班目 「例外的に歩いたのはその1回くらいであとは全部車です。家内に送ってもらったこともあるし、まあいろいろなケースがありますけどね」
──ご著書に生々しい記述があります。地震が起きた14時46分に「隣の庁舎の建物が揺れているのか見た」と書いておられますね。
班目 「見れるかなと思ったのですが分からなかったですね。もう少し長く見ていればよかったんですよね、きっと」
──そのあと原災法(原子力災害対策特別措置法)の第10条通報(11日15時42分)が福島第一原発から来た(注:第10条は原子力防災管理者の通報義務を定めている)。そのあとで15条通報が来る(16時45分=全電源を喪失した、冷却不能になったことを知らせる緊急事態の通報。ここが住民避難の開始になるはずだった)。これで大体地震発生から2時間が経過しています。ご著書に「原発の専門家20人にメールを送った」とありますね。
班目 「それは10条通報の直後ですね」
──例えば他にはどんなことをしていらしたのですか?
班目 「まず、真っ先にテレビをつけて、震源地や津波のことを知るということですね。そのうち一番厳しいのは福島第一だということが分かってくるわけですね。10条通報も15条通報も福島第一から来る」
──同じ津波被災地域でも、宮城県の女川原発とかではなく福島第一原発が厳しい状況にある、ということですね。
班目 「まあ、女川が、福島第二が、東海第二がどうのこうのというのが入ってきはしますけれども」
──まず津波被災地域の原発が気になったということですね。
班目 「はいそうです。とにかく福島第一が一番凄いことになるのは確実だった。安全委員会の中に福島第一に関する資料がどれだけあるか探させた。私自身も、持ってきてくれた設置許可申請書を見て、何が分かるか一所懸命調べていましたね」
──ご著書に「福島第一原発の図面が安全委員会になかった」と書いておられます。その時からもうないことに気づかれていたんですか?
班目 「ないんです、最初から。設置許可申請書は初めて見るわけではなくて、まあ見るまでもなかったくらいでしたが、何か手がかりがあるんじゃないかと、一所懸命探してましたね」
──簡単な概略図はあっても、構造を示すような設計図がないと書かれています。
班目 「本当に概略図しかないのです。一応、熱交換機とポンプとが線でつながっているような感じのものはあったが、知りたかったのは、例えば非常用ディーゼルがどこにあるかとか、そういうことなのです。記憶ではタービン建屋の地下だとは知っていましたが、増設したものがどこにあるのかとか、そういうことが分からない。津波でやられてますから、どの程度やられているのかという話と、どういう所に何があるかということを、しっかり押さえたかったんですよ」
15条通報は「念のため」出されたものと受け止めた
──ご著書の中に「専門家にメールを送った」ということが書いてあったので、そこまで委員長がしなければならないのかと意外に思いました。
班目 「私が送ったのではないです。それはもちろん事務局に送ってもらいました。『一斉招集をかける必要がありますね』『じゃあやってください』という感じで」
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