ペニーオークション詐欺:落札できぬ仕組み 4容疑者逮捕、月400万円利益
毎日新聞 2012年12月08日 大阪朝刊
入札ごとに手数料がかかるインターネット競売「ペニーオークション」を巡る詐欺事件で、京都府警が摘発したサイトは、自動的に入札を繰り返すプログラムなどを使い、商品を落札できない仕組みだった疑いがあることが府警への取材でわかった。
関係先の捜索では商品が見つからず、出品自体が虚偽だった可能性もある。グループはこうした手口で10年6月以降、月約400万円の利益を上げていたとみられる。
府警は7日、いずれも会社員の足立浩之(30)=大阪市浪速区▽秋山正雄(43)=同市中央区▽金山成貴(40)=兵庫県西宮市=の3容疑者を詐欺容疑で逮捕した。別の事件で起訴されたIT関連会社役員、鈴木隆介被告(30)=大阪市中央区=も同容疑で再逮捕したと発表した。府警は鈴木容疑者が主導したとみている。
サイトは「ワールドオークション」(現在は閉鎖)。逮捕容疑は今年6〜7月ごろ、兵庫県の30代女性2人から、入札のたびに必要な手数料計6000円をだましとった、としている。鈴木容疑者は否認し、他の3人は大筋で認めている。
府警によると、サイトでは、大型テレビ、パソコン、ゲーム機などを対象に「0円」から入札が始まり、1円ずつ金額が上がる。参加者は入札1回につき、75円で購入した仮想通貨1枚を支払い、制限時間内に他の入札がなければ落札できる。
しかし、自動的に入札を繰り返す「ボット」と呼ばれるプログラムや参加者を演じて入札させる「サクラ」を使って落札を妨害していた疑いがある。これまでに家電などの高額の商品を落札できた人はいなかったとみられる。
府警は鈴木容疑者をスマートフォンの電話帳データぬき取り事件で逮捕するなどし、内偵を進めていた。【堀智行、花澤茂人】
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■ことば
◇ペニーオークション
インターネット競売の運営側が出品した商品に、参加者が入札を1回するごとに数十円程度の手数料を支払う仕組み。ペニーは英語で「小銭」の意味。多くの場合、入札の開始価格は「0円」で、1円など少額の単位で入札金額が上昇していく。落札できなくても、手数料は返還されない。一部のサイトについては、国民生活センターなどに「サクラ」による落札妨害の疑惑など、消費者相談が寄せられている。