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経済
【主張】春闘と賃上げ 経営者の「覚悟」が必要だ
春闘本番だが、経営側が賃上げに対して慎重なのが気がかりだ。安倍晋三首相が経済団体トップと会い賃上げを要請したものの、経済界は「最終的には個々の企業判断」として前向きな回答を示さなかった。
従業員の賃金が増えない限り、個人消費の回復にはつながらない。業績が改善している企業の経営者は、積極的にボーナスを含めた賃上げに応じる姿勢を見せてほしい。それが、デフレ脱却の一歩にもつながるはずだ。
今春闘に臨む経団連の基本方針は「ベースアップ(ベア)を実施する余地はなく、定期昇給の実施が主要な論点になる」と定昇の凍結などもあり得るとする厳しい立場だ。円高修正で業績が改善している企業でも、ボーナスの積み増し交渉にとどまっている。
輸出企業の経営者からみれば、円安になっても海外需要が不透明な中で、どこまで自社の業績が回復するか確信が持てないのだろう。まして日本国内を中心とするサービス業などは、人件費の増加につながる賃上げには踏み切りたくないのが本音だ。
しかし、名目賃金は平成9年以来、下落傾向が続いている。世界景気の回復と円安によって企業業績が回復した16~19年当時も、賃金はほとんど上がらなかった。雇用確保を優先し、賃上げに労使とも消極的だったためだ。消費者が景気回復を実感できなかったのは当然である。
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