Hatena::ブログ(Diary)

ryoko174の混沌日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2013-02-14

「原発ほどコストの高い電力はない」説は本当か? Vol.2

原発ほどコストの高い電力はない説は本当か?」においてkoさんから貴重なご指摘を頂きましたので、ご紹介およびご回答をいたします。長文となりましたが、ご了承下さい。

◆koさんから頂いたコメント

とりあえず原発のコスト計算のみについて記述します。火力・自然エネルギーのコストについては今回は割愛します。


0. 大前提

私は今回の事故処理コストが20兆円では済まないと考えています。また、今回の事故は非常に幸運だった(1. 事故原発が東岸で西風卓越のため放出放射能の大半が太平洋へ流出、2. 定期点検工事が予定通りだったら4号機燃料プールは水の満たされた炉心ではなく空の炉心に隣接していた筈で早期に干上がって福島第一サイトへの接近困難、収束不能になっていた)ために次の事故被害想定としては今回の1桁以上上,、を想定すべきと考えています。

そもそも東海原発1号機(電気出力15万kW)を想定した1959年日本原子力産業会議報告書「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」で最大3.7兆円と算出されております。なお、1959年の名目GDPは13兆円です。電気出力15万kWは昨今の原発の1桁下で、同一サイト多数立地の現状では接近不能->連鎖的破壊を考慮すべきと考えます。当該報告のサマリーとしては http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/genpatu/gunshuku9905.html を挙げます。


1. 以上をおいておくとしても、計算された中のみに限定してもいくつか数字の誤りがあるようです。


1.A 「1年あたりの原発事故処理コスト=約5.7〜20兆円÷46」と除算に日本の原子力発電開始からの年数を使用されてますが、事故確率は稼働炉数比例と考えるべきで、事故までの経過炉年を基準に考えるべきです。福島第一事故まで1500炉年であり、この事故を少なめに「1事象」とカウントすると、事故時点で50炉が稼働していたことより、30年に一回事故が起きると考えられます。「3事象」とカウントすると10年に一回事故が起きる計算です。


1.B 「1年あたりの廃棄物処理コスト=約18.8兆円÷72年」と除算に72年という数字を使用されていますがこれはどこから採られたのでしょうか。リンク先で「試算は、再処理工場が二〇〇六年から四十年間運転することを前提に、その後に解体・処分に必要な七八年ごろまでの期間が対象。」とありますが、これは18.8兆円かけて *四十年間運転* というものです。運転期間を2078-2006で計算するのは単純に間違いです。


以上の点のみ考慮しても(今回の事故を「1事象」とカウントしたとして)最大1.3兆円/年かかることになります。更に燃料費を「日本のウラン輸入金額が45年間で約4.4兆円に過ぎない」として1000億円程度と見積もったのか 算入していないようですが、発電炉数が増えてきていたことを考えると2010年レベルの発電量を確保するには2000億円程度はかかると見るべきで、これは無視してはいけないレベルの金額と考えます。算入すると最大1.5兆円/年です。


2. 原発に電力を依存する前提で原発新設不要 というのは現在の日本の原発の炉齢が平均20年以上で設計耐用年数が30年程度ということを考えると不自然です。passerbyさんの指摘の通り新設コストも含めてkWh単価を算出されるべきかと考えます。その際には、原発新設費用が大幅に上昇しつつあることを考慮する必要があります。昔の古い安全基準の炉を新設するのが受け入れられるとは思えませんので。


1 で指摘した部分だけでも4倍の違いが2倍に縮まります。0を考慮しないでこれですので、「有意に低いコスト」というのは疑問である、と考えます。


◆ご回答

◆0. 大前提

福島原発事故に「不幸中の幸い」の側面があった点は私も同意します。ただ、事故被害額の試算においては50年代の試算ではなく、オリジナル記事の通り最新の東日本大震災の試算を用いさせて頂きたいです。


◆1.A 原発事故処理コスト

「1年あたりの原発事故処理コスト=約5.7〜20兆円÷46」と除算に日本の原子力発電開始からの年数を使用されてますが、事故確率は稼働炉数比例と考えるべきで、事故までの経過炉年を基準に考えるべきです。福島第一事故まで1500炉年であり、この事故を少なめに「1事象」とカウントすると、事故時点で50炉が稼働していたことより、30年に一回事故が起きると考えられます。「3事象」とカウントすると10年に一回事故が起きる計算です。

