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鳩山由紀夫元首相は20日、宜野湾市内で講演し、米軍普天間飛行場の県外・国外移設を模索した経緯を説明した。本土に代替施設を受け入れる都道府県がないことを念頭に「普天間移設は日米の外交上の問題というより、日本国内の差別問題だ」と指摘した。
鳩山氏は首相在任中から訴えていた「東アジア共同体構想」を実現するための研究所を立ち上げる予定。「アジア諸国との外交にこそ、友愛と共同体構想が必用。東アジアの中心である沖縄にも拠点の一つを置きたい」と述べ、県内にも設置する意向を示した。
日本政府の対米依存体質を指摘し「在日米軍基地の見直し、中国との関係改善の二つは、日本が踏んではならない米国の虎の尾だ。その両方を私は踏んでしまった」と振り返った。
講演後の記者会見では、首相時代に県外の移設先40カ所を探したとされる内実を「平野博文官房長官の段階でどんどん落とされ(移設先との)交渉までいっていないのがほとんどだ」と話した。
海兵隊ヘリを登載する高速輸送船を複数購入し、米海兵隊が各国にローテーション展開することで、実質的な県外移設を実現する案を検討していたことも明かした。2009年に日米防衛首脳会談に臨む北沢俊美防衛相に託したが、ゲーツ米国防長官には「伝達すらされなかった」という。
「オバマ氏と一対一なら…」
鳩山由紀夫元首相は講演後、インサイダー編集長の高野孟氏、元沖縄タイムス論説委員の屋良朝博氏と3人で意見を交わした。
屋良氏は「鳩山政権で県外移設が失敗した時、沖縄では実現しなかった憤りがあったが、本土では『県外』と言ったことへの憤りだった」と落差を指摘。
鳩山氏は「本土には、日本が平和にきたのは米国のおかげで、まず日米安保が大事だという発想がある。だが、基地負担を引き受けるのは嫌で、沖縄は戦略的に重要だという思い込みがある」と述べた。
高野氏は、福島第1原発事故と同じ構図だとし「マスコミがより悪くしている。既得権益を守る官僚の壁を批判しないといけないが、全く逆だ」と強調。
県外移設の試みについて「明治以来の革命だったが、官僚側に切り込んでいくという民主党の覚悟と警戒心が甘かった」と述べ、鳩山氏も同調した。
屋良氏は、辺野古に回帰して退陣した判断に「移設先を辺野古と決めずに辞める選択肢はなかったのか」と質問。鳩山氏は「周囲からもそう言われる」と述べ、後悔の念を浮かべた。
鳩山氏は「オバマ大統領と一対一で会っていれば展開が変わったかもしれない」と振り返り、「2009年11月の東京での首脳会談以来、会談できなかった。今思えば(官僚側が)機会をつくらさなかったかもしれない」と指摘した。