NHKの台湾偏向番組への抗議について私が雑誌『正論』8月号に書いた論文「私が抗議デモに共感した理由」の紹介を続けます。
今回が最終部分、これで完結です。
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NHKはその一方、自らの帰属する国である日本に対しては逆に冷たく厳しいという倒錯した側面を有していた。
この傾向は戦後の日本の左翼全体のそれと似ている。
日本という国家の枠組みや、日本人という民族のアイデンティティーの否定や忌避である。
日本の公共放送であるNHKが日本という国の利害を守ろうとはしないという奇妙な体質は二〇〇八年三月、当時のNHK経営委員長の古森重隆氏(富士フィルムホールディングス社長)によって指摘され、批判された。
NHKの海外向け国際放送では番組作成基準は国連憲章だとされ、日本と外国が利害を対立させる案件についてもとくに日本の立場に重点をおくことはない、というのだった。
だから竹島や尖閣諸島のような領土紛争のケースでもNHKは日本側にはとくにつかない。
日本と韓国、あるいは日本と中国の主張を平等に紹介するだけだというのだ。
なおこの古森氏は私と同じ姓だが、親戚のつながりなど特別な関係はなにもない。
つまりはNHKは外国向けの放送では日本の国益を一切、主張しないというのだった。
これに対し古森委員長は「日本の公共放送が諸外国と利害の対立する問題について日本の国益を主張することは当然だ」と強調し、国際放送番組基準では少なくとも日本国憲法を指針とすべきだと提案した。
私はNHKの「日本否定傾向」がそこまでだとは知らず、びっくりした。
私も自分の記事などで、国民に受信料支払いを強制する准国営の公共放送が対外的には国益を意識し、擁護するのは当然の責務だと主張した。
このような日本という国家の概念の忌避と中国当局の意向への密着というNHKの体質の二つの特徴を重ね合わせると、即座に今回のような反日台友好番組ができあがってしまうのだろう。NHKの偏向の根は深い。
(終わり)
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by syoon
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