- [PR]
国際
【上海摩天楼】悲願のカナダ石油大手買収劇 中国「海洋強国」へ号砲 南シナ海で権益独り占め
中国共産党は昨年11月の党大会で「海洋強国の建設」を目標に掲げ、習近平総書記が率いる新指導部は12月の中央政治局会議や1月10日の全国海洋工作会議で「海洋経済の発展」を訴えた。
欧州向けなど輸出鈍化で成長スピードに陰りが出始めた国内総生産(GDP)を、海洋の資源開発などで補うとともに、領有権の主張や海域の実効支配、さらにエネルギーや漁業など海洋権益を独り占めする狙いが見え隠れする。中国のGDPはエネルギー、造船など海洋関連の経済活動の寄与度が、00年の約3%から11年は10%近くに拡大した。都市開発やインフラ建設が頭打ちになるころには、海洋経済が「次なる成長牽引(けんいん)役」になりそうだ。
中国政府は今年、南シナ海で実効支配する島の資源の一斉調査に着手する計画だ。7千メートル級の潜水に成功した有人潜水調査船「蛟竜号」も調査活動を始める。CNOOCは香港沖で運用している3千メートルまで掘削可能な大型石油掘削装置「海洋石油981」で遠洋の深い油田にまで触手を伸ばす。
ベトナムなど領有権を争う国の反発や、日米豪の強い懸念をよそに、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)など3諸島を管轄すると称する「海南省三沙市」のインフラ整備に中国は100億元(約1450億円)を投入する。中国国家海洋局の劉賜貴局長は「海洋経済は海洋強国建設のエンジン」と強調している。南シナ海や尖閣諸島周辺を含む東シナ海で、船舶や航空機による権益保護の姿勢を一段と強めるだろう。
中国は15年までの「第12次5カ年計画」で「海洋での突発事件への対応能力を増強する」と明示し、さらに海底油田も15年までに新たに10億~12億トンの埋蔵量を確認する目標もある。ネクセン買収が成功すれば、習新指導部が照準を合わせた「海洋強国」への号砲ともなる。(上海 河崎真澄)
関連ニュース
- [PR]
- [PR]