死刑:3人に執行…奈良女児殺害、土浦連続殺傷の死刑囚ら
毎日新聞 2013年02月21日 11時52分(最終更新 02月21日 13時20分)
谷垣禎一法相は21日午前、3人の死刑を執行したと発表した。執行されたのは、小林薫(44)=大阪拘置所▽加納(旧姓武藤)恵喜(けいき)(62)=名古屋拘置所▽金川真大(まさひろ)(29)=東京拘置所=の各死刑囚。昨年12月末の政権交代後で初の執行。谷垣法相は就任から2カ月弱で執行命令を出した。
◇現政権で初
法務省刑事局によると、20日時点で未執行の死刑確定者は戦後最多の137人。今回の執行で134人となった。死刑の確定から執行までの期間は、小林死刑囚が約6年4カ月、加納死刑囚が約5年10カ月、金川死刑囚が約3年1カ月だった。
谷垣法相は午前11時から法務省内で記者会見。3人の起こした事件の概要を説明し「いずれも身勝手な理由から命を奪った極めて残忍で、被害者・遺族の無念この上ない事件。慎重に検討を加えた上で死刑執行を命令した」と述べた。
3人をこの時期に対象とした理由は「差し控える」としたが「死刑という極めて重大な刑の執行なので、十分資料を精査し、法相として諸般の事情を勘案して決めた。改めてその重みを感じた」と説明した。制度について「見直す必要は現時点ではないと思う。法は死刑確定から6カ月以内に執行すべきだと定めており、その精神も無視するわけにはいかない」と述べた。
昨年12月までの民主党政権は3年余りで計4回、9人を執行したが、11年は1年を通じて執行がないなど執行のペースが落ちた時期もあった。民主党に政権交代する前の自民党政権は2カ月に1回の執行ペースを維持していたため、今後、復権した自民党政権下で以前と同様のペースに回帰するかも注目される。
日本弁護士連合会の山岸憲司会長は「谷垣法相は死刑制度の運用に当たって『十分慎重に考える』と表明してきたが、就任からわずか2カ月足らずで、真に慎重な検討がなされたかどうか大いに疑問。今回の執行に強く抗議する。死刑に関する情報を広く国民に公開し、法務省に有識者会議を設置するなどの方策をとることで、制度廃止について全社会的議論を直ちに開始することを求める」などとする声明を出した。【伊藤一郎、石川淳一】