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【社会】

東北シイタケ救いたい 原発事故で出荷制限

福島県などへ送るシイタケの原木用のコナラを集めている宮田幾男さん=長野県阿智村で

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 東京電力の福島第一原発の事故による放射性物質の影響で、全国的に不足しているシイタケの原木を供給しようと、長野県飯田市の林業宮田幾男さん(80)が原木となるコナラの確保に奔走している。依頼を受けて快諾したが、豊富にコナラが生えていても運び出す道路がないなど山林が荒れていて苦戦している。「被災地で待っている人のためになりたい」との思いが募る。 (西川正志)

 福島県は全国有数の原木の産地だった。原発事故後、原木から食品の基準値を超える放射性セシウムが検出。シイタケは原木から栄養分と一緒にセシウムを吸いやすく、同県産の原木の多くが出荷を見送られている。

 林野庁によると、放射性物質の拡散で福島を含む十七都県で出荷を自主規制。昨年秋の調査時点で、全国で二百八十六万本の原木が必要だが、百八十九万本が不足している。

 宮田さんは昨年十月、原木の確保に乗り出した。原木の出荷やキノコの種菌を生産する栃木、山梨両県の業者から、今年三月までに十二万本の供給依頼を受けている。

 うち二万本が福島県内のシイタケ生産者向けだ。残りも被災した東北の生産者向け。利益も出ない仕事だが、宮田さんは「被災地のシイタケ農家にとって、原木が確保できないのは死活問題。飯田の山の資源を使ってほしい」と快諾した。

 二十人以上の山林所有者と交渉を重ね、七万本を確保できるめどがついたが、作業員はわずか五人。山から運び出し、原木用に切断する作業は進まず、まだ約二万本しか送れていない。

 原木に適したコナラの林は少なくないが、道路が荒れているなど山仕事に適さない山も多く、宮田さんは「本当に困った」と話す。原木不足は簡単には解決できそうにない。

 

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