陸軍階級(昭和16年以降)

区分 階級 進級停年 現役定年 補職例 官吏区分 官等 初叙位階 初叙勲等
  元帥 なし 終身            
将校 将官 大将 なし 65歳   高等官 勅任官 親任官 正四位 二等
中将 4年 62歳 師団長 一等 正五位 三等
少将 3年 58歳 旅団長 二等 正五位 四等
佐官 大佐 2年 55歳 連隊長 奏任官 三等 従五位 六等
中佐 2年 53歳   四等 正六位 六等
少佐 2年 50歳 大隊長 五等 従六位 六等
尉官 大尉 4年 50歳 中隊長 六等 正七位 六等
中尉 2年 45歳   七等 従七位 六等
少尉 1年 45歳 小隊長 八等 正八位 六等
准士官 准尉 4年 40歳   判任官 一等 正七位 八等
下士官 曹長 4年 40歳   二等 従七位 八等
軍曹 2年 40歳 分隊長 三等 正八位 八等
伍長 1年 40歳   四等 従八位 八等
兵長                
上等兵                
一等兵                
二等兵                

 

解説

区分について
大将から少尉までを将校、准尉を准士官、曹長から伍長までを下士官、兵長以下をという。
また、大将〜少将を将官、大佐〜少佐を佐官、大尉〜少尉を尉官という。
明治・大正時代は、大佐〜少佐を上長官、大尉〜少尉を士官といっていたが、昭和12年以降は上記が正式名称となる。
准士官は、明治20年に最上級下士官(曹長)の先任者を下副官といい、明治27年からは特務曹長と呼び名が変更、更に昭和12年から准尉と変わった。
下士官は、昭和6年までは下士が正式名称であり、明治18年から32年までは伍長が無く、軍曹が一等、二等に分かれていた。
兵も、昭和6年までは兵卒が正式名称であった。また、最優等兵(上等兵)で更に下士官適任者とされた者は伍長勤務上等兵と称したが、昭和16年に兵長と呼び名が変更され、独立した階級とされた。

階級について
まず初めに、日本における元帥は階級ではない。
特旨によって元帥府に列せられた陸海軍大将に贈られた称号である。
正式には元帥陸軍(あるいは海軍)大将という。
天皇の軍事顧問という立場であったが、当初期待された陸海軍の調整役としてよりも、陸海軍の利益代表であることが多かった。
建軍当初、准少佐、准少尉という階級が存在したが、数年で廃止された。
日本には准将という階級が存在しないが、これは旅団長陸将の意であり、旅団長への補職は少将をもって充てるために存在しない。
なお、大正6年に創設された准尉候補者制度(大正9年に少尉候補者制度へ改正)における准尉は準少尉の意であり、准士官の准尉とは性質が異なる。
ところで、全軍の総司令官である天皇にも軍人としての階級があり、陸海軍大将(陸軍大将であり海軍大将)であるが、正式には大元帥陛下陸海軍大将という。
軍装では陸海軍大将に準じるが、細部での階級を示す部分が異なった。

進級停年について
その次の階級に進級するのに必要とされる要件のひとつ。
詳細は将校・下士官の制度を参照。

現役定年について
その年齢(満年齢)に達した場合に予備役となる上限年齢。
予備役は6年で、その後は退役となる。
詳細は将校・下士官の制度を参照。

官吏区分と官等について
武官としての階級のほかに、官吏(国家公務員)としての官等がある。
官吏は高等官判任官に分かれ、高等官は更に勅任官奏任官に分かれる。
勅任官には更に親任官があり、親任官任命は親任式(親補式)により、官記(辞令)に天皇の親署と御璽、内閣総理大臣の副署が加わる。
その他の勅任官任命は勅令により、官記に天皇の御璽、内閣総理大臣の副署が加わるという違いがある。
奏任官任命は内閣総理大臣による奏請により、勅裁を得て任命される。官記には内閣の印が押されて公示されるが、勅令にはよらない。
判任官は高等官に指揮をされる身分であり、任命は各行政官庁(准士官・下士官の場合には陸海軍省)に一任されていた。

初叙位階と初叙勲等について
位階はその階級において与えられる官位。
勲等はその階級で与えられる最低勲位。
勲等はその業績によって更に上位の等級が与えられることがある。
式典などにおける席次において、この位階勲等が影響する。また、このほか爵位も影響する。
ただし、軍人の進級などに関して爵位が影響することは無いが、皇族は例外となる。