電子部品 Top >素材/電子材料Topics目次> 第19回
いわゆるデジタル家電の世代になり、高容量の信号を高速伝送することが伝送路に求められてきている。
本稿では、デジタル伝送に求められる電子部品のひとつである電線についてその用途、特長を説明したい。
市場 | 製品 | ケーブル名 |
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1.パソコン | ノートPC | LCDケーブル |
デスクトップPC | DVIケーブル | |
2.情報機器 | サーバ | インフィニバンドケーブル |
ストレージ | ファイバーチャネルケーブル | |
3.リテイル機器 | ATM/POS/券売機 | LVDSケーブル/ハーネス/ ケーブルASSY |
4.カメラ | CCDカメラ | カメラリンク |
5.計測器 | 測定機器 | LVDSケーブル |
6.デジタル家電 | DVD/STB | HDMIケーブル |
伝送方式でベーシックとなっているのは、LVDS方式である。これは、低電圧の差動方式で伝送することで、
信号対線間の干渉が少なく、ノイズ対策にも有効な伝送方式である。
信号線の対内及び対間の信号速度の差を最小限にすることが仕様のポイントである。
多量のデータを短い時間で伝送するには、伝送速度を上げることが必要になる。
伝送速度を上げるには、絶縁体を限りなく(真空)空気に近づけることが必要となり、空気の誘電率を1とした時の比誘電率を下げることが技術課題となる。
信号用電線で汎用的に採用されている絶縁体はポリエチレンであり、比誘電率はおよそ2.3であるが、このポリエチレンを発泡させてスポンジ状にすることで、その比誘電率を小さくすることが出来る。
高発泡成形技術により絶縁体の比誘電率を小さくすることと同時に柔らかくなったスポンジ状の絶縁体は外力により、変形を受けやすくなるデメリットも大きくなる。
柔らかなスポンジ状の絶縁体を外圧に耐える構造で保護しながらケーブル化にする点は電線メーカー各社のノウハウにより製品化となっている。
均質な低い比誘電率の柔らかな材料を、均一な構造を保ってケーブル化する際に、物理長を均質にすることで、均質な電気長が得られることになる。
製品仕様においては、電気長管理が必要なことがあり、ケーブルは物理長管理ではなく、電気長管理が求められる局面も増えてきている。
デジタル家電の今後のさらなる展開、伸長により、特に家庭内の映像・音声機器の接続方式が大きく変わることが予想される。JEITA機関紙でも記事になったHDMIなどデジタルインタフェイスケーブルの標準化も進行しており、市場の展開を待つ状況にある。
【構造の特長】 高発泡絶縁体を2本(ドレインを沿え)均等に撚り合わせテープを巻いた、1対2軸の信号線。 低電圧信号を+Data/−Dataの差動伝送をする。 |
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【関連用語/キーワード】 LVDS/TMDS/DVI HDMI/HDCP 差動伝送/ディファレンシャル スキュー(Skew)/遅延時間 |
■用途
ノートPC用の内部配線用ケーブルで、LCD(液晶ディスプレイ)とマザーボード間の接続用に使われます。
■特徴
UL10064 32AWG〜36AWGツイストペアケーブル、または40AWG極細線同軸を使用し、LVDS画像信号を転送。ケーブルASSY完成品として、特性インピーダンス、遅延時間、SKEW、アイパターンの特性を保証しています。
■用途
デジタル液晶ディスプレイ、PDP(プラズマディスプレイ)、プロジェクタ等
■特徴
当社DVIケーブルは、VESA規格協会のDDWG発行のDVI規格に準拠した製品です。
・電気的特性(当社規定)
特性インピーダンス:100±10Ω
伝搬遅延時間:9.02ns以下(ASSY品 L=2M)*CABLE単品4.2ns±0.2ns
対内Skew:32ps以下(ASSY品 L=2M)
対間Skew:429ps以下(ASSY品 L=2M)
耐電圧:300V/0.5S(遮断電流10mA)
絶縁抵抗:100MΩ以上/試験電圧DC250V
静電容量:83.9pF以上(ASSY品 L=2M)
■ケーブル断面
■用途
一体型PC用内部LVDSハーネス。LCDモニタ⇔マザーボード間の伝送に使用する。
■特徴
ケーブルは、2芯シールド線(ツインナックス)を5本使用しディファレンシャル伝送をする。
LVDSの主な特徴は、(1)高速化が可能、(2)スイッチングノイズが少ない、(3)ノイズ特性が向上、(4)消費電力を削減、(5)長距離配線が可能であり、PC内部ハーネスのほかに、液晶TV等デジタルディスプレイに幅広く使用されている。
■ケーブル断面