ご指摘頂いた試算の方がより正確と考えますので、下記の通り訂正させて下さい。


1年あたりの原発事故処理コスト

 =約5.7〜20兆円÷30年

 =約1900〜6700億円


◆1.B 廃棄物処理コスト

「1年あたりの廃棄物処理コスト=約18.8兆円÷72年」と除算に72年という数字を使用されていますがこれはどこから採られたのでしょうか。リンク先で「試算は、再処理工場が二〇〇六年から四十年間運転することを前提に、その後に解体・処分に必要な七八年ごろまでの期間が対象。」とありますが、これは18.8兆円かけて *四十年間運転* というものです。運転期間を2078-2006で計算するのは単純に間違いです。

72年というのは、「引用記事」に記載されている、再処理工場の「操業」に40年間、「廃止」に32年間に沿って合算したものです。

同記事に記載されている通り、バックエンド費用約18.8兆円の大半を占める11兆円は、再処理工場の「操業」および「廃止」に伴い発生するとのことなので、両期間を合算した72年を用いています。そのため当初の試算で問題ないのではないでしょうか。


1年あたりの廃棄物処理コスト

 =約18.8兆円÷72年

 =約2600億円


◆1.C 廃炉コスト

1年あたりの廃炉コスト

 =約2.8兆円÷20年

 =約1400億円


◆1.D ウラン購入コスト

更に燃料費を「日本のウラン輸入金額が45年間で約4.4兆円に過ぎない」として1000億円程度と見積もったのか 算入していないようですが、発電炉数が増えてきていたことを考えると2010年レベルの発電量を確保するには2000億円程度はかかると見るべきで、これは無視してはいけないレベルの金額と考えます。

了解しました。まずご指摘通りの2000億円を試算に反映させて下さい。


1年あたりのウラン購入コスト

 =約2000億円


◆2. 原発新設コスト

原発に電力を依存する前提で原発新設不要 というのは現在の日本の原発の炉齢が平均20年以上で設計耐用年数が30年程度ということを考えると不自然です。passerbyさんの指摘の通り新設コストも含めてkWh単価を算出されるべきかと考えます。その際には、原発新設費用が大幅に上昇しつつあることを考慮する必要があります。昔の古い安全基準の炉を新設するのが受け入れられるとは思えませんので。

主張内容は理解いたしますが、これは原発固有の問題ではなく、火力発電など他の発電手法でも同様の新設コストが発生するので、両者をコスト比較する必要があるのではないでしょうか?

しかしながら私は両者についてのコスト試算情報を持っていないため、今回は試算から割愛させて下さい。



以上から試算内容をアップデートすると、隠された原発コストは年間約7900〜1兆2700億円となりました。現状の原発停止の追加コストの半分弱程度ですが、燃料代の推移によってはその差はかなり縮まる可能性もありそうですね。ともあれ、貴重なご指摘を頂きましたことを感謝します。


1年あたりの隠された原発コスト

 =廃棄物処理コスト+廃棄物処理コスト+廃炉コスト+ウラン購入コスト

 =約1900〜6700億円+約2600億円+約1400億円+約2000億円

 =約7900〜1兆2700億円

koko 2013/02/15 01:55 意見反映頂きありがとうございます。
しかし、これまで議論にあがっていた範囲においてと、議論にあがっていなかった範囲で誤りと漏れがあるように見受けられます。

これまで議論に上がっていた範囲

0. 事故処理コストについての大前提 これは次の事故想定として福島第一事故規模のものしか想定しない(大幅に上回る可能性が存在するがそれを切り捨てる)、という前提を置いた計算であることが万人にわかるようにしておく前提で よい、 と考えます。なお、50年代の被害計算から現在のそれへ推算するのは0次近似としてはGDPでスケールするのが妥当と考えます。問題の試算では 立ち退き費用 等も仮定されていますのでそれらを現時点における妥当そうな値に置き直して計算することは可能ですがとりあえず今回はおいておきます。

1.A 原発処理コスト 上記を反映した上でならよい、と考えます。

1.B 廃棄物処理コスト 「再処理工場の「操業」に40年間、「廃止」に32年間に沿って合算したものです。」とありますが、廃止期間の32年間には燃料再処理は実施されない、ということを失念されているように見受けられます。72年で除算しようというのであれば、廃止期間において再処理を行える別の工場を新設する計算(別工場新設分を含んだ)が必要と思われます。別工場新設分を計上しないのであればここの除算はやはり 40年間 を使用するべきと考えます。

