000人になってネットワークでつながっていくことの方がものすごく大きいと思います。

徳田‥政治家だけじゃなくて、一般市民も報道も、一緒に考えるっていうのはすごく大切だと思うんです。政治家も考えているけど、みんなの考えもくださいって。そこでのデザインの役割は、正しい判断や正しい批判、正しい賛同を得るために情報や環境、見え方を整え、意図通りに伝えていくことだと思います。

松井‥有権者とのそういうキャッチボールってなかった気がするんですよ。だから、一般の有権者の方からフリ返されることがなくて、あなたたちはどう思うのって今まで聞かれたことなかったですから。
これからインターネット選挙になったら、有権者が候補者全員に同じ質問をして、ある時間の枠内で自由に答えてもらうことをしてもいいですよね。選挙管理委員会はその枠を提供して管理をするだけ。長々と丁寧に答えてもいいし、短く簡潔に答えてもいい。ただ長ければ聞いてもらえないかもしれませんよね。そういうプレゼンテーションも含めて政治家の個性だと見せたほうが絶対わかりやすい。

徳田‥政策の良し悪しはあるにせよ、人をつかむというのは、映画や音楽といったエンターテインメントと同じで技だと思うんですね。話術や熱意だけではなく、文章が読みやすい、わかりやすいとか、政見放送もそれぞれが演出できるような白いキャンバス空間を用意するとか、そうやって総合的に人を判断できるようになっていくといいですね。


※1_国民と政治の距離を近づけるための民間ワーキンググループ
平田オリザ(劇作家)が発案し立ち上げた「国民と政治の距離をどう近づけていくか」を考えるグループ。メンバーは以下。代理店の人間はそれぞれ個人での参加となっている。佐藤尚之(ブロガー/CD),佐々木かをり(イーウーマン社長)、小山薫堂(脚本家/放送作家)、徳田祐司(AD)、須田和博(CD)、今村久美(NPOカタリバ代表理事)、佐々木康晴(CD)(鳩山内閣退任時に解散)

※2_鳩カフェ
政治と国民の距離を近づけるべく、鳩山総理がブログやツイッター、USTなどソーシャルメディアやコミュニケーションツールを駆使しながら、首相と有権者がカフェスタイルで対話する「リアル鳩カフェ」なども行った、一連の情報発信、コミュニケーション活動の総称。

※3_総理が着ていたシャツ
2回行われたリアル鳩カフェで、鳩山由紀夫元首相が着用していたシャツのデザインをワイドショーや週刊誌が盛んに話題していた。

※4_仙谷さん(1946〜)
仙谷由人。民主党衆議院議員。内閣官房長官(菅内閣)。鳩山政権時には、内閣府特命担当大臣「行政刷新」担当と「新しい公共」担当を歴任。

※5_さとなおさん(1961〜)
佐藤尚之。クリエイティブディレクター、ブロガー。広告代理店でCMプランナー、コピーライターとして働き、現在CD。個人活動では、食に関する著作「うまひゃひゃさぬきうどん」など多数。

※6_所信表明演説を施政方針演説
所信表明演説は、総理個人の所信として、国政についての方針や重点課題を説明するもの。施政方針演説は、通常国会の冒頭に総理が内閣全体の方針や重点課題を説明する演説をいう。

※7_平田オリザ(1962〜)
劇作家(「青年団」主宰)、内閣官房参与、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター教授。「現代口語演劇理論」を掲げ、日本人の生活を起点に演劇を見直し、「静かな演劇」と称された90年代の小劇場演劇の流れをつくった。

※8_裸踊り
TED(Technology Entertainment Designが主催するカンファレンス)において、「社会運動はどうやった起こすか」と題された起業家デレク・シヴァーズの講演で、「一人の裸踊りから、たった3分の間に社会的な運動が起きる様をご覧いただき、そこから教訓を引き出そう」というもの。

※9_「新しい公共」円卓会議
鳩山所信表明演説に基づき、「新しい公共」という考え方やその展望を市民、企業、行政などに広く浸透させるとともに、これからの日本社会の目指すべき方向性やそれを実現させる制度・政策の在り方などについて議論を行うことを目的とした会議。

※10_駒崎弘樹(1979〜)
病児保育のNPO法人フローレンス代表理事。「『新しい公共』円卓会議」をUSTとツイッターを使い実況した。

※11_寺脇研(1952〜)
京都造形芸術大学教授。落語・映画評論家。キャリア官僚として文部省に入省。主に教育問題に関わる。「カタリバ大学」学長。

※12_鈴木寛(1964〜)
民主党参議院議員。文部科学副大臣(鳩山内閣/菅内閣)。

※13_逢坂誠二(1959〜)
民主党衆議院議員。内閣総理大臣補佐官(菅内閣)。元ニセコ町長。

※14_農家のこせがれネットワーク
就農間もない農家が自律するためのマーケティングとプランディングを支援するNPO。
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