無用な被ばくを避ける為に手洗い、うがい、砂などを家の中に持ち込まないとありますが、我が家には90歳過ぎの痴呆気味の祖母がいます。
自宅は農家で祖母は畑仕事が生きがいです。
その為、毎日早朝から夜遅くまで畑にいますが(主に草むしりです)、気付いたら家に中にいたりベッドにいたりします。
手も洗っていませんし、地べたにそのまま座っているので洋服も土だらけです。
なので、いつも家の中に土がある状態です。
ずっと見張ってるわけにもいかず、痴呆の為手洗い、着替えを言っても分かってもらえません。
家の中を掃除すると言っても家が広いし、親も高齢でほとんど出来ません。
わたし自信「強迫性障害」で重度の不潔恐怖があり、掃除が出来ません。
この様な生活をおくっていますが、被ばくが心配です。
この様な生活はどのくらい危険でしょうか?
[追記]
すみません。
少し言葉が足りなかった様な気がするので・・・。
祖母の行動で、祖母本人を含め同居している家族の被ばく、健康の危険性が心配でなりません。
ちなみにお風呂も1ヶ月に数回です。
祖母の話しとはべつになりますが。
外出後は「必ず」うがい、手洗い、着替えが必要なのでしょうか?
その場合は何時すればいいのでしょうか。(帰宅後、何処にも触らずに手を洗うべきか、何処にも座る前に着替えるべきか、何処にも触れずにお風呂に直行すべきなのか)
「強迫性障害」克服のためにも過剰な思い込みを改めたいです。
よろしくお願い致します。
様々な理由により御苦労されていること、お察しいたします。回答者は、質問者様の送られている生活の範囲内において、今般の事故により放出された放射性物質による被ばくを深く御心配なさる必要はないと考えます。
水戸市役所では、「個人宅や事業所の空間放射線量の訪問測定調査」というサービスを平成23年12月以降開始しているようですので、一度、空間線量率の測定を頼んでいることも一考です。御自宅内と屋外(お庭等)での空間線量率を対比してもらうことで、お婆様の家に持ち込んでいる畑の土の影響の程度を知りえることができると考えられます。
回答者は以下のように考えます。
事故以前の空間線量率のレベルは概ね0.1μSv/h弱であり、元々0(ゼロ)ではありません。この空間線量率は、主に宇宙線、大地からの自然放射線によるものです。空間線量率がゼロではないにもかかわらず、大地の上で放射線を浴びながら暮らしている我々は、そのような放射線からの健康影響を気にしていません。仮に、事故後において、空間線量率が多少上昇していたとして、水戸市では気にしない程度の数値が多少上昇しただけですので、やはり健康影響を気にする程度には至らないと考えます。
次に、土壌中に含まれる放射性セシウムの濃度の程度から空間線量率を計算してみたいと思います。平成23年8月に公表された文部科学省と茨城県が実施した茨城県内の航空機モニタリングの測定結果(参考1)を確認したところ、水戸市の地表面への放射性セシウムの沈着量は30 kBq/m2以下という低い数値が示されています。仮に、この量と同じだけの土が家庭内に積もったとしますと、家庭内の空間線量率は、5.6×10-6 (mSv/h)/(kBq/m2)の換算係数を用いると、
30 kBq/m2×5.6×10-6 (mSv/h)/(kBq/m2) = 1.7×10-4 mSv/h = 0.17 μSv/h
となります。(ただし、ここで、換算係数は、Cs-134とCs-137の換算係数の数値の大きいCs-134の係数を用いています。(参考2))ここで得られた数値は、土壌と同程度の放射性セシウムで家の中に沈着するという大げさな仮定をしたとしても、家の中の空間線量率の上昇の程度は、上述した事故以前の空間線量率のレベルと比べて僅かなものと言えます。
うがい、手洗い、着替えは外出後に「必ず」する必要はございません。これまで、一般生活で行っていた程度で良いと考えます。無用な被ばくをしたくないという観点では、うがい、手洗い、着替えの励行が必要かと思われますが、上述のとおり、人の放射線による健康影響の危険性を考えた場合、これまでの生活を変えなくても、健康への影響は気にする程度には至っておりません。放射線による被ばくの影響だけを考慮するのならば、上述の計算の通り空間線量率の上昇はわずかなものですので、掃除をできなかったとしても特段の問題はないと考えます。
質問者様の質問の着眼点も「無用な被ばく」というよりは、「健康影響への危険性」であると、回答者は感じております。そのような、何も知らないけれども触れないというのではなく、そのレベルの物に触れたら健康影響はどうなるのかという質問者様の着眼点はとても大事であると認識しています。「無用な被ばくを避ける」ことについて、今般の事故によって新たに追加された放射線源からの放射線による被ばくを、日常の生活の範囲内で実施可能なことを行うことによって、低減することです。日々の生活の中で簡単にできることで、被ばく量を大きく低減することができ、更には気持ちも落ち着くのであれば、それを実施することにも意義があります。そのような意味でも、事故により追加された被ばく量の高くない質問者様のお住まいの場所においては、うがい、手洗い、着替えを外出後に「必ず」する必要はないと回答させていただいています。
(参考1)文部科学省及び茨城県による航空機モニタリングの測定結果
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/contents/5000/4932/24/1940_0830_2.pdf
(参考2)IAEA-TECDOC-1162