賢者の知恵

2013年01月27日(日)

「カロリー50%オフ(当社比)」にひっかかる人々
日本をダメにしたB層の研究【第2回】

第1回はこちらをご覧ください。

 世の中に溢れている「数字」はたいていデタラメである。特にネット上の統計データはゴミばかりだ。結論を導き出すために、恣意的につくられている数字に注意しよう。とりあえず、数字で説明されたら疑ってかかるべきだ。

数学を悪用しない

 B層は合理的にものごとを考えるのが大好きです。

 だから、数字で説明されると安心します。

 このB層の習性を利用して、数字をつかってモノを売る人たちがいます。

「カロリー五〇パーセントオフ(当社比)」に食いつくのもB層です。

 ダイエットしたかったらカロリーは絶対値で捉えるべきです。

 数字自体は事実でも見せ方を変えれば世論は誘導できる。

 世論調査で、憲法改正の是非を問い、賛成派が五一パーセントだったとします。

 そうすると、改憲賛成の新聞社は「過半数が賛成」と書き、改憲反対の新聞社は「約半数が反対」と書く。

 そもそも世論調査は世論操作のために行われます。

 数字で説明されたら、とりあえず疑ってかかるのが真っ当な態度です。

 宝くじがよく当たる売り場が存在するのは事実です。

「一等がよく出る」売り場では、実際に一等がよく出ます。

 なぜか?

 売り場の立地がいいことと、情報に流されるバカが並んで買うからです。

 統計的にはそれだけで説明がつきます。

 そもそも、宝くじを買うこと自体、どぶにカネを捨てるようなものです。

 胴元が五割もっていくギャンブルなんてそうはありません。トイチの闇金よりタチが悪い。「夢を買う」のが宝くじなら、「夢に流される」のがB層です。

『日本をダメにしたB層の研究』
著者:適菜 収
講談社 / 定価1,365円(税込み)
 
◆ 内容紹介
橋下首相待望論が沸き起こる中、現代日本で起こっているさまざまな「くだらない」現象を読み解くキーワードが「B層」である。著者はすでに「ゲーテの警 告」「ニーチェの警鐘」の二冊の+α新書で、偉大なる哲学者、教養人の言葉を引きながら、近代大衆社会の末路が現在であり、それを象徴しているのが「B 層」の横行であることを指摘し、多くの支持を得ている。「B層」=比較的IQの低い、騙されやすい人間たち、の特徴を細かく解説しながら、多くのB層に支 持された民主党がかくも無様に崩壊した理由、そしてまた懲りもせず橋下徹こそ日本国首相にもっともふさわしいという今日の世論調査の結果に現れるB層の 「勘違い」の害毒を、あらゆるジャンルで分析しながら、あぶりだしていく。

 先日、私のメールアドレスにフィッシングメールが送られてきました。

 あなたは数字を適当に選んでいませんか? そんな方法ではロト6で勝つのは難しいかもしれません。確率を高くするなんて簡単にできるものなのか。もちろん簡単ではありません。過去の当選結果全てに目を通す必要がありますし一つずつ統計を取らないといけない、とても膨大で地道な作業です。しかし、あなたは特に作業する必要はありません。私たちがすべて統計を取っているものを公開しているからです。だから、あなたはただそのデータを見るだけでいいのです。そのデータ、無料で手に入るとしたらどうしますか? 詳細はこちら。

 翌日にはこんなメールが入っていました。

 ロト6は研究可能な宝くじであることを知っていますか。すなわち、運よりも知識が重要な宝くじなのです。それも難しいことではありません。ロト6にはほかの宝くじにはない強みがあります。そう「自分で数字を選べる」それこそが強みなのです! 選べるということはいろいろ試せる、研究できるということ。ロト6研究も一二年目となり「規則性による数字予想」、「当選方法が高くなる購入法」などロト6理論が確固たるものとなりました。研究することにより、高確率で当選できるということが証明されたのです。

 その研究、見てみたいと思いませんか? 詳しくはこちら!

 小学校の算数ができれば、ロト6に規則性がないことくらいわかりますが、一〇万通くらいフィッシングメールを送れば何人かは騙されるのかもしれません。

 数学も道具にすぎません。

 にもかかわらず、権威付けのために無意味な引用がなされるケースが後を絶たない。

 ゲーテは言います。

 数学は適切な場合に利用されるかぎりにおいては、もっとも高級であり有益である。しかし、該当領域でもないところで、すぐに無意味さが露呈するようなところで使うのは感心できない。

 一九九四年に、いわゆるソーカル事件が発生します。

 ニューヨーク大学物理学教授のアラン・ソーカルが、数学を権威付けのためにデタラメに引用する人文評論家を批判するために、数式をちりばめた無意味な論文を書き、それを『ソーシャル・テキスト』誌に送ったら審査に通ってしまった。

 ソーカルは雑誌掲載と同時に疑似論文であることを発表。その後、数理物理学者のジャン・ブリクモンと共著で『「知」の欺瞞』を発表します。そこでは、ジャック・ラカン(一九〇一~一九八一年)、ジュリア・クリステヴァ、ジャン・ボードリヤール(一九二九~二〇〇七年)、ジル・ドゥルーズ(一九二五~一九九五年)といった現代思想の有名人の衒学趣味が徹底的に叩かれています。面白いので読んでみてください。

以下、続く。次回は1月27日公開予定

『日本をダメにしたB層の研究』
著者:適菜 収
講談社 / 定価1,365円(税込み)
 
◆ 内容紹介
橋下首相待望論が沸き起こる中、現代日本で起こっているさまざまな「くだらない」現象を読み解くキーワードが「B層」である。著者はすでに「ゲーテの警 告」「ニーチェの警鐘」の二冊の+α新書で、偉大なる哲学者、教養人の言葉を引きながら、近代大衆社会の末路が現在であり、それを象徴しているのが「B 層」の横行であることを指摘し、多くの支持を得ている。「B層」=比較的IQの低い、騙されやすい人間たち、の特徴を細かく解説しながら、多くのB層に支 持された民主党がかくも無様に崩壊した理由、そしてまた懲りもせず橋下徹こそ日本国首相にもっともふさわしいという今日の世論調査の結果に現れるB層の 「勘違い」の害毒を、あらゆるジャンルで分析しながら、あぶりだしていく。