県が畜産復興へ新支援策 生産から流通まで一体
県は平成25年度、東京電力福島第一原発事故で飼育頭数が大きく減るなど深刻な被害を受けた畜産業の復興に向け、生産から流通までの一体的支援策を新たに展開する。25年度一般会計当初予算案に1億3600万円を計上した。18日の2月定例県議会本会議の提案理由説明で佐藤雄平知事が示した。
生産では、避難区域で営農していた肉牛農家が避難先や帰還後に経営を再開できるよう、繁殖雌牛を導入する費用を補助する。避難先の場合は牛舎などの施設が必要なことも踏まえて1頭当たり23万円、帰還の場合は8万9000円を全農県本部を通じて支援する。さらに、避難区域以外の農家に対しても、飼育頭数を10頭以上に拡大する場合は3万円補助する。
県はこれらの施策を通じ、県内の飼育頭数を1000頭以上増やしたい考え。
酪農でも、北海道など県外から乳用牛を購入する際、輸送費用として1頭当たり8万円を補助する。さらに、雌牛が生まれやすくなる「雌雄判別精液」を購入する際の費用の一部も県が負担する。
流通では、県産畜産物の流通基盤である県家畜市場(本宮市)と県食肉流通センター(郡山市)の緊急整備に向けた基本設計費の一部を補助する。両施設合わせて約4000万円を計上した。
原発事故では、相双地区の農家が避難を余儀なくされたほか、風評により価格が低迷するなど県内畜産業は大きな被害を受けた。飼育頭数を見ると、24年2月1日現在の肉用牛は5万8100頭、豚は13万700頭。23年2月1日時点と比べると7~8割に落ち込んだ。市場価格も震災前の水準に戻り切っていない。廃業する畜産農家がさらに増える可能性があり、積極的な支援が必要と判断した。
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