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経済
「円滑化法」来月末期限切れ 中小の資金難再燃も 官民の対策相次ぐ
金融機関に中小企業への貸し付け条件の緩和努力を求める中小企業金融円滑化法が、3月末に期限切れを迎える。貸し付け条件の緩和を後押しする法律がなくなれば、金融機関の融資姿勢が厳しくなる恐れもある。政府や民間は「期限切れ後」をにらんだ対策を急ぐが、効果的な対策を取らなければ中小企業の倒産の連鎖を招き、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が目指す景気回復も腰折れしかねない。
「法律が失効すれば、銀行の貸し付け条件はますます厳しくなる。うちはまだ続けられるけど、廃業に追い込まれる企業も出てくる」。昨年5月、融資先の金融機関に経営改善計画書を提出した大阪市の電気機器販売会社社長が打ち明ける。この会社は、毎月の返済額を減らして融資期限を延長してもらい、事業継続につなげた。
中小企業の資金繰りを懸念した金融庁は昨年11月、期限切れ前に返済を迫る「貸しはがし」や貸し渋りが起きないよう金融機関に促す「大臣談話」を発表した。資金調達の手段を広げるため、資材や建設機械などの動産を担保にした動産担保融資(ABL)の普及を図ることも決めた。
官民の投資ファンドを通じ、中小企業の再生を進める動きも出てきた。
独立行政法人中小企業基盤整備機構は、官民が出資する計29ファンドに総額987億円を出資し、各ファンドが全国の201社に投資を実施し始めた。
政府は、中小企業に対する出資などを通じて企業再生を担ってきた官民出資ファンドの「企業再生支援機構」を改組し、「地域経済活性化支援機構」を今年4月にも発足させる。新機構は企業への直接支援を続ける一方で、地方銀行や信用金庫などが中小企業再生のためにつくるファンドにも出資する。
安倍政権の「アベノミクス」によって、景気回復への期待が強まっている。だが、金融庁は、期限切れ後に支援が必要になる企業が5万~6万社にのぼると推計する。
明治安田生命の小玉祐一チーフエコノミストは「多くの中小企業が相次いで倒産するようになれば、成長戦略にも水を差しかねない」と指摘する。日本経済を足元で支える中小企業に対するセーフティーネットの構築が急がれる。
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