1.C 廃炉コスト 2.8兆円で50基廃炉できるか?という点で疑問があります。というのは、アメリカなどで完全に撤去した原発の事例(http://en.wikipedia.org/wiki/Nuclear_decommissioning でDemolishedになっている商用規模の炉が3つ(いずれもPWR)ありますが$600M-$800Mとなっています。BWRの方が汚染一次冷却水の循環範囲が格段に広い、ということを想定するとより多くの費用がかかると想定すべきです。700億円/基程度はかかると思われますつまりトータル3.5兆円です。

1.D ウラン購入コスト これは異議ありません。

2. 原発新設コスト 「原発固有の問題ではなく、火力発電など他の発電手法でも同様の新設コストが発生するので」「両者についてのコスト試算情報を持っていないため、今回は試算から割愛させて下さい。」とのことですが、原子力発電のコスト構造では新設コストが大きな部分を占めています。火力発電新設については "第5章 発電所の建設費(100 万 kW) - 東京都環境局" などのファイルによれば1300億円程度となっているところ、大間原発(138.3万kW、今回の事故の対策はおろか、中越沖地震以降出ている耐震強度不足等の手当てや、炉心溶融対策等ヨーロッパで建設中の原発で当然となっている機能を欠いた今後改めて新設できるか疑わしいもの)が4700億円です。このようなものを50基建設して40年使うとすると減価償却費は年間5000億円(火力なら2000億円)となり、無視出来ない違いになります。「割愛」なら割愛でもよいのですが、「新設コストを0として無視している」旨明記が必要かと考えます。

議論に上がっていなかった範囲

3. 原発運営維持コスト 完全に計上漏れしていました。推定が難しいのですが、2013.2.14朝日新聞朝刊「教えて!電気料金[1]」に興味深い数字が載っていたのでそれより概算してみました。朝日新聞経由でなく生データに当たるべきですがとりあえず今日のところは仮計算として朝日新聞のデータに基づいて計算します。

朝日新聞引用> 関電は昨年11月に値上げを政府に申請する際、電気料金を計算する「原価」に、日本原電の敦賀原発(福井県)と北陸電力の志賀原発(石川県)を維持・管理するために「基本料金」を含めた。合わせて年466億円にのぼる。
朝日新聞引用> なぜ、原発が止まっているのに支払い続けるのか。関電は「基本料金は発電所の運営・維持管理に必要な費用なので支払う」(広報室)と説明する。

各電力会社間の金のやりとり「止まった原発にこれだけ支払われている」という図(2011年度の実績をもとに作成)があり、この中で関西電力から日本原電及び北陸電力にそれぞれ340億と250億支払われていることになっています。合計の590億と上記の466億円とは合致しませんが何らかの誤差があって図の方の数字が過大表示である、とすると図の数字を466/590=0.8倍して考えるべき、となります。
図「止まった原発にこれだけ支払われている」で、日本原電は東北、東京、関西、北陸、中部電力から合計で1440億円受け取っており、0.8倍補正をかけると1100億円程度になります。言うまでもなく日本原電の発電装置全てを占める3原発は昨年11月時点で停止しており、関西電力広報部によればこの1100億円は3原発の停止状態における運営・維持管理に必要な金額と見做せます。3基の運営・維持管理に年間1100億円かかるなら50基では単純には1.8兆円かかる筈です。

無論、独立した原発専業の日本原電全体でかかる費用と、各電力会社の原発部門のみでかかる費用は同一ではないでしょうから年間1.8兆円というのは正確からは程遠い値でしょう。しかし、この余りにも大きな数字を無視するのは大変不適切と考えます。少なくとも注記程度はする必要がある、と考えます。

vacebavaceba 2013/02/17 22:33 原発のコストが高いかどうを比較するのは簡単で、原発のない沖縄電力と東京電力の電力料金を比較してみれば自明である。いまや東京電力のほうが圧倒的に高いのだから明らかに原発は高コストだ。なお、他の電力会社は事故を起こしてないからそこまでの値上げはしていないが、同じ基準で原発を動かしていたのだから事故を起こさなかったのは運がよかったからに過ぎない。しかも事故を起こさなかった原発も止まっている。事故損害を差し引いても経済的にメリットがあるからといって事故をおこすことを前提に原発を動かすことを社会が許容するかどうかは不安定である。政権がかわって稼働率が下がれば経済的メリットはとたんに減少する。太陽光や風力は不安定電源だが、原発も同様に政治的に非常に不安定な電源なのだ。

koko 2013/02/17 23:58 朝日新聞2013.2.15朝刊「教えて!電気料金[2]」に関西電力が日本原電と北陸電力に毎年支払っている原発「基本料金」の内訳が載っていました。
前回コメントにおける"466億円"の内訳は、 減価償却135億円/諸費(含定期検査・安全対策費用)97億円/修繕費82億円/人件費22億円/その他62億円/再処理関係費62億円/事業報酬47億円/核燃料費0億円/送電料金0億円/東京電力の原発事故賠償負担金29億円/企業努力による効率化-17億円 となっています。

