若手デザインファーム、イキゴト代表の五味勇人さんとランチしてきました。五味さんとはハヤトつながり。とても刺激的な話を伺えたのでメモをご共有。
コンテンツ思考の呪縛
しばしば「コンセプトストア」って立ち上がりますよね。アムステルダムのスタバなんか超オシャレです。
なんでこんなもの作る必要があるのか、ぼくはいまいち理解していませんでした。が、五味さんとの対話のなかで、すっきりとした答えを発見することができました。
「コンセプトストア」の意義は、「コンセプトから考えることで、新しいソリューションが生まれる可能性があること」にあります。
ぼくらはつい、仕事をするなかでつい近視眼的になり、手持ちのコンテンツばかりに注目してしまいます。
たとえばスターバックスなら、仕事をするなかで、自分たちのバリューは「コーヒー屋であること」だと思い込んでしまうわけです。この視点に囚われると、コーヒーの質を高めたり、接客の質を高めたり、といった手元の努力ばかりしてしまうことになります。いわばこれは「コンテンツ思考」です。
手元の質を高めることは悪ではありませんが、そこから新たな価値提案は起こりません。せいぜい「美味しいコーヒー屋」が「なかなか美味しいコーヒー屋」になる程度でしょう。
コンセプト思考が新たな価値を生み出す
こうした価値の硬直を取り払うのが、コンセプト思考です。
たとえば代官山蔦屋書店のスタバは、単なる「コーヒー屋」を超えた、コンセプチュアルな店舗です。代官山蔦屋書店のコーヒーは「オシャレな本屋」のなかのコンテンツのひとつであり、「本を優雅に楽しむため」のツールです。
一般的な店舗においては、スターバックスのコーヒーは、基本的にコーヒー以上の価値を持ちません。しかし、代官山蔦屋書店においては、そのロケーションのおかげで、「本屋巡りの体験の質を向上させる」という新しい価値を持つわけです。
たとえばこのブログも、先日思うところがあって「ihayato.news」から「ihayato.書店」というタイトルに変更しました。これも「コンセプト」レベルの変化です。
「ihayato.書店」というタイトルを掲げることにより、このブログの射程は広がり、新たな価値を提供できる可能性が拓けます。
今考えているコンテンツ案としては、「古本定期販売ビジネス」「リアル書店との連携」「独自ブランドの電子書籍の出版」「読書コミュニティの運営」などがあります。
これらのコンテンツは「ihayato.news」というコンセプトのままでは、発想すること自体が困難だったものです。そこをひとこと「書店」といいかえるだけで、いとも簡単にコンテンツの視野が広がるのです。これがコンセプトの力です。
みなさんが例えばベビー服を売っているのなら、ベビー服を「コンテンツのひとつ」として捉える、新しいコンセプトを考えてみるといいかもしれません。
これはあまりイケてないですが、たとえば「親子おそろいの服を着よう」というコンセプトのもと、子どもと親のペアルックを販売してみたり。つまり、ベビー服だけでなく、揃いの大人用の服を販売することで、ベビー服に新しい価値を付加しているわけですね。
みなさんがかまぼこを販売しているのなら、たとえば水族館のなかで、かまぼこを売ってみても面白いでしょう。コンセプトは「生命の循環を感じる」。今見ていた魚は、加工されてぼくらの身体の一部になっているんですよ、的なメッセージを込めて、かまぼこを販売するというプランです。まぁ、これもいまいちイケてないですが…。
手元の最適化に行き詰まったら、一度手元にあるものを「数あるコンテンツの一部」とみなし、コンセプト自体を新たに設定してみると、新しい視座が開けると思います。ぜひお試しあれ。
すばらしいヒントを頂けたイキゴトの五味さんに感謝です!コンセプトデザインを行う若手中心の素敵な企業ですので、ブランディングにお悩みの企業はぜひチェックしてみてください。