脱デフレを掲げる安倍政権の登場で、日本経済は活気を取り戻しつつある。この勢いを一時的なものに終わらせず、息の長い成長につなげたい。重要な課題の一つは、次の時代を切り開く新しい企業を育て、停滞しがちな日本の産業の新陳代謝を促すことだ。
企業創出の重要性は長らく指摘されてきたが、数字で見る限り情勢は甘くない。日本の新規株式公開は2000年の204社がピークで、その後、減少傾向をたどり、去年は46社だった。
1年間に新規に生まれる企業の数を全企業数で割った開業率も、米英が10%を超えているのに対し、日本は5%程度にとどまる。
だが、目を凝らせば、変化の予兆もみえる。若い世代を中心に「自ら企業をつくろう」という機運が徐々に高まっているのだ。
例えば昨年秋に東証1部に上場した求人サイトのリブセンスは、創業者でもある村上太一社長(26)が1部上場企業の社長の最若手記録を更新し、注目された。ゲームやスマートフォンのアプリ(応用ソフト)市場でも、新企業が次々に生まれている。
社会人学生が中心の早稲田大ビジネススクールでは、去年5月に学生有志からなる「起業部」が旗揚げした。早稲田のサークルでは政治家をめざす人たちの雄弁会が有名だが、起業部はそれの経営者版をめざすという。
起業家熱が高まる背景には、技術革新もある。IT(情報技術)分野で顕著な現象だが、安価なクラウドサービスの登場などで、会社をつくる際の初期コストが劇的に下がった。これが起業に対するハードルを引き下げ、多くの人が「失敗してもやり直せる」と安心感を持つようになった。
この流れをさらに強くするにはどうすればいいか。ひとつは大企業が自前主義を改め、ベンチャー企業への出資や提携を積極化することだ。米シリコンバレーでは大手とベンチャーの提携が日常茶飯であり、両者の連携でイノベーションが加速するなど地域全体の競争力を高めている。日本も新興企業に門戸を閉ざさない、よりオープンな企業社会をめざしたい。
政府の仕事は、農地利用など各分野に残る規制を改革し、意欲を持つ人が伸び伸びとビジネスをできる環境を整えることだ。急成長企業がつまずくと、「それ見たことか」とばかりに批判する世間の風潮も改めないといけない。
村上太一、ビジネススクール、リブセンス、経済
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