減価償却についてはこれは新設コストを分割払いしてることに相当しますから、前回コメント2で記述した分と重複、再処理関係費は同1.Bで記述した分と重複、事業報酬を発電コストに含めるのは不適切、東京電力の原発事故賠償負担金は1.Aで記述した分と重複、と考えます。
以上を除外すると、97+82+22+62=263億円 となります。前回コメントの466億円というのは重複計上他があって過大だった、ということになります。これから日本原電の原発運営維持コスト(0-2で議論していた範囲を除く)を推計すると(263/590)*1440=642億円、単純に50基分を推計すると年間1.07兆円になります。

前回の原発運営維持コストについて新しい情報に基づき以上のように変更致します。かなり減りましたが、それでもこれを無視するのは妥当ではない、と考えます。

redred 2013/02/18 18:05 始めて投稿します。いつも鋭いご意見拝読させて頂いております。さて、今回テーマとされている原発の「真のコスト」は非常に難しい問題だと感じています。
koさんの指摘で少々違和感があったのは停止中原発の維持コストについて。これは「止まっているからかかるコスト」ではなく、「止まっていても止まっていなくてもかかるコスト」と理解していますので、原発停止によって発生した追加費用との比較に用いるのは不適切ではないかと感じました。そう考えていくと、そもそも、即時全基廃炉を決断(あるいは長期稼働停止)して年間3兆円の国富が流出していくとして、一方で核燃料の最終処分が全て完了するまで各原発内で使用済燃料の保持が必要であるとすると、事故リスクは全基廃炉まで継続する。もちろん、廃炉コストも全ての発電所で必要となる。再処理については、再処理を止めればコストはかからなくなるものの、最終処分場のスペースが大きくなりそれはそれでコストがかかる、などと言われています(定量データが手元になく、定性的な話ばかりですみません)。結局のところ、原発停止によってこれらの支出が免れ得ない限り、経済全体としてはざっくりプラス年間3兆円の国富流出にしかならないのでは。

なお、純粋にkWhあたりの発電コストを論じようとした場合、このテーマは、試算をする主体がどのような思想を持っているかによって試算結果が全く異なってしまう、という難しい問題を抱えています(つまり、原発を止めたい方であれば、コストを多めに見積もらせたいがために、何とか説明のつく範囲でコストを乗せに行く傾向がある)。国でも震災後、確か菅内閣の時に原発のコストを試算していますが(「コスト等検証委員会」)、これはこれで試算結果の「中立性」をアピールするために反対運動に熱心な有識者を委員に含めた結果、かつての政府の試算や国際機関の試算結果とは趣が異なっています(だからこの試算が悪い!、とか、ウソだ!、とかは思わない)。個人的にはなぜフランスや韓国の電気代が安いのか(韓国は電気代に公費補助が入っていますが)を見れば、結果は明らかな気がしていますが、結局、一部メディアにとって不都合と思われるこうした事実はあまり報道されず「原発は他の発電に比べて明らかに高い」というステレオタイプのみが広まっているように思えます。

ryoko174ryoko174 2013/02/18 19:52 >koさん
原発コストについてのみスコープを広げられようとされているように聞こえます。


原発新設コストを入れるのであれば、「火力発電新設コスト」も必要ですし、原発を代替するための「代替電源の新設コスト」も必要です。後者は10兆を超えるとの試算もあります。

メンテコストについても同様で、原発メンテコストを入れるのであれば、既存電源のメンテコストも入れる必要があります。


原発継続シナリオと、脱原発シナリオの双方において、フェアな形で比較しつつスコープを広げることに異存はありません。

しかし後者は燃料費の増減のみをスコープ限定しつつ、前者のスコープをひたすら広げていくことは誤解を招くだけだと思います。


両者をフェアに比較したデータであれば、追記をしていくことにはやぶさかではありません。

koko 2013/02/19 01:38 「原発コストについてのみスコープを広げられようとされているように聞こえます。原発新設コストを入れるのであれば、「火力発電新設コスト」も必要ですし、原発を代替するための「代替電源の新設コスト」も必要です。後者は10兆を超えるとの試算もあります。」とのことですが、

最新のコンバインドサイクル火力発電新設コスト については、2/15のコメント中にて、「火力発電新設については "第5章 発電所の建設費(100 万 kW) - 東京都環境局" などのファイルによれば1300億円程度となっているところ、」と記述しています。

これは東京都による試算(http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/energy/tochi_energy_suishin/index.html)よりの引用です。なお、今しがたもう一度斜め読みしたところ、耐用年数15-20年という記述がありました。先のコメントにて暗黙のうちに40年の耐用年数を仮定して計算していましたので計算し直すと、5000万kW代替には新設コストは年間0.4兆円になります。つまり新設原発が大間原発と同じものでいい(という私の見るところでは非現実的な仮定を置く)なら、最新コンバインドサイクル火力発電と原発の新設コストはそう変わるものではない、ということになるようです。

運営費(含燃料費)も上掲の東京都試算に載っています(第6章発電所の維持管理費(100 万kW)が、100万kW発電所想定で350億円/年とされています。原発50基代替でしたら5000万kWも代替すればよいので簡単には50倍すればよい、と考えます。現行の3兆円との違いについては精査していませんので憶測ですがほぼ確実にあるであろう理由は現在稼働率の高くなっている旧式火力(4x10^1年程度昔に建設されたもの)と最新型コンバインドサイクルとの熱効率の違い(少なくとも1.5倍は違っていたと記憶しています)でしょう。

代替電源の新設コストが10兆を超える というのは、どのような(稼働率どれだけで維持費いくらで何年もつ)電源をどれだけ新設するのに必要な数字かを具体的に示した上でないと意味の無い数字と考えます。極端な例として(そんなことはありえないと前置きした上で)、たとえ原発50基の代替に400兆円かかったとしても稼働率100%かつ維持費0かつ燃料費0かつ1000年持つ電源の新設コストなら利用一年当たりのコストはたったの0.4兆円でしかない計算です。

具体的に示すためには、引用元を明示(あるいはgoogle検索等で容易に発見可能な形に)するのが最も容易な手段です。私の挙げた数字は私の引用したものをそのままgoogle検索すればtopに出てくるファイル中にあるものです。朝日新聞からの引用については、まぁ、図書館辺りに入っているのを参照して頂ければ、と思います。
事実に基づいた議論を希望されるならば、数字の出典は追跡可能な形で提示されるべきかと愚考いたします(ほとんど自明に数字が出てくるものを除いて)。

悪戯っ子悪戯っ子 2013/02/19 04:28 > ryoko174

>> 原発コストについてのみスコープを広げられようとされているように聞こえます。

そもそもあなたが原発コストについてのみしか試算せず、しかもそれが大雑把だったから、先ずはテーマを絞って指摘されただけの話でしょう。

個人的には、国内における使用済燃料棒再処理の安定的実用化が、いつになったら可能になるのか不明だし、再処理に際しては原子力発電所に比べ、はるかに多い量の放射性物質を放出するのも懸念材料。

つまり核廃棄物の最終処分の技術が確立されおらず、引き受ける場所も、オンカロ以外に無いから、必然的に当初の試算よりもコストが上昇するのは不可避のような気がしてしまう。

いずれにしても、各発電方式のあらゆるコストを想定し、発電端熱効率や需要端熱効率、総括原価方式の問題点についても、中立、フェアに検証しながら、「低コストで安全な発電方式。」をご教示ください。有能なryoko174。

反・脱原発派、原発推進派、双方にとって公明正大な検証に基づく対案作りは、日本の将来にとって有益でしょう。よろしくお願いします。

ryoko174ryoko174 2013/02/19 13:18 >koさん
なるほど、ではまず新設および代替電源新設のコストについて下記のようにざっくり試算してみましたが、認識が合っているか確認させて下さい。


◆代替電源の新設コスト
2009年の原発の最大出力は4623万kwなので(根拠は下記URL参照)、それを1基1300億のコンバインドサイクル火発(100万kw)で代替すると仮定してみます。耐用年数は全てのケースで40年と暫定値を設定してます。
http://www.fepc.or.jp/library/data/tokei/index.html


代替電源の新設コスト=4623÷100×1300億=約6兆円
一年当たりの代替電源の新設コスト=約6兆円÷40年=約1500億円



◆火力発電の新設コスト
火発数は下記URLから181とみなしました。
http://www.stat.go.jp/data/nihon/zuhyou/n1000300.xls


火力発電の新設コスト=181×1300億=23兆5300億円
一年当たりの火力発電の新設コスト=23兆5300億円÷40=5883億円



◆原発の新設コスト
大間原発の建設コスト4700億を使用。


原発の新設コスト=52×4700億円=24兆4400億円
一年あたりの原発の新設コスト=24兆4400億円÷40=6110億円

koko 2013/02/20 00:13 もうしわけありません。東京都のコンバインドサイクル火力発電(100万kW)の資料を見直してみたところ、重大な読み落としがありました。

年間稼働時間を4000時間として計算しています。維持運営費(含燃料費)350億円では過少です。
とりあえず稼働率90%程度として2倍、700億円/年とすべきです。
他にも読み落としがあるか不安ですが、本件に割ける時間が無いため熟読には少なくとも1週間程度かかるかと思います。

上記の700億円/年を原発全代替にスケールする際は、(4623万kW(全原発容量)*72%(過去の原発稼働率実績)) / (100万kW(想定発電所容量) * 90%(想定稼働率)) = 37 倍すべき、と考えます。2.6兆円/年 になります。
稼働率実績は 原発 稼働率 推移 でぐぐったトップ、"日本の原子力発電所の設備利用率の推移(2010年度まで) (02-05-02-04) - ATOMICA -" http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=02-05-02-04 中の "表1 日本の原子力発電所の設備利用率の推移" より 累計 総合平均より採りました。

上記見落としは、ざっくりガス価格と想定熱効率からコスト計算したものとかけ離れていたために気付き、荒く読み直した結果判明したものです。
一般的に電力コスト計算で使われる 円/kWh 表示していれば早期に気付いたものと考えます。このようなことがありましたので、「日本全体における年間コスト」などという比較困難な値ではなく、「円/kWh」で計算し直すことを提案します。

上記の通り1週間程度は応答できないかと思われますが、火力発電の新設コスト については 現行火力で原発の代替を含めて賄えているためまるまる全て新設するのは全原発代替分との重複計上になる と考えます。
このような誤りを排除するためにも、それぞれの電源毎に 減価償却・維持管理・燃料費(含再処理費) と積み上げて 想定発電量で除して「円/kWh」を算出するのが妥当、と考えます。揚水発電の扱いが微妙ですが、原発の費用計算のところに「出力調整不能電源」と注記してとりあえず脇にのけておくことを提案します。

redred 2013/02/20 16:56 一つ原子力に対して否定的な識者も含めた議論の結果として、以下の報告書が出ておりますのでご参考になさっては如何でしょうか(ご存じかもわかりませんが・・・)。

■国家戦略室 コスト等検証委員会報告書(2012.11)
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive02_hokoku.html
報告書本体の62ページ以降がkWhあたりの単価比較になります。

また、原子力を止め、他の電源にシフトした際の「電気料金への影響」としては以下の様な試算が示されています。

■資源エネルギー庁 第23回基本問題委員会資料
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonmondai/23th/23-2-1.pdf
12ページをご覧ください。かつて議論になった原発0%、15%、25%・・云々の料金影響が掲載されています。上記の「コスト等専門委員会」と同様、原子力に対して否定的な識者も含めてかなり活発な議論の結果出されている一つの見識ですので、様々な立場の専門家の英知を結集しても、原子力を減らしていくというのは追加的にそれなりにコストがかかる、という事は一定のコンセンサスは得られていることかと思います。

この二つの審議会でコスト周りの議論がなされていますので、バックナンバーを見ていけば信用度の高い(とはいっても、国のデータはデタラメだ!と信じる方にとっては、どこまで行っても信用度は低いのですが・・)データが手に入ろうかと思います。ご参考まで。

なお、余談ですが、火力の稼働率はコンバインドでもそうでなくとも変わらないので(熱効率が上昇するので出力に影響するはず・・)、このコンバインド機をベース電源として活用したとして、メンテナンス期間等も含めた年間の稼働率は多く見積もっても80%位かと思います。

ななしななし 2013/02/20 17:29 とても興味深い試算ですね。ありがとうございます。新しい安全基準に対応するための追加対策費はどれくらいかわかりますか? また原発新設コストも上がるのではないでしょうか。

投稿したコメントは管理者が承認するまで公開されません。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/ryoko174/20130214/1360841670